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ぎっくり腰の原因・治し方。冷やす、安静、早めに病院へ【柔道整復師監修】

「自分は若いし健康意識も高いからぎっくり腰は無縁!」と思っているなら、その考えを改めたほうがいいかもしれません。
ぎっくり腰は、若い人も運動習慣のある人もなる可能性があります。

今回はぎっくり腰になったときの対処法を、柔道整復師の浜口大介さんに教えていただきました。

ぎっくり腰未経験の方は予備知識として、今まさにぎっくり腰になっている方はこれから過ごす日々の参考にご覧ください。

浜口 大介さん

【監修】柔道整復師・鍼灸師

大学卒業後、警察官となり主にSATに所属。29歳で鍼灸接骨院業界に転職し、業界屈指の整骨院で10年間勤務を経た後に独立。開院3カ月で毎日100人以上が来院する院へと導き、現在は大阪、東京を中心に院を拡大。業界内外問わず、講演、研修も多数行っている。

ぎっくり腰とはそもそもどんなものなんですか?

ぎっくり腰とは?原因は?

ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」です。欧米では「魔女の一撃」と呼ばれており、突然想像もしない激痛がやってくることを「魔女がやってきた」と比喩するようになったことが由来だと言われています。そう例えられるほどの激痛は、重度になるとその場で立てなくなったり寝返りができなくなったりするレベル。
原因は人によりけりで、骨のゆがみ・腰の筋肉のぜい弱化・過度なスポーツによる筋肉負荷など多岐にわたります。いずれにせよ、腰に異常なストレスがかかっているときに発症します。つまり、若くても運動を十分にしていても、腰に負担が蓄積されるとぎっくり腰になる可能性があるのです。

ぎっくり腰が発生する箇所は?

ぎっくり腰が頻繁に発症する箇所は、腰にある「腰仙関節(ようせんかんせつ)・仙腸関節(せんちょうかんせつ)」の2箇所です。これらの関節周辺を支える筋肉や靭帯が損傷し、炎症することで痛みが発症します。

どれくらいで治るんですか?

個人差はありますが、痛くて日常生活がままならない期間はだいたい2~3日で終わります。その後は痛いけれどもなんとか生活できる日々が続き、完治するのは発症10日目以降です。最初の1週間はケアを中心にうけて、徐々にリハビリをすると治りやすいでしょう。治療をせずに放置した場合、10日目以降も痛みが続くことも珍しくありません。

ぎっくり腰になったらまず初めに何をすればいいですか?

まずは施術施設に

ぎっくり腰になったら、早急に近くの鍼灸接骨院や整形外科といった施術施設に行きましょう。ぎっくり腰になってすぐは痛いながらも意外と動けてしまうので、甘く考えてしまいがちです。しかし、初日にちゃんと処置をしないと、痛みの原因である炎症物質がどんどん拡大していってしまいます。動ける初日のうちに専門機関に行って治療をうけることが、あとあとの痛みを抑える最善策です。

すぐに施術施設に行けない場合はどうする?

休日や深夜などの病院が閉まっているときにぎっくり腰になってしまった場合は、ご自宅で絶対安静にして患部を氷のうなどで冷やしてください。 一般的には腰を痛めてから48時間は炎症物質が出続けるといわれています。この炎症物質は冷やすことである程度抑えられるので、ぎっくり腰の初期段階は患部を冷やすことに徹してください。発症してから48時間を目安に、強烈な痛みが和らいできたら冷やすことをやめても良いでしょう。また、もし購入できるような状態であれば、市販のコルセットを装着して患部が動かないように固定するのもおすすめです。安静にして、動けるようになったら至急施術施設に。
なお、痛みのピークは初日ではなく2-3日目というのが定説です。初日が痛くないからといって、冷やすことをサボったり患部を動かしたりしないように注意しましょう。

入浴しても問題はないですか?発症後のNG行為は?

ぎっくり腰初期段階の入浴はNG

炎症物質は冷やすと収まりますが、温めると逆に広がってしまうという特徴があります。つまり、からだを温める入浴はぎっくり腰初期段階ではNG。浴槽につかることはもってのほかです。足湯もやめておきましょう。足湯でからだの血の巡りが良くなると、全身の体温が上がります。そうなると必然的に腰も温まり、炎症物質が広がってしまいます。どうしても入浴したいという方は、さっとシャワーを浴びる程度にしましょう。

一般的に筋肉の痛みは温めるとやわらぐといいますが、それはあくまで慢性的な凝りに対してです。「なんだかダルいなぁ」という痛みの緩和には効果的ですが、ぎっくり腰は凝りではなく急性の炎症なので必ず冷やしましょう。

痛みの確認は絶対NG!

ぎっくり腰の発症直後、多くの人がやってしまいがちなのが痛みの確認です。どこが痛むのか気になったり、一番痛い箇所がどこかを探ったりするために患部を繰り返し動かし、炎症が広がることがあります。炎症が広がると痛みが強くなる可能性が高くなるため、動作確認をしないことを意識しましょう。

どんな治療が効果的なんですか?

効果的な治療は鍼と電気治療

個人差はありますが、鍼と電気治療はぎっくり腰改善に効果的だといえます。鍼は試合中のスポーツ選手に処置されるほどの高い炎症緩和効果を持つので、ぎっくり腰の痛み軽減効果が期待できます。
また、電気治療は筋肉内の血流を改善して、ストレスをうけ続けた腰をゆっくりとほぐしてゆきます。電気治療器の中には、痛みを取り除くのに特化したタイプもあります。従来の電気治療器に比べ、身体のより奥深い痛みに対しポイントでアプローチでき、即効性が高いのが特徴です。このような治療器を導入している施術施設を探してみるのもおすすめです。

コルセットの着用

コルセットの着用も痛みを抑える効果があります。コルセットは腰の動きをサポートするだけでなく、適度な圧迫で炎症・腫れを抑えます。ただしコルセットは痛みが治まったら外してください。コルセットをし続けていると腰の筋肉がコルセットに頼ったまま弱っていってしまい、またぎっくり腰になる原因になりかねません。

RICE(ライス)処置

痛みを少しでも抑えたいのであれば「RICE(ライス)処置」という言葉を覚えておきましょう。RICE処置とは、スポーツの現場で起こったけがの損害を最小限にするために施す応急処置のこと。以下のそれぞれの処置の頭文字をとって「RICE」と呼びます。

R: Rest(安静)
I: Icing(冷却)
C: Compression(圧迫)
E: Elevation(挙上)

R・I・Cはこれまでご説明した「安静」「冷却」「コルセットで圧迫」が相当します。ここで新しく登場するE: Elevation(挙上)とは、患部を心臓より高く上げることです。患部を高い位置に持っていくことで、重力で炎症物質をコントロールします。ぎっくり腰の場合は、上記イラストのように足の下に枕や座布団を入れてあげると良いでしょう。

痛みの峠を越えたら「動かして治す」

最近では「ぎっくり腰は安静にしているより、普通に日常生活を送っている方が、治りが早い」というのが新しい常識となりつつあります。強い痛みを無理して動かす必要はありませんが、可能な範囲で少しずつ日常生活に戻していきましょう。

普段生活する上で気をつけるべきことはありますか?

腰を痛めない動き方のコツをご紹介します。

・寝返り

膝を曲げながら、からだ全体をやや前に丸めて寝返りをしましょう。

・起き上がり

いったん横向きになって、そこから腕の力でからだを起こしましょう。どのタイミングで手を抜けばいいのかわからなくなりますが、焦らずゆっくりと。

・立ち上がり

両足を肩幅までしっかり開き、両膝もしくは何かにつかまったり手をついたりして、からだを起こします。着席時も同様にしましょう。

すでに紹介していますが、入浴などで患部をあたためる行為は炎症物質を広げてしまうのでなるべく避けましょう。また、発症直後や痛みが強い段階で「動作確認(痛む動きを繰り返し行う)」をするのもNGです。

ぎっくり腰を予防するためには?

エクササイズでぎっくり腰になりにくい身体に

ぎっくり腰は命に関わる病気ではありませんが、一度なってしまうとしばらく激痛とお付き合いすることになります。毎日のお仕事や家事を腰痛で滞らせないためにも、こまめに骨格を矯正したり筋肉をほぐしたりしてあげて、予防に努めましょう。

予防方法としては、以下の記事で紹介しているエクササイズがおすすめです。体の回旋運動や体幹の強化、呼吸方法やストレッチ方法などが記載されているので、是非実践してみてください。実践するだけでなく「継続」することによって、よりぎっくり腰になりにくい身体にすることができます。

再発予防の治療もおすすめ

鍼灸整骨院や整形外科といった専門の施術施設では、再発予防に適した骨格を整える治療法や筋肉の柔軟性を高める治療法もあります。専門の施術施設に通院し、アドバイスを受けながら身体のメンテナンスをするのもぎっくり腰の予防方法として効果的だといえるでしょう。

監修

iCureテクノロジー株式会社 代表取締役 浜口大介

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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