ロマネ・コンティより、
ビオ・ワインの方が好きになりました。
旨いものなら毒でも食べる僕です。だいたい脂の乗った××から、霜降りの△△△まで、旨いもの≒身体に悪いもの、ってのは世の摂理ですが。(諸事情により名前は伏せておきます)
ともあれ身体にいいから、地球にいいから…、って良い子な理由は、僕がビオワイン(自然派ワイン)・愛好家になった理由じゃないです。僕が今、「72年のロマネ・コンティよりも、66年のシャトー・ペトリュスよりも、はるかにビオワインのほうが好きだ!」と胸を張って言えるようになった理由はただひとつ。
決定的に旨いから。
酸化防止剤最小限の極上ビオワインと、酸化防止剤がどっさり入ったテクノワイン(工業製品としてのワイン)、その差はまるで、最上のシルクと、ごわごわの安ウールの差のよう。特に、体にしみいるような果実味とミネラルの透明感、その純粋さがもたらす衝撃を一度体験すれば、もうテクノワインへの後戻りは難しくなることでしょう。ここらへんが、ワインを飲み尽くしたベテラン・ソムリエや黒帯ワインエキスパートから順番に、ビオワイン狂になっていく、ひとつの理由かもしれません。
ここでひとつご注意。いわゆる「ビオワイン=臭いワイン」という妄信について。最近はあの臭さを「ビオ臭」といって歓迎するソムリエまで出現していますが。「ビオは臭いからいい」、なんて倒錯は、中古レコードは傷が入っているからいいというほどの「倒錯」です。正しいビオワインは、臭くありません。ときに遭遇するあの独特の臭さの理由は主に、還元香、揮発酸香、ブレタノミセス菌香、酸化香の4つなのですが、これは通常のワインでも発生するもの。ビオかノン・ビオかにかかわらず、あの香りは、生産者がワイン造りに少し失敗した時に出る香りなのです。当然、ちゃんと造られたビオワインには、あの「臭さ」は皆無。かわりに葡萄品種本来の、心なごむ優しい香りが花開くものです。
もうひとつ、ビオワインをオーダーする時は「酸化防止剤なしのビオワイン」とのオーダーをお忘れなく。現状では、酸化防止剤どっさりでも、畑が無農薬・化学肥料なしだと、ビオ認定OKなんですよ。これは、よく聞くビオロジク(※)か? ビオディナミ(※)か? の味の差よりはるかに重要。「だからワインはややこしい」ですか? でも、ここさえクリアすればその先に待つハッピーは、とほうもなく巨大です。
※ビオロジク 無農薬有機農法と訳される。機械化などの近代化される以前のワイン造りの製法。
※ビオディナミ 生力学農法と訳される。収穫や瓶詰の時期を月の満ち欠けなどの天体の運行で決める。
(文・寺下光彦)
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