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ソウル・フラワー・ユニオン 中川敬(Vo&G) インタビュー

ソウル・フラワー・ユニオン 中川敬(Vo&G) インタビュー 「音楽っていうのは、人生の中で鳴り響いているもの」

阪神大震災の被災地において、別稼働隊・ソウル・フラワー・モノノケ・サミットとしてライブを行い、それ以降も南北朝鮮、東ティモールなどの異境に音楽を届ける活動を精力的に行ってきたソウル・フラワー・ユニオン(以下SFU)。また、解放をテーマにした政治的問題を挟み込んだ楽曲によって、彼らに対しては社会派集団的イメージがつきまといがちである。

しかし、バンドの中心メンバー・中川敬の話を聞けば聞くほど、そこに誤解があることに気づく。新作『寝顔を見せて』について紐解いていくと、SFUというバンドの“唄”に対する真正直な姿勢が見えてきた。

※通常、シングル盤は「」で表記しておりますが、アーティストの意向により作品全体を表す場合は、『』で表記しています。

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INTERVIEW

__前作『ラヴィエベル〜人生は素晴らしい!』に引き続き、今回のマキシ・シングル『寝顔を見せて』も新曲2曲のほか、ライブ音源を収録するというボリュームのある内容になってますね。

ソウル・フラワー・ユニオン/中川敬(Vo&G)

周りから見てちょっと過剰やなと思うくらいがちょうどエエんちゃうかなと(笑)。そこで考えたのが、8曲くらい入ったミニ・アルバム的なシングルを連発すること。新曲ができたら、途中経過的に、小出しにしつつ、いわゆる今のバンドの感じもライブ音源で見せていく。ライブ盤を待望する声は常にあったから、新曲の方向性に合った楽曲をくっつけて出していけばいいんじゃないかなと思ってん。俺らはずっとライブをやってるわけやし、「まあ、ライヴ会場にも来てくれよ」という意味も含めてね。

__タイトル曲「寝顔を見せて」は、子守歌とも取れる楽曲ですが、今年、中川さんにお子さんが産まれたことに関係しているんですか?

実は、これ書いたのは去年やねん。でも、絶対子どものことはみんなに言われるやろうなと思ってた(笑)。いやー、子どもはええよ。子どもを見てると「何がロックやねん」と思うで(笑)。

__(笑)。では何がきっかけで?

メンバーの伊丹英子が5年前に出産をして、その子ども・そらちゃんと遊ぶことが多かったから、実際にその中であったシチュエーションが歌詞の元になってる。ちっちゃい子って、落書きとかをしたら手がペンやクレヨンだらけになるやん?その手をフッと閉じて寝てる姿をモチーフにして書いた曲なんよ。

ただ、これをラヴ・ソングやと思って聴いてる人もいるみたい。だから、あんまり限定せんでいい気もしてるんよね。人間の唄やね(笑)。

__SFUと言えば、社会に対するメッセージを盛り込んだ楽曲、主張の強い歌詞を一般的にイメージされがちだと思うんですが、この曲に関してはすごく大らかなまなざし的視点を感じますね。

いつも大らかなはずなんやけどなー(笑)。例えば、「極東戦線異状なし!?」みたいな曲は企画的にそういうものになってるけど、俺の場合、メッセージ性や主張っていうのは、直接的には唄に込めようと思ってない。社会とリンクしてるものや、遠いところで起こったことに関して、想像力を働かせる類の楽曲があるから、どうしても勘違いされてしまう。対象がいて、そこで立ち上るコミュニケーションを描くという意味では、社会的異議申し立てをするような唄もラヴ・ソングも、ある種近いもんがあると思うんよね。

ただ、「寝顔を見せて」に限らない話をするなら、例えば、赤ん坊、子ども、ジジ・ババまで、連続して人生はあるはずやのに、ロック・カルチャーやサブ・カルチャーの現場では、音楽が10代前半から20代後半のためのもののようにされてる。

音楽っていうのは、人生の中で鳴り響いているもの。だから、そういう連続性のもろもろを浮かび上がらせたいとは常に思ってるんよね。その辺で、曲が普遍的になってきてる部分はあるかもしれんね。

__普遍性と言えば、SFUの楽曲の多くに取り入れられている民謡などのトラッドなサウンドとも共通しますね。

でも、民謡やトラッドに関しては、もはや取り入れてるっていう感触はないかな。自分のルーツ・ミュージックの内の一つっていうか。ブルースやソウル・ミュージック、ブリティッシュ・ロック、ファンク的な部分も根っこにあって、そういうものと、沖縄民謡とかアイリッシュ・トラッドなんかも、自分の中に並列にあるかな。だから、取り入れるっていうより、引き出しの中から何となく取り出すっていう感じのほうが、いいんじゃないかと思ってるんよね。

__そういったルーツ・ミュージックは、今回収録された新曲「辺野古節」にもにじみ出てますよね。これは沖縄・名護市にある「辺野古」に捧げた曲ですが。

辺野古は、新たな米軍基地が作られようとしている沖縄北部の村で、もう10年くらい攻防線が行われてる。おじい、おばあたちはずっと 座り込みをやってるけど、まずもって、この地名自体全然浸透してないし、マスコミもなかなか取り上げない。でも、日本の近代史の中でも、かなり重要なことがあそこで起こってる。そんな中、この問題について説明するというよりは、俺はとりあえず「辺野古」っていう地名を知って欲しいという思いがあった。

とにかく「辺野古」っていう地名を覚えて関心を持ってくれ!って感じやね。メッセージに触れて欲しいとか、そういうことではない。聴いてもらって、なにがしかを音楽から感じて欲しい。で、もちろん動いても欲しいよ。

__ライブ音源として収録された中には、名曲「満月の夕」も収録されていますね。この曲への思い入れはやはり強いですか?

人が「ええ曲や」って言ってくれるとか、何度もカバーされてるとか、そういうこと以前に、まず俺自身にとって重要な曲になってる。

阪神大震災で神戸に行き始めたとき、基本的には伊丹英子の“ジジ・ババと一緒に唄で遊ぼう”っていうコンセプトがあったから、戦前のはやり唄とか民謡とかをやっててん。そんな中、「満月の夕」はオリジナルやけど、常に被災地でやってた曲。

ホントにあの曲にはいろんなシチュエーションが詰まってる。神戸では、震災で連れ合いや子どもを亡くしたっていう人がいっぱいおる中で ずっと歌ってたから。実際、1990年代の後半、この曲をやると客席から白い布が見えて。泣いてる人がいたりして。そんな前で、涙をこらえて歌わなあかんやん。かりに惰性でイントロが始まったとしても、この曲をやり始めたら心を込めざるをえない。特別なものやね。あらゆる人たちの気持ちが入ってる曲やと俺は思うよ。

__SFUとして、今後やっていきたいことはありますか?

これは、俺個人の話になるけど、とにかく続けたいと思ってる。昨今のバンドはすぐに解散するやん。でもSFUは、例えメンバーが替わろうが続けていくよ。一つの実験としてね。80歳になって「やっぱり『満月の夕』は今日のライヴから外されへんのとちゃう?」とか言うてる中川敬を見てみたいっていうかね(笑)。ミック・ジャガーは今64歳。この前リリースされたローリング・ストーンズのDVDを観たら、3年前のライブよりリズムが引き締まってたよ。ミック・ジャガーの声も実に出てる!SFUも少なくとも65歳は越えなあかんわけよ(笑)。

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