ライブレポート

更新日:2009年12月11日

栗コーダーカルテット ライブレポート 2009.11.12@BIGCAT「15周年ベスト リリースツアー」

栗コーダーカルテット ライブレポート “栗”コーダーカルテット、15周年の“大収穫祭”!
NHK教育テレビの人気番組「ピタゴラスイッチ」のテーマ曲をなどで有名な、栗コーダーカルテット。リコーダーのみの演奏から出発したバンドだったが、活動を続けていくうちに使用する楽器が増えていく。現在ではリコーダー各種のほかにもソプラノサックス(※1)やテューバといった多くの管楽器、ギターやウクレレなどの弦楽器、さらにはボーラン(※2)をはじめとする多彩な打楽器など、数多くの楽器が使われている。色とりどりの楽器を操る彼らの音像もカラフルで、かつ詩情と遊び心があふれるサウンドは、テレビ番組やCMなど多方面から引っ張りだこ。2009年、結成15周年を迎えた彼らが記念ライブを行った。

4人が揃って入場すると、すぐさま演奏を開始。ソプラノリコーダー(※3)のみによる、まさに栗コーダーカルテットたるアンサンブルだ。主旋律、他旋律、伴奏にユニゾン。笛の音色を満喫できる構成で奏でられるのはガスコン作『静かに静かに』。続く『マヨネーズ第二番』も結成まもなく発表された作品だ。栗原正己によると、結成15周年ということで、今回はバンドをスタートした頃の、笛だけで演奏する楽曲も普段より多めに披露することになったという。

「緊張しちゃったかな?」。『HORNPIPE』の冒頭でミス・トーンを出した近藤研二に、川口義之が語りかける。すると「いや、けっこう、ちょっとボーっとしてて…」。おとぼけな発言が、会場に大きな笑いを生んだ。そんな、台本なのか即興なのかが不明な、不思議なトークの世界も栗コーダーカルテットの真骨頂。短い曲の合間に、笑いも散りばめていく。

栗コーダーカルテット

バンド・サウンドに広がりを与えたキッカケともいえる、ギターが参加した時期からは、まずは『鉄道ワルツ』をピックアップ。アニメ「キョロちゃん」の劇中曲『勘違い』ではギターのほかにクルムホルン(※4)などの、普段あまり目にしない楽器が登場。演奏後には、奏者・関島岳郎から口琴(※5)の解説も。ピタゴラスイッチのテーマ曲はライブでのレパートリーとなっているが、この日は組曲バージョン。『ピタゴラ装置BGM』や『ジョンにズームアップ!』などの挿入曲が目白押しだ。最後には、客席から「ピタゴラスイッチ!」との声があがった。

栗コーダーカルテット

時系列で進行する曲順からは、あらためてバンドの変遷を感じることができる。休憩を挟んだ後は“ウクレレ期(※6)”をクローズ・アップ。『ウクレレ・ビートルズ』『ウクレレ・ジブリ』といったコンピレーションCDへの参加、またウクレレを大々的にフィーチャーしたカバーアルバム『ウクレレ栗コーダー』を発表したバンドは、そのキャッチーなサウンドとともに、一気に知名度を上げていく。この期間における代表曲『冷たくしないで』(Elvis Presley)『夢の人』(THE BEATLES)を演奏し、場内の温度は上昇。“静”の側面を見せたのが前半だとすれば、後半は“動”だ。チョーキング(※7)やカッティング(※8)するウクレレには、ハワイアンのイメージを凌ぐ激しさが帯び、オーディエンスはますます高揚。

栗コーダーカルテット

これまでの活動の中から選び抜かれた、珠玉の作品が奏でられてきた今夜の内容は、いわば15周年を迎えた“栗”コーダーカルテットの“収穫祭”。終盤は、栗原が吹くアンデス25(※9)が映える『アパオの海外出張』、(ベストを除く)最新アルバムから『遠くの友達』など、おなじみのナンバーが連発し、観客のテンションは最高潮に。用意された椅子に座りながらも、肩を揺らしたり、足でリズムをとるなど思い思いに楽しんでいるいようだ。関島が「15年やってきたけど、まだまだ飽きてなくて。もっともっと続けていきますので、よろしくお願いします」と述べると、“もちろん”と言わんばかりの大きな拍手がこだました。最終演目『おじいさんの11ヵ月』を終えたあと、近藤がいちびってギターをジャンとならすと、栗原もリコーダーをピッ。最後の最後まで、栗コーダーカルテットらしいステージだった。

<編集部注>
※1〜3、5、9…各楽器の説明、ビジュアル、音はこちら
※4…木管楽器。16世紀前後、ヨーロッパで流行したとされる。
※6…最近の5年間を指す。また最初の5年は、駆け出しの“アマチュア期”、次の5年はアニメなどとのコラボレーションが多かった“映像期”。いずれも関島談。
※7…弾いたあと、弦を引っ張ることで音程を上げたり下げたりする奏法。
※8…弦を弾いた直後に音をミュートさせる奏法。

ライブ写真:古石洋平
文:兼道松

栗原正己 川口義之 近藤研二 関島岳郎
set list
  • 01)静かに静かに
  • 02)マヨネーズ第二番
  • 03)HORNPIPE
  • 04)鉄道ワルツ
  • 05)消えたかに道楽
  • 06)ツーリスト・トラップ
  • 07)ジャムのテーマ
  • 08)キョロちゃんのテーマ
  • 09)勘違い
  • 10)ペジエ(仔犬のテーマ)
  • 11)亡き王女のためのパヴァーヌ
  • 12)小組曲「ピタゴラスイッチ」
  • 13)みきのいえ メインタイトル ~ guitar version ~
  • 14)光ノトキ
  • 15)純な賛美
  • -休憩-
  • 16)カントリー・ロード
  • 17)アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第一楽章
  • 18)冷たくしないで
  • 19)夢の人
  • 20)帝国のマーチ
  • 21)ハイウェイ・スター
  • 22)鉄腕アトム
  • 23)アパオの海外出張
  • 24)犬姫
  • 25)遠くの友達
  • 26)ポルカ
  • 27)うれしい知らせ
  • 28)夕景
Encore
01)ボンネットバス
02)おじいさんの11ヵ月

new disc

『15周年ベスト』
artist 栗コーダーカルテット
title 15周年ベスト
release date 2009年10月7日
information 品番:GNCL-1219
価格:2,940円(税込)

CDの詳細情報はこちら

artist profile

栗コーダーカルテット 1994年結成。栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳郎から成る4人組のバンド。全員がリコーダーを奏でるスタイルで登場、活動を進めていくうちに楽器の守備範囲を劇的に広げていく。ソプラニーノ、アルト、グレートバスをはじめとする多種のリコーダーを演奏するほか、アンデス25や口琴(こうきん)、ボーランなど多数の楽器を操るテクニシャン。これまでに、7枚のオリジナルアルバム、ライブ盤、DVDに加え、サウンドトラックやコンピレーションCDへの参加、さらに楽譜集など、関連作品は50点を超える。最近では、映画やテレビ番組を通じたコラボレーションも活発。草間彌生、あがた森魚、竹中直人、UA、GOING UNDER GROUNDと、幅広い分野のアーティストと交流を展開している。充実の15周年を迎え、その動きは激しさを増す一方だ。 official http://www.kuricorder.com/

次回は「木村カエラ」のライブレポートを掲載予定です。

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