ロボピッチャー 加藤隆生 インタビュー


京都の音楽シーンに台風を巻き起こす確信犯バンド、ロボピッチャー。彼らがこのたび、初のフルアルバムを完成させた。今作についてボーカル加藤隆生は、バンドのサイトにてこんなコメントをしている。
“『アリバイと40人の盗賊』には物語はない。あらかじめ言っておくと、アルバムタイトルにだって意味はない。僕はこのアルバムに付け足す言葉なんて何一つない。”
どうやらロボピッチャーは、音楽ですべてを表現し尽くした究極のアルバムを作ってしまったようだ。今回は、そんな会心作を生みだしたバンドの総指揮官である加藤へのインタビュー。現在のロボピッチャーの等身大ともいえるニューアルバムについて、また自身の音楽との出会いについても話を聞いた。
INTERVIEW
__アルバムが完成して、現在の心境はいかがですか?
今回が初めてのフルアルバムなんですが、やっとこれでロボピッチャーとしてのアルバム作品を世に出せたという感じ。大袈裟な言い方をすると、このアルバムを出すためにロボピッチャーを作ったんだなって。
__2曲目の「卓球Makes Me High!」は、加藤さんが編集長をされているフリーペーパー“SCRAP”のアニメ企画のために書き下ろした楽曲だそうですが、これはアニソンの傑作ですね!
もともと、最近のアニメソングの凋落ぶりに嘆いてたんです。アニメのストーリーや登場人物について歌ったものが本来なのであって、どこかの歌謡曲やロックを後付けしたものは、アニメソングじゃない!と思っていた。で、僕たちのまわりにはミュージシャンがたくさんいるし、みんなでアニソンを作ろう!と。
でもそうするにはアニメそのものが必要だから、じゃあいっそのこと、自作自演で両方とも作っちまおう!って(笑)。本格的にやるとなるとお金がかかるので、架空のアニメをSCRAPでいくつか書いて、そこに関西のミュージシャンたちが音楽をつけた。そのひとつがこの曲ですね。
__今回は、これまでになくホーンがフューチャーされた曲もありますが、何か前作からの変化はあったのですか?
ホーンがハマる楽曲が以前にも増してできてきた、という変化はありましたね。『モーニング・モーニング』(3曲目)では、大阪のバンドK-106に参加してもらって、これはめちゃめちゃ良いパフォーマンスでした。
__このフルアルバムが完成するまでに、リリースを予定していたメジャーレーベルがなくなったり、メンバーの体調不良があったりと現実的な問題がいくつかあったようですが、それでも音楽を続ける加藤さんの原動力は何ですか?
中高時代に聴いていた音楽に、ものすごい感動を受けたんですよ。
最近はキレやすい子とか、自殺したがる子がよく報道されているけど、一歩間違えば、僕だってそんな子どもだったんじゃないかと思う。人間の属性としては、そんなに安定したティーンエイジャーではなかったので。だけどそこに音楽があったから、僕の場合は中和されてうまくいった。
思春期に、自分の部屋のラジカセから流れてくる音楽で得たものは、本当に素晴らしくて。で、いつか僕も誰かをこんな気持ちにさせたいと思ったのが音楽をはじめる原点で、今もそれが原動力になってるかな。
__高校生の頃には、もう音楽を始めていたのですか?
いつか僕も人をこんな気持ちにさせたい!とは思ったけど、その頃は、音楽は選ばれた人だけがやるものだと思ってた。3歳からバイオリンをはじめて、4歳でピアノ…みたいな人しか無理なんだと(笑)。だから高校生で音楽を始めるなんて、もはや手遅れだと思っていた。
良い音楽を聴いたら、すごく感動もするけど、この人たちは選ばれた人なんだ…みたいな劣等感もあったし。そういう気持ちの熱量みたいなものは、今も残っている感じはありますね。
__今では、選ばれた人じゃなくても音楽をやって良いんだ!という気持ちも強いのですか?
大学に入って、すごく下手くそな人たちがワーワーと音楽をやっているのを見て、「な〜んだ、こんな感じでいいんだ!」って(笑)。
それでも作曲は、なかなかできなかった。
ある日自転車に乗ってて、突然メロディーと歌詞が同時にでてきたんです。子供が自転車に乗れるようになるときって、パッとコツをつかんだ瞬間じゃないですか。作曲もそういうものなんだ!って思いましたね。
それが22歳の頃。
__作品のリリースごとに、加藤さんはバンドの作品を解説する丁寧な文章を書いておられますよね。
それは、「加藤さんの文章はおもしろいから、書いたら絶対受けますよ!」ってレーベルの人に言われたからです(笑)。
__(笑)。文章は昔から書かれているのですか?
そうですね。文章は子供の頃からずっと書いていて、将来はこれでメシを食っていくんだ!と思ってました。だから音楽も、もとは歌詞を書きたくて始めたというのもありますよ。
__加藤さんの歌詞には、普段の生活では使わないけど、ひょっこり耳にすると新鮮な“ロッテンマイヤー”や“徳俵”という単語が出てきますよね。これらの言葉は、どこから生まれるんですか?
これは音楽のおもしろさで、普通に文章を書いているときにはさすがに出てこないような言葉が、メロディーに乗ったり、バンドのメンバーと話していれば、自然と出てくるものなんですよ。音楽に関するいろんな力が影響して、僕が普段使わないボキャブラリーに広がりが生まれる。だから自分でも、毎回出てくるものにはビックリなんですけど(笑)。
__ロボピッチャーの曲には歌謡曲のような親しみやすさを感じますが、加藤さんにとってロボピッチャーの音楽とは、どんなものですか?
ロックや歌謡曲としての文脈もあるけど、ひと言でいうならば「いろいろ」です(笑)。
バンドの特徴といえば、“何かについて熱く発言する”ことかな。斜に構えて見るのではなくて、“熱く見る”っていう。
たとえば友人がすごく落ち込んでいるときに励ましたり、ポジティブな気持ちにさせたりするのは、非日常的で刹那的なことだけど、それを日常的にやるのが僕らの音楽なのかなって思いますね。
NEW DISC |
わたしの関西事情 ロボピッチャー 加藤隆生 編
西部講堂かな〜?地球屋かな〜??と次々浮かぶお気に入りの場所に悩みながら、「近所やし!(笑)」と挙げてくれた場所は、京都の人気カフェ[さらさ西陣]。
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PROFILE
2002年、加藤隆生(ボーカル&ギター)、伊藤忠之(キーボード&プログラミング)、有田さとこ(ベース&コーラス)、森 崇(ドラムス&コーラス)の4人により、京都にて結成。
同年、ゆーきゃんやLimited Express(has gone?)と共に、主催者の一員として京大西部講堂での音楽イベント「ボロフェスタ」を開催。オリジナルとしての初リリースは、2004年3月の『消えた3ページ』。その後、2005年2月に『透明ランナー』、10月に『まぼろしコントロール』と、現在までに3枚のミニアルバムを発表。初のフルアルバム発売の勢いを加速させ、今年の「ボロフェスタ‘06」でのステージが期待されている。
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