びわ湖毎日マラソン大会 > 過去の大会トップ > マラソンを楽しむ > マラソン観戦ポイントVOL.1
陸上という競技は数あるスポーツのなかでも、“走る”という単純な行為によって、「世界でもっとも速いのは誰か?」を決める、もっともシンプルなスポーツです。専用の道具や施設、複雑なルールもありません。その中でマラソンの42.195kmの道のりは人生にたとえられるように、人間ドラマが数多く詰め込まれています。マラソンは、自分の精神と身体の限界に挑戦する選手たちの姿を応援しながら、楽しんでみてください。
最近の国内の男子マラソン大会では、「ペースメーカー」という選手がレース序盤をリードしています。彼らの役割は、1kmあたり3分を目安に一定のリズムで集団を牽引し、出場選手たちが「どの位のスピード・ペースで走れば良いのか」を示す役割を果たしています。通常、ペースメーカーは3〜4人。もっとも長く牽引するペースメーカーでも、30km地点でコースを外れます。彼らの走りによって、タイムや勝負の行方が左右されることもあるので、責任は重大です。しかし、ペースメーカーも大会に正式にエントリーしている選手なので、ルール上ではフィニッシュしても構いません。かなりの実力者のため、実際、そのままトップでフィニッシュしたケースもあります。 ※びわ湖毎日マラソン大会では赤いゼッケンを付けています。
選手たちが途中でドリンクを飲んだり、頭から水を被ったりする場面を見たことがあると思います。そこは「給水ポイント」と呼ばれる場所で、5〜6.5kmごとに設置されています。そんな給水ポイントですが、身体への水分補給といった意味合いとは異なる部分での勝負どころになることもあります。序盤では転倒に注意しなければなりませんし、後半ではほかの選手が給水に意識が移った時を見透かしてスパートすることもあります。そもそも、時速約20kmで走りながら、水筒やボトルを取ることは非常に難しいことです。最近のマラソンでは序盤からきちんと給水するように言われており、給水を取りに行く姿にも注目してください。
現在のマラソンの世界では、アフリカ勢の圧倒的な強さが際立っています。ここ数年、世界の主要なマラソン大会の勝者や上位入賞者を見ると、アフリカ勢がほぼ独占状態です。とくに男子マラソンの世界では、ケニア、エチオピアの国の選手たちがマラソン界のトップ集団をひた走っています。そこに最近、多くなってきたエリトリア、モロッコ、アメリカという国々が続き、日本もこのグループと言われています。また、ケニアの選手たちの中には世界選手権や五輪に出場するために、ほかの国に国籍を移す選手も出てきています。アフリカ勢のスピードは圧倒的で、粘り強さ、駆け引きといったこれまでのマラソンのイメージを覆してしまいました。アフリカ勢が引っ張るマラソンは、まさにサバイバルの戦いに変化しています。
マラソンをテレビ観戦する際のポイントですが、前半はペースメーカーの人たちに集団を引っ張ってもらうので、大きな動きはありません。まずは折り返し地点に注目しましょう。折り返し地点の時点でトップ集団から脱落してしまうと、もはや勝ち目はありません。そこで集団にいる選手の中からだれが優勝しそうなのかを予想してみてください。そして、マラソンの本当の勝負どころといえるのは、30km地点を過ぎたあたりからです。ここからは、生き残りを賭けた選手たちの心理戦が見られます。選手たちの状態を知る一番は表情です。レースが進むに連れて、徐々に疲労や諦めといったものが表情に表れるようになります。「選手たちはいま、どういう状態なんだろう?」と、表情から探ってみるのも面白いかもしれません。
百留(ひゃくどみ)康隆さん/毎日新聞社 編集局 運動部 記者1992年、毎日新聞社に入社。北九州本社、宮崎支局、山口徳山支局、福岡運動部での勤務を経て、2009年から大阪本社に赴任。おもに陸上競技や高校野球などのアマチュアスポーツの取材を担当。2001年からは運動部に所属し、陸上競技の取材を専門的に行っている。












