地車型分け図鑑:擬宝珠勾欄 住吉型

※写真をクリックすると拡大します。
擬宝珠勾欄住吉型(斜め前)
擬宝珠勾欄住吉型(斜め前)
擬宝珠勾欄住吉型(斜め後)
擬宝珠勾欄住吉型(斜め後)

明治20年ころから大正期にかけて、住吉(現在の大阪市住吉区あたり)に在住していた大工《住吉大佐》・《西だんじりや》下川安次郎などの手により製作された地車。
または、これに準ずる形態の地車を指す。

屋根の勾配は比較的緩やか。
6本の角の通し柱で屋根を支え、大屋根を支える四本柱には「唐獅子」などの彫刻が施されている。
見送りは「三枚板」で細工。そのほとんどに武者物の彫刻が施されている。
台木の前後は「波頭」で細工されているのが一般的。台木の上、左右の土呂幕の前には「擬宝珠勾欄」の下勾欄が付く。
後幟を取り付けるための「幟差し」・「旗台」が付き、梶を取るため「後梃子」を用いる。

幟差しの付かない大阪型仕様
幟差しの付かない大阪型仕様

《住吉大佐》・《西だんじりや》作の地車には、この住吉型の屋形細工はそのままに、大屋根と小屋根の段差が小さく「幟差し」・「旗台」・「後梃子」の付かない【大阪型】仕様が存在。そのため、大屋根後部に「懸魚」の付くものが一般的であるが、付かないものも存在する。 また、数台ではあるが、三枚板の付かないものも存在している。

このタイプの地車は、均整の取れた独自の形を持ち、人気を博し、『大佐ブランド』・『大佐型』と言っても過言ではない。 彫物は《小松》一門の彫物師たちの手により細工されたものがほとんどである。

なお、地車研究の貴重な資料である『大佐地車請取帳』には一年に三台もの地車を売却した記録が残り、見送り三枚板の寸法もほぼ同じであることから、言わば「仕入れだんじり」として、【堺・住吉型】仕様と【大阪型】仕様の両タイプを注文により造り分け、販売してていた可能性も高い。