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関西の専門医が語るドクター's コラム

めまい

丸山 晋

丸山耳鼻咽喉科医院 院長

医学博士、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本気管食道科学会認定専門医。
昭和38年生。私立甲陽学院高等学校卒業、国立高知医科大学(現高知大学医学部)卒業。京都府立医科大学・耳鼻咽喉科学教室入局。京都府立医科大学・助手、近江八幡市立病院・医長、京都府立与謝の海病院・医長などを経て、平成14年より丸山耳鼻咽喉科医院、平成18年より同院・院長。

 丸山耳鼻咽喉科医院 公式サイト

丸山晋 丸山耳鼻咽喉科医院 院長

めまいとは

「めまい」と聞いて何を思い浮かべますか?
メニエール病? 脳卒中? 貧血? 立ちくらみ? ショック? これらは全て「めまい」の原因です。
しかし、これらは原因の「一部」に過ぎません。ほかにもさまざまな病気で「めまい」が起こり、その原因によって治療法も異なります。また、性別も関係していて、男性よりも女性に多い傾向があります。
「めまい」の約半数は、耳の奥にある「内耳」の病気で起こると考えられており、残り半分は、全身的な異常が原因となります。そして、命に関わる「めまい」と、そうでない「めまい」もあります。「めまい」を治すためには、あらゆる症状を見ながら原因を的確に診断し、適切な治療を行うことが必要です。しかし、これは「めまい」の専門医でないと、なかなか難しいのが実情です。

めまいの症状と起こり方

「めまい」にもさまざまな症状・性質があり、下の表のように分類できます。
いざめまいを経験した時には、「めまいが起きた」としか言いようがありませんが、実際には、「めまい」の症状・性質は、病気の種類によって大きく異なってきます。「めまい」の症状・性質を区別することは、その「めまい」が、どのような病気によって引き起こされているのかを見極めることにつながります。したがって、医師は《めまい自体の症状・性質》と《めまいの起こり方・持続時間》について注目します。

めまいの症状・性質

受診のときに医師に伝えると良いでしょう。

回転性めまい
最も多いめまいがこのタイプです。
「天井や壁がぐるぐる回る感じ」が、典型的なものです。
このほか、「一方向へ傾いてゆく感じ」「一方向へ流れてゆく感じ」「一方向へ落下(上昇)してゆく感じ」などもあります。
浮動性めまい
心因性のめまいなどに多く見られます。
「フワフワする」「フラフラする」「船に乗ったような感じ」といっためまいがあります。
眼前暗黒感(がんぜんあんこくかん)
血管の問題や血圧(調節)の異常などに多く見られます。
「目の前が暗くなる」「立ちくらみ」「気が遠くなるような感じ」で、時に失神してしまうこともあります。
歩行障害
小脳の障害などに多く見られます。
「足元がふらつく」「まっすぐ歩けない」「雲の上を歩くような感じ」「バランスが取れない」といっためまいがあります。
動揺視
眼の異常などに見られます。
「チラチラめまい」「身体を動かしているときに目の前のものを上手く目で捉えることができない」「身体が動いていると目の前のものがぶれて見える」といっためまいがあります。
めまいの起こり方・持続時間・きっかけ
  1. どのように起こったか
    突然起こったのか、ゆっくりと起こってきたのか
  2. どの程度続いているか
    ずっと続いているのか、何度も何度も繰り返すのか
  3. どのくらいの時間起こるのか
    一瞬、数秒、数分、数時間、数日、数カ月
  4. いつ起こるのか
    何もしていないときに起こるのか、寝返り・上を向く・起床・着床動作などで起こるのか
  5. どのようなときに起こるか
    首をひねると起こるのか、立ち上がると起こるのか、排尿・咳など特定の動作で起こるのか

ドクター's メモ

車やバイク・自転車などを運転しているときにめまいを起こすと、事故につながりかねません。
また、高所作業など危険を伴う作業をしているときにめまいを起こせば、転落により骨折や大怪我をすることもありえます。ある程度しっかり治るまでは、車やバイク・自転車の運転や、高所作業などの危険を伴う行動を避ける必要があります。

めまいの随伴症状(一緒に起こる症状)

めまいと共に起きる症状に耳鳴りや頭痛などがあります。
受診のときには医師に伝えると良いでしょう。

1. 蝸牛(かぎゅう)症状(聞こえに関する症状)
  • 耳鳴/「キーン」「ピー」「ジーン」などの音が聴こえる
  • 難聴/耳のふさがった感じや聴こえにくいなどの症状
  • 音が割れる、歪む、壊れたラジオを聴いているような感じで、ある種の音が耳障りに聴こえる。
2. 神経症状

これらの症状を伴う場合には、脳梗塞・脳出血などの可能性があり、危険な兆候です。
すぐに脳神経外科を持つ病院を受診しましょう。

  • 激しい頭痛
  • 左右どちらかの顔の半分や手足の感覚がおかしい、つねっても痛くないなどのしびれがある
  • ろれつが回らない
  • うまくしゃべれない(言語障害)
  • モノを飲み込めない
  • 声がかれる
  • 身体の一部が動かせない(運動麻痺)
  • ものが二重に見える(複視)
  • 意識障害

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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