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インフルエンザシーズン到来までに知っておきたい!医師が教える対策方法

上嶋 弾 先生

上嶋内科・消化器科クリニック

京都大学医学部卒。京都大学医学部附属病院内科、北野病院内科、三菱京都病院消化器内科の研修後、「北野病院 消化器内科 副部長」「阪和住吉総合病院 消化器センター 部長」など、数々のポストを経て2015年に上嶋内科消化器科クリニックを開設。豊富な経験と消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医など、さまざまな専門性を活かした高いレベルの医療サービスを提供している。

インフルエンザA型とB型の異なる流行期間と症状

インフルエンザは、12月から3月頃にかけて流行するウイルス性感染症です。症状は喉の痛み・鼻水・熱・体の節々の痛み・悪寒など、いわゆる普通の風邪とよく似ていますが、すべての程度がひどいのがインフルエンザの特徴です。インフルエンザは大きくわけてA型とB型の2種類があります。

インフルエンザA型

インフルエンザA型は12月頃から流行しはじめます。喉の痛み・咳・鼻水・関節痛などの風邪によく似た症状と、39℃を超える高熱が出るのが特徴です。B型よりも感染力や症状が強いので、A型の流行期間はしっかりと感染予防対策をする必要があります。

インフルエンザB型

A型よりも症状が比較的軽いのが、インフルエンザB型です。流行期間はA型よりも少し遅く、2月頃から感染者が増えはじめます。人によっては吐き気や下痢など、症状が胃腸にあらわれるのがA型との違いです。

最近は高熱・悪寒といった症状が出ないインフルエンザに感染している方が増えています。ウイルスの流行期間は軽い体調不良でもインフルエンザにかかっている可能性があるため、なるべく早めに検査を受けるようにしましょう。

インフルエンザの感染経路

インフルエンザの感染経路は、飛沫(ひまつ)感染と接触感染の2つです。
特に注意したいのが、感染者の咳からうつる飛沫感染。家族や仕事仲間など、親しい人がインフルエンザにかかっている場合は、感染者も周囲の方も常時マスクの着用をおすすめします。二重にマスクをするのも効果的です。

また、どこかに付着したインフルエンザのウイルスに接触することによって感染してしまう接触感染もインフルエンザの代表的な感染経路です。例えばインフルエンザウイルスがついたテーブルを触って、その手でなにかを食べると接触感染をしてしまいます。家・職場・学校・電車など、流行期間になるとさまざまな場所にウイルスが潜んでいるので、こまめな手洗い・消毒を心がけましょう。

日本人は間違っている!? 正しいマスクの使い方・咳をするときのマナー

欧米人に比べて日本人は感染症予防の意識が弱い傾向があり、インフルエンザの流行期になってもマスクをつけない方や口を押さえないで咳をする方が多くいます。正しいマスクの使い方と、周囲に迷惑をかけない咳の仕方を覚えておきましょう。

・正しいマスクの使い方

マスクを着用する際に注意してほしいのが、マスクを顎の下にずらさないこと。これをすると、顎に付着したウイルスがマスクの内側にうつってしまい、それが原因でウイルス感染することもあります。インフルエンザが流行っているシーズンは基本的にマスクを外さないようにする、外す場合はきちんと顔から外しておくか、新しいものに取り換えるようにしましょう。

・咳をするときのマナー

日本人は咳をする際に口を手のひらでふさぐことが多いのですが、そうすると手のひらにウイルスがついてしまいます。その手でなにかに触ったり握手をしたりすると、インフルエンザウイルスが広まる原因になりかねません。これを知っている欧米人は、手のひらではなく肘の内側などの、なるべく他人との接触の少ない場所で口をふさいで咳をします。マスクがない場合は、この咳の仕方をマナーとして実践しましょう。

予防接種の効果と受けるべき時期

インフルエンザの予防接種の効果は、ウイルスを消すのではなくかかってしまったときの症状を和らげることがメインです。多少の予防効果も認められていますが「打てばインフルエンザにかからない」というものではないことを覚えておきましょう。
予防効果が低いとはいえ、症状が緩和されれば感染者自身も楽ですし、ひどい咳でウイルスをまき散らす可能性も減るので周囲の感染防止にもつながります。自分のためにも、周りの人への感染を防ぐためにも、予防接種を受けておきましょう。

予防接種の効果は、約3カ月から5カ月程度続きます。インフルエンザがはやりはじめる時期に打てば、1度でワンシーズンをカバーできます。ただし効果が出るまでに2週間程度かかるため、11月中旬から下旬あたりに予防接種を受けることをおすすめします。

インフルエンザにかかってしまったらどんな薬を飲めば良い?

インフルエンザにかかってしまった場合、一般的な病院では飲み薬・吸引薬・点滴のいずれかを処方されます。
それぞれの特徴について解説しましょう。

・飲み薬(タミフル)

飲み薬として広く流通しているのがタミフルです。タミフルは、1日2回・5日間飲み続けることで、ウイルスの増殖を防ぐ効果を発揮します。ただし、途中で飲むのを止めてはいけません。服用を2~3日で止めてしまうと、ウイルスを抑えるどころか、ウイルスがタミフルよりも強いタイプへと変異してしまう可能性があります。指定期間をしっかり守って服用しましょう。

・吸入薬(イナビル)

吸引薬として広く流通しているのがイナビルです。粉末状のお薬を吸引するタイプで、服用は1度だけ。タミフルのような錠剤を飲み続けるのが面倒な方におすすめです。

・点滴

飲み薬や吸入薬の他に、点滴を使った処方があります。血管に直接成分を流し込むため、効き目が他に比べて少し早いのが特徴です。副作用も他の薬剤より多いと言われており、適応も限られています。あまり安いものではないので、医師と相談をして受けるようにしましょう。

すべてのインフルエンザの薬は、ウイルスを消すのではなく増殖を抑えることを目的に作られています。薬の効果で体調が戻ったとしても、体内にはまだウイルスがいることが多々あります。感染してから1週間程度は、外出や人との接触を控えるようにしましょう。なお、薬を服用すると何もしていない場合に比べて、1~2日程度回復が早くなると言われています。

予防と健康管理!基本の徹底がインフルエンザを防ぐ

どんなに気を使っていても、インフルエンザウイルスが体内に侵入してしまうことはあります。そんなときに備えて、インフルエンザ流行期は体の抵抗力を落とさないことも重要です。十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を適量にとり、アルコールやタバコを控えるなどの基本的な健康管理を行うことで、インフルエンザにかかりにくい体を作ることができます。

「これをしておけばインフルエンザにかからない!」というワクチンや医療技術はありません。誰もが知っている基本的な予防と健康管理を徹底して、インフルエンザから自分の身を守りましょう。

監修

上嶋内科・消化器科クリニック院長 上嶋 弾

上嶋内科・消化器科クリニック: http://www.ueshima-clinic.jp/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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