ライブレポート
更新日:2011年2月25日
怒髪天 2011.2.12@なんばHacth「44 “R&E” MAGNUM tour 〜なにわベイブルース〜」 Tweet
1984年に結成。ベテランといわれるほどのキャリアを持ちながら、ここ数年でようやく注目を集めはじめた不屈のロックバンド、怒髪天。この、一見いかつい“不思議なおじさんたち”の魅力を探求すべくなんばHacthへ。まず、始めに驚いたのは、熱気に押しつぶされそうな会場から男女かまわず飛び交う「兄ィー!」の声援。そこからは、怒髪天に対するファンという壁を飛び越えた、家族にも似た愛着が込められているように感じる。「よく来たー!」と兄ィことボーカルの増子直純が答え、『欠けたパーツの唄』『ヤケっぱち数え歌』で、序盤からパワフルかつてんやわんやな男気溢れる演奏で満員の会場を沸かす。
「やっと来ました、大阪。はじめスタッフに、『なんばHacthでやりましょう!』と言われて、ばかじゃねぇのって思ったんだよ。それでも『いけます!』って言われて、『そう?』なんて俺も言ったりして(笑)。ただ、入口の調べによると、異常な量のおっさんが増えているらしいです」と、飾らない口ぶりで増子の軽快なMCは続く。「まぁ、おじさんが増えたと言っても、ステージなんか100%おじさんですからね。OKAMOTO'Sや黒猫チェルシーとか見ていると、ジェネレーションギャップを感じますよ。それは、甲子園球児が全員、年下なんだとショックを受ける感覚と似ていて…。そんなギャップを感じた夜には、男は飲まずにはいられないのです」とつなぐ、『ビール・オア・ダイ』。そんな悲しくも愛おしい日常を、爆発しそうなエネルギーと真心を持ってすくい上げる姿勢こそ彼らの魅力だろう。また、人一倍元気なおじさんたちからは、隣の見ず知らずのひととも肩を組みたくなるような幸福な連帯感とともに、明日への活力をも沸き起こすパワーをもらえるから不思議だ。
その後、桃屋のCMで注目を浴びた『キタカラキタオトコ』、『労働CALLING』など、これまた大爆走ロックンロールなナンバーが続く。「すっごい楽しすぎて、すっごい勢いで体力を奪われてる(笑)。ライブは常にガチンコ、我々も常にガチですからね。でも、俺らずっと、多くのひとの前で演奏したいからやってきたわけじゃないんだ。ひとりひとりの心に届けるためにやってきたんだ。はじめ大阪ファンダンゴで演奏した時はガラガラだったけど、その頃からやっていることは全く変わらないな」。かすれ声で、いぶし銀を感じさせるメロディアスな楽曲『サンセットマン』の演奏では、さっきまで勢いのよかった観客も食い入るように聴き入る。しっかり自分の足でたって歩く。彼らがかき鳴らす、サウンド一音一音からは、不遇の時を過ごしてきた彼らだからこそ裏打ちされた説得力があり、演奏が終わっても、しばらく拍手はなりやまない。
「いやー疲れるね(笑)。でも、今一番伝えたいことが、伝わってる感じがして嬉しい。絶対大阪は俺たちの気質にあうと思っていたから。傷のなめ合いでもいいじゃない。傷つけ合うよりは。俺、今うまいこといったな、ハライチみたいな返しになっちゃった(笑)。でも、ロックバンドのライブには笑いがいるんだよ。俺、よくアンプに足かけてる写真を撮られるんだけど、ただたんに足が痛くてアキレス腱伸ばしてるだけなんだ(笑)」。大声援をうけて、アンコールに入るころには、「今日はやけくそだー! 曲をやると終わっちゃうからな。膝がいたいっていう末期的症状もあるし、もうここで終わりにしたい。でも、今日はいい。出会いはタイミングで、君たちとはちょうどいいように出会うようになっているから。勝手に“仲間”だと思っています。出会いに祝杯あげますか!」と唄う『酒燃料爆進曲』で、温度が上昇しまくった会場に再び油をそそぎ、怒涛の盛り上がりをみせる。
「いやー参ったな。みんなの顔見れないわ。ほかのアーティストとか、ここで演奏して泣いてたりしないの? 15年くらい前は、1円も貰えなくて、チケット作りすぎたり、CD作っては、今回は制作費でたなって喜んだりさ。ずっと4人勘違いしてやってきたんだけど、27年たって成長したかと思ったら、今回も会場限定のシングル『まだ足りないんじゃね?』って作りすぎて、まったく変わってなかった。もうどうしてやろうか。蝋人形にしてやろうか! ありがとう、最高だぜー!!」と涙でぐちゃぐちゃになりながら照れ隠しする増子の姿に、客席にいるみんなの目頭も熱くなる。「よく、これやったらもう死んでもいいとか言うけど、逆にまだまだ死ねないなと思った。ありがとう!」と、体全体を使った全力投球な演奏で観客に恩返し、最後は“アキレス腱伸ばし”のポーズで、4人一緒におじぎをした。増子は、客席に飛びこんで、ひとりでも多くのひとと握手しようとする姿がまた感動的であった。「もう全部渡したぞ!次、絶対みんな生きてあうぞ! ありがとー!」とステージからマイクなしで叫ぶ姿にもう涙で前が見えません! すばらしく熱い、熱いライブでありました。
写真:渡邉一生
文:辰巳春香
- 01)欠けたパーツの唄
- 02)ヤケっぱち数え歌
- 03)オトナノススメ
- 04)北風に吠えろ!
- 05)夕暮れ男道
- 06)ビール・オア・ダイ
- 07)キタカラキタオトコ
- 08)労働CALLING
- 09)俺達は明日を撃つ!
- 10)旅路
- 11)男は胸に…
- 12)オレとオマエ
- 13)つきあかり
- 14)サンセットマン
- 15)男達のメロディ
- 16)宿六小唄〜ダメ男に捧ぐ〜
- 17)NO MUSIC,NO LIFE.
- 18)なんかイイな
- 19)喰うために働いて 生きるために唄え!
- 20)そのともしびをてがかりに
- Encore
- 01)酒燃料爆進曲
- 02)サスパズレ
- 「LIVE LIFE LINE tour」
- 2011年5月24日(火)会場:神戸 太陽と虎
時間:OPEN 18:30/START 19:00 - 2011年5月26日(木)会場:滋賀 U-STONE
時間:OPEN 18:30/START 19:00 - 2011年5月27日(金)会場:奈良 NEVER LAND
時間:OPEN 18:30/START 19:00 - 2011年7月1日(金)会場:大阪 BIGCAT
時間:OPEN 18:00/START 19:00
1984年に札幌にて結成された増子直純(Vo)、上原子友康(G)、清水泰次(B)、坂詰克彦(D)からなる4人組ロックバンド。JAPANESE R&E(リズム&演歌)というオリジナルのジャンルを確立し、精力的なライブ活動を展開。1991年にはメジャーデビューを果たすものの、1996年に活動休止。1999年に、約3年の沈黙を破り、活動を再開する。ライブ活動を中心に知名度をあげるなか、特に2008年からの快進撃は凄まじく、夏に“RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO”でベストアクトを務め、“COUNTDOWN JAPAN 08/09”では年越しアクトという大役を果たすなど、いつしかシーンになくてはならない存在へ。CM出演を果たした桃屋「辛そうで辛くない少し辛いラー油」も大ヒットに導くなど、今も未開の地を次々と開拓し続ける。
http://dohatsuten.jp/index_gate.html
