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関西の専門医が語るドクター's コラム

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群は、本人が眠っている間に起こるので、本人が自覚することはあまりありません。したがって、診断には睡眠検査が必要です。睡眠検査には自宅で行う簡易睡眠検査と、入院して行う精密睡眠ポリグラフ検査(睡眠ポリソノグラフィ検査)があります。

簡易睡眠検査とは

終夜睡眠ポリグラフィーという検査です。携帯用器械で操作が簡単なので、器械を自宅へ持ち帰り、自宅で検査ができます。この検査では次のようなことについて調べることができます。

  • 口鼻の呼吸(呼吸はどの程度止まっているか、弱っているか)
  • 気管の音(いびきはどのくらいあるか)
  • 動脈血中の酸素飽和度(どれだけ酸素を取り込むことができているか、いないか)
  • 脈拍

睡眠時無呼吸症候群の治療法

経鼻的持続陽圧呼吸法(NCPAP)

経鼻的持続陽圧呼吸法(NCPAP)は、現在、世界中で一般的に行われている、睡眠時無呼吸症候群の治療法です。これは、鼻マスクから気道に空気を送り込み、圧力をかけることで、気道閉塞(気道が塞がること)を防ぐという対症療法のひとつです。この治療法は、睡眠時無呼吸症候群に対して、もっとも有効性が高いだけでなく、安全かつ確実な治療法とされています。また、重症であってもしっかり治療効果を出すことができます。その反面、軽症の方には向いていません。

マウスピース(スリープスプリント)

歯科医院へ行って、アゴの位置を固定するマウスピースを作ってもらい、睡眠時にこれを装着します。マウスピースを作って、睡眠時に装着するだけなので、簡単で費用も安くなります。睡眠時無呼吸症候群であるという診断書があれば、保険適応もあります。しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療の知識・経験を持った歯科医が少ないこと、日数がかかることが問題となります。また、軽症には有効であっても、中等症以上には効果が期待できず、適応範囲が限られてしまいます。


手術療法

咽頭口蓋形成

喉(気道)の狭くなったところを広げる手術です。全身麻酔の手術と、外来での局所麻酔の手術があります。気道が狭くなっている部分によっては、手術的な治療が適応となります。全身麻酔の手術は苦痛などの負担も大きく、合併症の危険性も伴います。さらに、効果の確実性(再発の可能性)にも問題があるため、現在では第一に選ぶべき治療法ではなくなりました。しかし、気道の狭くなっている場所や状態によっては即効性もあります。また、NCPAPの装着を苦痛に感じる患者さんにとっては、選択肢となる治療法です。このほかに、入院を必要とせず、外来で簡単にできるレーザー手術もあります。こちらは苦痛も少なく、危険性や合併症の可能性も低くなります。

下鼻甲介切除術/鼻中隔矯正術/レーザー手術

鼻づまりによる睡眠時無呼吸症候群に対しては、鼻から空気を送り込むNCPAPを利用することができないため、鼻閉の改善手術を行います。


減量

減量は睡眠時無呼吸症候群の根本的な治療となり得ます。しかし、睡眠時無呼吸症候群を発症しているほどの肥満を、症状が改善するほどに減量させるのは、現実的には不可能に近いことです。また、それだけの時間も必要になってきます。実際のところ、他の治療法を行いつつ、減量に努めることになります。

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