高齢者の4割「医師の話を聞き取れないことがある」

2017年12月25日掲載

高齢者の4割「医師の話を聞き取れないことがある」

高齢者の約4割は医師の話を聞き取れなかった経験を持つことが、アイルランドで実施された調査で明らかになりました。

調査を行った研究者らは「患者に難聴があって医師の話を聞き取れず、コミュニケーションがうまくいかないと、思いがけない医療事故につながる可能性があります」と警鐘を鳴らしています。

60歳以上の半数超に難聴

今回の研究では、アイルランドのコーク大学病院の外来を受診した60歳以上の患者100人を対象に聞き取り調査を実施しました。その結果、57人に難聴があり、26人が補聴器を使用していました。特に80歳以上では、難聴のある人が多いことも分かりました。

100人中43人は「診療所や病院で、医師や看護師の話を聞き損ねたり聞き違えたりしたことがある」と答えました。その状況として、例えば「言われた内容を誤解した」「医師の診断やアドバイスを正確に聞き取れなかった」「難聴が原因で医師と十分なコミュニケーションを取れなかった」などが挙げられました。

研究者らは、「医師や看護師、家族の間でコミュニケーションを向上させることで医療事故の36%を回避できる」という過去の研究結果を紹介。医療事故を防ぐためには円滑なコミュニケーションが重要だと主張しています。

「周囲の雑音」減らすことがコツ?

「周囲の雑音」減らすことがコツ?

研究者らはこの問題について「医師に大きな声で話してもらえば解決するというわけではありません。周囲の雑音と会話の聴き分けにはさまざまな能力が必要で、音量だけの問題ではないからです」と話しています。

米国の耳神経の専門家の一人は、「聴力の低下は60歳以降に始まることが多い」と説明。特に医療現場では、(1)周囲の雑音があって聞き取りにくい、(2)話が専門的でなじみのない言葉が多く使われる、(3)病気に苦しむ患者にとっては病院という環境自体もストレスになる――などの要因があるため、静かな病室や診察室で、医師と患者、家族だけで話すことを勧めています。

一方、ある老年医学の専門家は「難聴があると脳への刺激が減るため、記憶力が低下しやすくなります。孤独を感じて生活の質が低下する原因にもなるでしょう」と話し、認知機能の低下を予防するためにも、高齢者には聴力検査を行い、最善の対応を考えることが重要だとしています。

ただ、補聴器には保険が適用されないことが多く、購入をためらう患者は少なくありません。そこでこの専門家は、重要なことを話すときは補聴器の代わりに集音器(単純に耳の中で音を大きくする機器)を使用するよう勧めています。「格段にコミュニケーションが取りやすくなる」ということです。(HealthDay News 2017年8月24日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/medical-errors-983/patients-hearing-loss-may-mean-poorer-medical-care-725874.html

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(参考情報)
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http://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/fullarticle/2649281