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「人生100年時代」ボケずに生きる方法

予防のためのアドバイス(1)

長尾和宏(ながお かずひろ)医師

長尾クリニック院長

外来診療から在宅医療まで、「人を診る」総合医療を目指す。地域に根ざす医師ならではの視点で発信する「Dr和の町医者日記」が好評。

 長尾クリニック

元気な100歳から学ぶ「ボケない食事」

聖路加病院の日野原重明先生をご存知でしょうか。
昨年100歳を迎え、今も現役で活躍されている医師です。年間150回の講演をこなし、病院のエレベーターは使わず階段を利用。休日はほとんどなく、学会などで海外出張もこなすスーパー高齢者です。そんな先生の食生活には、ボケずに100歳まで生きるためのヒントがいくつも隠されています。そこで先生の1日の食事をみてみましょう。

【朝食】 天然のフルーツジュース、スプーン1杯のオリーブオイル、牛乳1本、コーヒーが入ったミルク、レシチン入りのパウダー大さじ1杯
【昼食】 牛乳とクッキー3枚
【夕食】 カニ玉、生ザケの南蛮漬け、ナス田楽、冷奴、サラダ、アサリのすまし汁、漬物、ご飯

日野原先生は朝食・昼食は軽めで、魚や野菜もしっかりと摂られています。
そして一番のポイントは「腹7分目」であること。
70歳男性の1日の必要エネルギーは1850kcal。日野原先生は1300 kcalですから、まさに「腹7分目」なのです。
実際、食べ放題のサルと7割にカロリー制限したサルでは、カロリー制限したサルのほうが若々しく長生きする、というデータもあります。

オリーブオイルは脳にもいい

すっかり日本人の食生活に溶け込んだオリーブオイル。実は、「脳にいい」ことがわかってきました。オリーブオイルは、紀元前4000年から使われ、聖書にも出てくる健康油。日野原先生も毎日朝食に摂られています。最近、地中海料理のアルツハイマー型認知症に対する予防効果が注目されていますが、その秘密はオリーブオイルにあるようです。
オリーブオイルの8割はオレイン酸。これが脳に入り、脳内の神経伝達が円滑になると考えられています。またオリーブの果実を搾ってろ過しただけの化学的処理を行わないエクストラ・バージン・オイルには、オレオカンタールという物質が含まれていますが、これが脳内に蓄積されたアミロイドβたんぱく(アルツハイマー型認知症の原因物質)を減らすことが報告され、大きな注目を集めています。

脳へのサプリ:フルーツジュース

日野原先生が毎朝飲まれている天然のフルーツジュース。ここにもボケない秘密があります。
日系米国人1836人を対象とした研究では、オレンジやリンゴのフルーツジュースを週に3回以上飲む人は、飲まない人に比べアルツハイマー型認知症の危険が76%も低下していました。
また、週に1~2回飲む人とまったく飲まない人を比較すると、飲む人の方が16%低下していたそうです。

さらに、アルツハイマー型認知症を起こすマウスにザクロジュースを飲ませた実験では、脳に沈着するはずのアミロイドβたんぱく(アルツハイマー型認知症の原因物質)の量が58%も少なかったという結果も出ています。
これらはフルーツジュースに含まれるポリフェノールの効果だと考えられています。

赤ワインの成分としても有名なポリフェノールは、植物の光合成によってできる植物自体の色素や苦味の成分のことで、300種類以上あります。
リンゴにもいくつかのポリフェノールが含まれ、なかでも豊富なのがプロシアニジン類。
これは脂肪の蓄積を抑制するとともに、がん細胞を自死させる働きも確認されています。また、クエルセチンというフラボノイド(植物色素成分)がアルツハイマー型認知症を予防すると考えられています。
しかし、アルツハイマー型認知症予防に効果があるからといって1日に何杯も飲むのはNG。フルーツジュースには果糖がたっぷりと含まれており、これが脂肪に変換され肝臓にたまってしまうためです。フルーツジュースは1日1杯で十分です。

「人生100年時代」ボケずに生きる方法

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