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[十三・大富士](大阪・十三)
下町十三に今なお生き続けるとんかつとデミグラスソース
 
  [十三・大富士](大阪・十三)
  ↑スタイルは和。ライスは茶碗、スープは味噌汁、自家製の漬物。ほか、トン、ビフの各ジクセリ(卵ソテー)も人気。
  [十三・大富士](大阪・十三)
   
  [十三・大富士](大阪・十三)
   
 
[十三・大富士](大阪・十三)
  ↑中川さんのご兄弟の店がほかにも3店ある。JR立花駅、JR堺市駅、東大阪不動牧岡線沿い。
   
十三駅東口改札をでて徒歩1分。とある一本の極細路地を入ると、昔懐かしいロウ細工のメニューが並んだショーケースがある。ここが創業50年になる洋食屋[十三・大富士]だ。

普通、洋食といえばハンバーグやオムライスが主役のイメージだが、大富士では“とんかつ”が主役となる。

ステンレス製の楕円形の皿の淵には「とんかつ大富士」の色褪せたロゴが薄っすらと。中身はキャベツの千切り、トマト、直径5ミリほどもある太いスパゲティのケチャップ炒め、そして主砲のとんかつ。ここに50年間変わらぬ味のデミグラスソースが乗ってくる。色はやや赤色、濃厚だが、今時の酸味と甘味を強調したようなものではなく、もっと複雑で、優しく、まろやかな舌触りと風味が特長だ。さらに執拗に脂分を加えないので、後味はすーっと抜けていく感じもここならではの潔さである。

牛や豚の素材の薀蓄を言う前に、日本の洋食屋たるその個性の核心は、やはりこのデミグラスソースではないだろうか。

[十三・大富士]ではこれを1カ月もの時間をかけて仕込まれている。2代目店主の名は中川博史さん。50年前に先代が築いたレシピを今なお頑なに守り続けている。牛のスジを煮込み、そこに野菜やスパイス、ハーブをたっぷりと入れてさらにじっくりと煮込んでは漉す。そして、また煮詰めてはこの一連の作業を繰り返し、後半は鶏がらでとったスープで解いて、またベースを加えて濃厚なものに仕上げていくのだ。

「よく頑固もんやと言われます。でもね、親父が残してくれたもんやから。それに下町といわれるからには、どこにでもあるようなもんやのうて、やっぱり個性がないとあかんと思うんですわ」。

目には見えず、売上にも直接に関係なく、はたまた時代に合っていないとまで言われても、家伝の技とスタイルを貫くその姿勢が下町十三の洋食屋の生き様なのであった。

(文:河村研二)

[十三・大富士]
大阪市東淀川区十三東3-28-18
06-6301-5917
11:30AM〜3:00PM 5:00PM〜9:00PM
日休
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