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関西の専門医が語る ドクター's コラム

女性の尿トラブル(尿もれ・尿失禁)

吉岡 博子

監修:北浜よしおか内科クリニック 副院長

北浜よしおか内科クリックにて女性専門外来を設け、女性特有の身体的症状や精神的な不安などについて総合的な診断と治療を行っている。

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吉岡 博子 北浜よしおか内科クリニック 副院長

女性に多い尿漏れ(尿失禁)。原因と治療方法・改善方法

年齢を重ねていくと、これまで感じたことのなかったような身体の不快な症状に悩まされることがあります。尿もれ(尿失禁)もその一つ。特に女性は、男性に比べて尿道の長さが5分の1ほどしかないため、尿トラブルで悩む方が少なくありません。女性にとってはデリケートな部分の病気のため、病院へ足を運ぶことをためらい、ひとりで悩んでしまう場合も。
しかし多くの場合、骨盤を強化する体操や服薬などで改善することが可能です。不快な症状を改善させて、いきいきと毎日を過ごしましょう。

尿もれ(尿失禁)とは

人間は、膀胱に尿がたまると「おしっこがしたい」という信号が脳に伝わり、脳が「排尿」か「我慢(ためる)」かを判断します。尿もれ(尿失禁)は、何らかの理由でこれらがうまく機能せず、自分の意志とは関係なく尿がもれてしまう状態です。
くしゃみをしただけでもれる、前ぶれなく急に尿意を感じ我慢できずにもらしてしまうなどの症状があり、不安感から旅行やスポーツを楽しめなくなるケースもあります。

尿もれ(尿失禁)4つのタイプ

尿もれ(尿失禁)は大きく4つのタイプに分けることができます

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみをしたとき・重いものを持ったときなど、お腹に圧力がかかったときに少量の尿がもれる症状です。尿漏れに悩む人の約5割が、腹圧性尿失禁だと言われています。また、40歳以上の女性の約4割がこの病気を抱えていると言われています。というのも、男性の尿道は25cmあり、尿道をしめる役割を果たす前立腺もあるのに対し、女性は3~4cmと非常に短く前立腺もありません。
さらに尿道を締める役割を果たす、膀胱や尿道、子宮をハンモックのように支える骨盤底筋という筋肉が、妊娠・出産によってゆるんだり切れたりしてしまう場合があるのです。また更年期 、女性ホルモン・エストロゲンの減少によって筋肉が弱くなることや、女性に多い便秘や冷え性も原因になることがあります。

切迫性尿失禁

ふいに訪れる突然の強い尿意のためトイレまで我慢できずにもらしてしまう症状です。腹圧性尿失禁よりもれてしまう尿の量は大量で、おもに高齢の方に多い病気です。
排尿が正常に機能している場合は、膀胱に200~400mlの尿がたまると尿意を感じ、それを我慢するか排泄するかは脳が命令をだして、尿道の筋肉を締めたり緩めたりします。しかし切迫性尿失禁の場合では、脳と膀胱がうまく連携しなかったり、膀胱・子宮・尿道を支える骨盤底筋が弱まったりすることで、排尿のコントロールができなくなってしまうのです。その結果、大量の尿漏れをきたします。
また膀胱炎などの感染症によって切迫性尿失禁となる場合もあります。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

尿の流れが妨げられるなどの排尿障害によって、膀胱にたまった尿があふれ、少量ずつ漏れてしまう状態のこと。前立腺肥大により尿道が狭くなるといった排尿障害は男性が多いことから、溢流性尿失禁の患者の多くは男性となります。

機能性尿失禁

排尿の機能は正常ですが、脳卒中の後遺症などで身体が動かせなくなりトイレに間に合わなかったり、アルツハイマーなどの病気によって尿を出してよい場所かどうかの判断ができなかったりして、もらしてしまう症例です。

複数のタイプを発症する尿失禁も

先に挙げた4つのタイプから複合して発症する場合もあります。女性では腹圧性と切迫性の混合型が多いとされています。

尿を我慢できない「過活動膀胱」

尿を我慢できない「過活動膀胱」

過活動膀胱とは自分の意志とは関係なく膀胱が勝手に収縮し、尿もれを起こしたり頻尿になったりする症状です。 上記で紹介した突然の強い尿意のためトイレまで我慢できずにもらしてしまう「切迫性尿失禁」もこれにあたり、ほかにも急に尿意を感じ我慢できなくなる「尿意切迫感」、日中に8回以上トイレに行く「昼間頻尿」、夜中に1回以上トイレに行くために起きてしまう「夜間頻尿」があります。

肥満、便秘、ストレス、運動不足、水分摂取が多すぎる・少なすぎるといった人がこの病気になりやすいとされ、40歳以上の女性の10人に1人が過活動膀胱の症状を経験しているというデータもあります。

ドクター's コラム「女性の尿トラブル(尿もれ・尿失禁)」

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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