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大阪 文豪の愛した名店
2017年10月03日

味もお店も雰囲気もお墨付き!文豪がこよなく愛した大阪の老舗名店グルメ

この記事の担当ガイド:グルスク2号(モトクニ・ケイ)

文豪が愛したその味を昔と変わらず今も楽しめる老舗

季節は秋まっただ中! スポーツや芸術など枕詞がたくさんある秋ですが、その中でも今回は「食欲」と「読書」に注目して3軒をご紹介!

まず「食欲」はどのお店も大阪を代表する老舗なので、絶対間違いなし。そして「読書」。お店でゆっくり読書する…ということではなく、今回の3軒はいずれも文豪が足繁く通った名店なのです。その味はどのメニューも当時のまま。大阪の老舗で味わう、文豪が愛した逸品。楽しんでみましょう!

池波正太郎さんが愛した黄色い皮のしゅうまい「一芳亭本店」

一芳亭本店 外観

一軒目に紹介するのは、『鬼平犯科帳』『剣客商売』などの名作を数多く残した池波正太郎さんが愛したお店。難波にある「一芳亭本店」さんです。1933年の創業で、ほかにはない黄色い皮のしゅうまいが名物です。

一芳亭本店 店内

店内は1階と2階の2フロア。通し営業で、常にお客さんが入れ替わりやってきます。

一芳亭本店 社長

では社長の榎 文男さんにお話をお伺いします。

池波さんが食べていたしゅうまいを作っていたご本人

創業80年以上とのことですが、最初からこの場所で開店されたのですか?
「元々は少し離れたところだったのですが、戦後にこの場所に移りました。今は提供していない皿うどんなども出していたようです」
改装などは?
「40年ほど前に現在のビルに建て替えたんです。それ以前は長屋でした」
池波正太郎さんが来られていたのはいつごろですか?
「1974年ごろですね。そのころは調理の担当だったので、私が作った料理を食べられてたんです。厨房にいるので直接お会いしたわけじゃないですが、来られているという話は耳に入ってきますからね」
池波さんはどの辺りに座られていたのでしょうか?
「今は店の作りが変わってしまっていますが、来られたときには1階の奥の方にかけられていたようです」

一芳亭本店 店内

現在の1階奥の席がこちら。改装されたとのことなので、当時とはもちろん場所や雰囲気も違うでしょうが、ファンなら座ってみたいですよね。では、早速池波さんも愛したという名物のしゅうまいをいただきましょう。

一芳亭本店 しゅうまい

1階にある厨房では、ひっきりなしに入る注文をスタッフの方がスピーディーにさばいていきます。3個並べられた鍋はフル稼働状態。

一芳亭本店 しゅうまい

おいしそ~! 8分蒸して、熱々のしゅうまいができあがりました!!

一芳亭本店 しゅうまい

しゅうまい」1人前5個320円です(写真は2人前)。ほら、皮が普通のしゅうまいと違って黄色いでしょ。これは自家製の薄焼き卵なのです。戦後、小麦粉が手に入らない時期に代用したのが、そのまま現在まで引き継がれているとのこと。

一芳亭本店 しゅうまい

中身は豚ミンチとエビ、玉ねぎのみじん切り。熱々を口に入れると、その食感に驚くはず。もうフワッフワなんです! 池波さんも作品のなかで、

荒けずりなようでいてデリケートな味。家庭の惣菜のように見えて専門家のみにゆるされた品格が到底、まねのできるものではないことを感じさせる(新しいもの古いもの/講談社文庫)

と絶賛されています。ほかにはないここだけの味わい、さらに小ぶりなサイズということもあって、いくらでも食べられそう!

名物のしゅうまいは、持ち帰りのほか全国発送もOKなので、遠くて食べられないという人もご安心を。お店では、しゅうまい10個とご飯、スープがセットになった“しゅうまい定食”750円などの定食類のほか、酢豚や八宝菜などの中華メニューも楽しめますよ!

織田作之助さんがあの名作にも登場させたカレー「自由軒 難波本店」

自由軒 難波本店 外観

続いては、名作『夫婦善哉』の作者、織田作之助さんが愛したお店。なんとその作中にもメニューが登場する「自由軒 難波本店」さん。1910年創業、100年を超える歴史を持つ老舗です。

自由軒 難波本店 店内

店内がこちら。テーブル席のほか、お一人様でも利用しやすいようカウンター的な席も用意されています。

自由軒 難波本店 女将

では女将の𠮷田純子さんにお話をお聞きします。

織田さんはリラックスしたスタイルで来店

織田作之助さんはいつごろいらしてたんでしょうか?
「夫婦善哉が1940年ですから、その1、2年前だと思います。この店の二代目である父が言っていましたが、近くに本屋さんがあって、着流しとかの普段着で本を探しに来て、お腹が空いたから、とよく立ち寄られていたそうです」
お店は当時からこの場所だったんですか?
「戦争で焼けてしまって、再建したんです。以前は倍ほどの広さでした。織田作之助さんは来られたら、隅っこのほうで静かにカレーを食べていたようです(笑)」
そのカレーは当時と同じ作り方ですか?
「最初からずっと同じレシピで作っています。なぜこのカレーができたかというと、当時はご飯を保温することができなかったんです。でも、なんとか熱々のカレーを提供したいと考えて、冷めたご飯を熱いルーと混ぜるという今の形ができあがったんですよ」
卵も最初からですか?
「卵がまだ貴重な時代でしたが、最初からです。栄養価も高いし、熱いカレーがマイルドになるので、当初から載せていたんですね」

自由軒 難波本店 織田作之助さんの写真とサイン

店内には二代目がいただいたという織田作之助さんの写真とサインも飾られています。ファンにはたまりませんね! 織田さんも好きだったこちらのカレーは、ルーとご飯を混ぜることで、テーブルマナーを気にせず、気軽に食べられるということもあり、たちまち人気を呼んだとのこと。その名物、いただいちゃいましょう!

自由軒 難波本店 うすくち 特製だし

まずは牛肉と玉ねぎを炒め、そこに「うすくち」と呼ばれる特製のダシを加えます。火にかけながらカレーパウダーなどをさらに入れます。

自由軒 難波本店 カレーライス

いよいよライスを投入。ヘラで混ぜつつ、フライパンをあおって、ライスをルーと絡めていきます。こうすることで熱々のカレーができあがるというワケです。

自由軒 難波本店 名物カレー

名物カレー」750円の完成です!織田さんが『夫婦善哉』のなかで、

自由軒のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい(夫婦善哉/新潮文庫)

と記したように、混ぜ合わされたカレーに生卵が載ったその姿は、見るからにおいしそう。まずはよく混ざったルーとライスの部分をひと口。辛めでコクのある味わいが口いっぱいに広がります。もちろんアッツアツ!

自由軒 難波本店 名物カレー

続いて卵を割って、混ぜ合わせてみると…う~んマイルド~。熱々のライスと濃厚なルーに卵が加わると、また新しいおいしさを感じさせてくれます。

卓上には、創業当時から置かれているソースもあるので、それをかけるとまたまた新しい味わいが楽しめるのでぜひお試しを。こちらではこの名物カレー以外にもハイシライスや別カレー、さらにセットなどの洋食メニューを提供。通し営業なので、お腹が空いたらいつでもお店へレッツゴーです!

開高健さんがこよなく愛した鯨のおでん「たこ梅 本店」

たこ梅 本店 外観

文豪グルメの3軒目は、小説、ノンフィクション、エッセイなど、幅広いジャンルで素晴らしい作品を残した開高健さんゆかりの関東煮(おでん)のお店、「たこ梅 本店」さんです。創業はなんと1844年、今から170年以上前というから驚くばかり。日々新しく生まれ変わる道頓堀の町で、昔ながらの佇まいがホッとさせてくれます。

たこ梅 本店 店内

店内はカウンターと奥にテーブル席という造りですが、鍋前のカウンターがやはり特等席というところでしょう。

たこ梅 本店 店長

店長の和田訓行さんにお話をお聞きしましょう。

貸し切りで対談が行われたことも

創業からこちらの場所だったんですか?
「創業当時は角座があった辺りと言われていて、昭和20年までは現在の店のすぐ近所だったのですが、戦争で焼けてしまったんです。そして昭和24年に再建したときに、この場所でオープンして以来、1ミリも動いてません(笑)」
リニューアルなどはされたのですか?
「2007年の本店復活オープンの際に手を入れました。でも、鍋が丸から角に変わったりしてますが、基本そのままです」
では開高さんが来店されていたお店の雰囲気のまま?
「そうでしょうね。実際に自分たちもお会いしたわけじゃないですが、さえずり®のほかに、たこの甘露煮、里芋、そしてお酒がお好きだったみたいです」
ほかにエピソードなどはご存知ですか?
「開高さんがここを貸し切りにして対談をしたことがある、と聞きました。そして、この店には開高さん以外にもたくさんの著名人に通っていただいていたようですね。ドラマ撮影の小道具として、酒器を貸したこともあるんですよ」

たこ梅 本店 錫(すず)のタンポと器 日本酒

こちらは元々お燗したお酒を売る「上燗屋」で、現在も錫(すず)のタンポと器で日本酒がいただけます。写真左の大きなとっくりは、それこそ開高さんが通っていた時代に使われていたものだそう。まだ生ビールが無く、お客さんは皆日本酒を飲んでいたので、この大きなとっくりから一杯売りしていたんだとか。こんな景色を開高さんも見ていた、かもしれませんね。では、関東煮(おでん)のベース、だしをチェックしてみましょう!

たこ梅 本店 おでん だし

こちらはカツオだけでとった白だし。

たこ梅 本店 おでん

先ほどのだしとこちらの本だしと呼ばれている鯨からとっただしとを合わせます。

この2つのだしを具材の様子などを見ながら、バランスよく足していくのですが、一朝一夕にできるもんじゃありません。それこそプロのワザなのです!

たこ梅 本店 たこ甘露煮

開高さんが好きだった、こちらの名物でもあるたこ甘露煮756円(一皿二串)など、タネは定番で約30種そろっています。じっくりとだしの染みたその味は、日本酒にぴったり!

たこ梅 本店 さえずり

こちらがさえずり®1串972円。開高さんは、

クジラの舌も根や先端などの部分によって組織がそれぞれ異なるらしくて、シコシコしたの、クニャクニャしたの、やや固い噛みきりやすいの、とろとろになったの、香ばしいの、焦げ味のあるのなどと、串の一本一本がまことに小憎く複雑であって、ひときれひときれがたのしみである。(新しい天体/新潮文庫)

…と書かれています。旨味が後から後から出てきていつまでも噛み続けていたくなるその味、やわらかでほかに例えようのない食感がたまりません!

大阪の中でも最も変化の激しいエリアのひとつ、道頓堀にあって、今も昔ながらの佇まいで、変わらない味を楽しませてくれるこちら。土日には昼間に定食を提供、そして基本すべてテイクアウトOKなので、気軽に食べられるのもうれしいところ。しかし、やはりカウンター席に座って、熱々の関東煮(おでん)とお酒っていうのが一番ですよね。こちらでは予約も可能なので、スケジュールを決めて出かけましょう!

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますのであらかじめご了承ください。