ライブレポート
更新日:2010年3月5日
有山じゅんじ ライブレポート 2010.2.12@大阪道頓堀 中座くいだおれビル

1975年、日本のリズム&ブルース史上最も重要な作品『ぼちぼちいこか』が発表された。作者である上田正樹と有山じゅんじはユニットやバンドとして活動を共にしていたが、2人が参加するバンド、上田正樹とサウス・トゥ・サウスの解散とともに、それぞれはソロ・アーティストとして音楽を続けることに。そんな2人が2007年にリユニットし、翌2008年には“くいだおれ”の閉店を記念したライブも揃って行なった。さらに、これを契機として、前出作品を刷新した『ぼちぼちいこか '08』をリリース。同作のジャケットは30年前と同じく、くいだおれ太郎との共演が実現した。しかし、道頓堀からは太郎の姿が消えることに…。事態が変化したのは2009年夏。中座のリニューアル・オープンに伴い、太郎が帰郷することが決定した。そして2010年2月、有山もギターを携えて道頓堀に登場!
ライブは「ありやまぁ♪くいだおれ中座な4nights ♫」と題して、4日間行われた。各日程には豪華ゲストが招かれ、それぞれ趣向が異なったステージを展開。ここでは、2日目の“気持ち、海音、風音、虹の音♪”をピックアップする。
ステージ後方では、いまやレーベルメイト(UKプロジェクト所属)となった、くいだおれ太郎が見守る。入場した有山は、早速ギターを手に「ゆっくり始めましょ」と、ポロポロ弾き出す。お決まりのかけ声“Oh, hey”は、長きにわたる音楽生活から生まれたハスキーな質感。かつ、繰り出されるタイミングがいつも新鮮であることから、それは“有山節”と言ってよい。足踏みするときに鳴る“トントン”も、有山固有の軽快なテイストだ。道頓堀のネオンをバックに、『Ain't Nobody's Business』が始まった。
「今日は、いろんな音の引き出しを出そうと思てる」の言葉のあと、登場したばかりのsaigenjiとともにフルートを演奏。有山が、ギター以外を手にしているだけでもレアなのに、何とそれを奏でているのだ。そんな、豪華すぎるイントロダクションから、ギタリスト・saigenjiのコーナーがスタート。有山によると、この日のサブタイトルにある“風音”とは、saigenjiのことだという。4ビートで高速にアレンジされたキャロル・キングの『It’s too late』は、華麗なるフィンガー・ピッキングで演奏され、観客の耳を爽快に刺激。また、『Rhythm』で披露されたラウル・ミドンばりのマウス・トランペットには、目を閉じて聴き入る聴衆。“風”のごとく、彼から放たれる音は“スーっ”と皆の心に響いていく。有山とのデュオでは『よいしょ、よっこらしょ』を演奏。“よいしょ”のかけ合いのところでは、“よいしょ”ではない言葉を思いつきで発しあって楽しむ2人。タイトルに反したライトなノリに、ゆらゆら揺れながら鑑賞するリスナーの姿も。
続いて現れたのは、小学生の頃から有山の音楽を聴いて育ったシンガーソングライター、川上次郎。レゲエ・ミュージックのテイストをふんだんに取り入れた作風は、まさに“海音”と呼ぶにふさわしい。持参したパソコンでオケを流しながら、またエフェクトを駆使しながら、多彩なサウンドを奏でていく。『aoao』ではコーラスを観客とともに合唱し、会場の温度をググッと上げる。『ウー・ラ・ラ』は有山と一緒に歌い、ギター・ソロは有山が担当。アコースティックなセットで弾く有山のソロは、これまたレアだ。
休憩をはさんで、再び有山のステージが始まる。『光る雪』の途中でマイクが傾くハプニングが発生したが、そこは同曲の歌詞“気をつけろ”を即興的に歌って、むしろホットなシーンへと変化させる。百戦錬磨ならではの切り返しだ。
「後ろにある自転車は、飾りじゃないんです。“今日は、自転車置くとこありますかねえ?”って聞いてきた、チチ松村のヤツです」。有山が説明すれば、「郵便局のモノを譲ってもらったんですよ」と持ち主であるチチ松村が入場。1曲目は『坂道』。かつて、野外コンサート・春一番(1977年大会)において松村正秀名義で歌ったこともある、不朽の名作だ。「当時、この曲を気に入ってくださった有山さんはレパートリーにしてくださって…」と感慨深げ。ゴンザレス三上も混じると、“3人集まって、こたつで話したもんやなあ”と昔話に花が咲く。ゴンチチとしては『scarborough fair』『放課後の音楽室』といった代表曲を演奏。そして+有山では、チチ松村が大好きだという『今夜はカキ色の月が』を。しっとりと、しかし力強いアンサンブルに聴き入るオーディエンスたち。最後は、有山がフルートで参加した西岡恭蔵の遺作『ラ・カーニャ』を、実際に有山がフルートを、そして三上がソプラノ・ギター、松村がギターという編成で締めくくった。
会場は、当然のようにアンコールの拍手を送る。すると有山は意外だったのか、ビックリした様子で“タメ”もなく直ぐに再登場。「こんな予定なかったんやけど…」と言いながらも、『頼むよギター』をバシッと決めた。心温まった観客たちの笑顔は、有山の尽力によって点された“くいだおれ”のネオンと同じく、いつまでも輝いていた。
ライブ写真:古石洋平
文:兼道松
- 有山じゅんじ
- 01)Ain't Nobody's Business
- 02)気持ち
- saigenji
- 03)It’s too late
- 04)Rhythm
- 05)SUNRISE
- 06)Music Junkie
- 有山じゅんじ+saigenji
- 07)よいしょ、よっこらしょ
- 有山じゅんじ
- 08)時代遅れのバースディプレゼント
- 川上次郎
- 09)Don't be afraid
- 10)電話をするよ
- 11)aoao
- 12)夜 星 風
- 有山じゅんじ+川上次郎
- 13)ウー・ラ・ラ
- 有山じゅんじ
- 14)第三の男
- 15)Think Of You
- 有山じゅんじ
- 16)光る雪
- 17)星に願いを
- 有山じゅんじ+チチ松村
- 18)坂道
- ゴンチチ
- 19)scarborough fair
- 20)放課後の音楽室
- 21)B-72
- 22)My favorite things
- 有山じゅんじ+ゴンチチ
- 23)今夜はカキ色の月が
- 24)ラ・カーニャ
- Encore
- 有山じゅんじ
- 頼むよギター