谷じゃこの短歌ええやん!第1回「とろさば料理専門店SABARでサバ愛を詠む」

2017/07/24

WRITERテキスト:トライアウト・福井英明/撮影:トライアウト・田村朋子

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谷じゃこの短歌ええやん!第1回「とろさば料理専門店SABARでサバ愛を詠む」

大阪を拠点に活躍中の短歌作家・じゃこさんが街で出会った人と自由気ままに短歌を作るコーナー。記念すべき第1回のゲストは、「とろさば料理専門店・SABAR」を全国に展開する株式会社鯖や/株式会社SABAR代表の右田孝宣さんです。

実は谷じゃこさん、無類のサバ好き。サバを愛しすぎて、産地を訪ねてはるばる青森県や福井県、高知県まで旅したという情熱家です。そんな谷じゃこさんと、自称サバ博士の右田さんの対談から、一体どんな言葉が編み出されるのでしょうか。


サバのポテンシャルはすごい

:今日はよろしくお願いします。

右田:よろしくお願いします。いつも「なぜ、そんなにサバが好きなんですか?」と質問されるのですが、今日は初めて逆に質問します。谷さんはどうしてサバに魅せられたんですか?

:昔、スーパーの冷凍サバが美味しくて、そればっかり食べているうちにファンになってしまいまして。

右田:「美味しい!」から始まっているんですね。

:あと見た目もかわいい。見た目といい、味といい、すごくバランスの取れた魚だと思います。でも「好きな食べ物がサバ」というと、たいてい「えっ?」という顔をされます。

右田:そうですよね。僕もSABARを始めて約3年半になりますが、当時はサバ専門店なんてありませんでした。「サバ1本では無理だ」とも言われましたね。でもSABARはクラウドファンディングを活用して開いたのですが、予想以上に資金が集まり「サバの潜在ニーズってすごい!」と感じました。

:サバのポテンシャルはすごいんです。でも身近すぎて、あまり気付いてもらえないんですよね。

右田:確かに価値観は低いですよね、神戸牛と違って。

:でもコンビニなんかではサバの惣菜が人気だったりしますね。

右田:昔からサバは大衆魚として誰もが食べる魚だったので、みんな好きなはずなんです。でも大衆魚なので期待値は低い。元々、SABARへのお客さまの期待値も低かったのですが、私たちは良い意味でその期待値を裏切ろうと思って続けてきました。

あふれるサバ愛

:右田さんも昔からサバ好きだったんですか?

右田:いえ、僕は19歳まで魚はまったく食べられなかったんですよ。食わず嫌いで。

:そうなんですか!? きっと、その反動が来たんでしょうね。

右田:はい。美味しさを知ってから爆発したんだと思います。先週なんて、一週間のうち6日はサバを食べましたから。出張などで食べられない日は、カバンに常備しているサバ缶をホテルで。

:サバ缶を常備しているなんて! サバ愛がすごい……。

右田:愛していますね。この10年ほど、他の魚に浮気することなく、サバ一筋ですからね。今では味だけで産地を当てられますよ。

:体がサバ仕様になってしまっているんですね。

右田:僕はお酒をすごく飲むんですが、健康診断はいつも優秀ですよ。

:サバのお陰ですね。

右田:先日、お店のスタッフと一緒にサバだけでダイエットする「サバザップ」というのをやったんですよ。1ヵ月間、サバ以外の動物性たんぱく質はNG。それ以外は特に制約なし、というもの。全員やせましたよ。

トップがサバの会社

:お店を経営する上でのモットーは何ですか?

右田:うちの会社は組織図の一番上にサバがいるんですよ。社長はその下(笑)。

:右田さんの上司がサバなんですね。

右田:はい。常に心の中でサバの声を聞いているといいますか、サバにお伺いを立てながら仕事をしています。「こんなことしたら、サバが怒るかな……」と。

:サバ上司は厳しいんですか?

右田:はい、すぐにヤキモチを焼くので。時々、飲食店のプロデュースを依頼されることがあるのですが、基本的にはお断りしています。サバ以外のことに気持ちを向けると怒るんですよ。

:サバが喜ぶことしかしないんですね。

右田:そうです。サバのためになるなら、色々と協力します。最近では小浜市と提携し、若狭湾での養殖によってサバの供給を増やす「鯖復活プロジェクト」という取り組みを始めました。また、西日本旅客鉄道が鳥取県および岩美町と提携して商品化した「お嬢サバ」の開発にも携わっています。

:お店を経営しながら、幅広く活動されているんですね。

右田:サバの普及や、サバ文化の発展につながることなら、喜んで協力したいです。

:スタッフさんも、みんなサバが好きで入ってくるんですか?

右田:いや、最初はあまり関係ないですね。働いているうちに染まってくる、という感じです。普段のコミュニケーションにもサバがあふれているので。

:コミュニケーションにも?

右田:メールはまず「皆サバ、お疲れサバです」から始まります。お客さまのことは「お客サバ」、お店はネバーランドならぬ「サバーランド」です。ここの社員はサラリーマンではなくサバリーマン(笑)。

:ダジャレが多い職場なんですね。右田さんが考えてるんですか?

右田:僕が多いですけど、スタッフと一緒に考えたものもありますよ。サバーゴーラウンド、サバイキング、サバ口言葉……。

:すごい。言葉遊びが得意なので、絶対に短歌に向いていますよ。色々と楽しいお話を聞けたので、短歌を作ってみましょうか。

何を歌の主題にするかを決める

:まずは私が簡単に作ってみます。サバの気持ちになって思いついた歌を1つ。

右田:すごい、サバの気持ちになれるんですね。しかも、「ここで食べられるならいい」って、サバに認めてもらえたんですね。

:次は「食べたい」という気持ちを歌にしてみました。

右田:なるほど。よだれでご飯が食べられますね。

:まず何を言いたいかを決めて、それをどう面白く表現するかを考えるんです。例えば「脂がのってる」ということを歌おうと決めたら、「サバを食べたら脂がいっぱいで溺れそう」と過剰ぎみに話を作ってもいいんです。さらに「溺れる」という言葉から展開して、「でも、ここは海だから大丈夫か」とオチをつけるとか。

右田:すごい! 才能ですね。

サバを読むサバ博士

:たとえば、右田さんて「サバ博士」を名乗っていますよね。そこから何か歌にできるかも知れませんね。

右田:そうですね。とにかく、この10年くらいサバばっかり追いかけていましたし、サバの為ならどこへでも、という感じでしたね。

:今の「サバの為ならどこへでも」って語呂がいい。「サバ博士」が5文字なので、ピッタリじゃないですか。

右田:「サバ博士 サバのためなら どこへでも」ですか。まさに僕のことですね。

:あとは下の句ですね。「気づけば今日もサバを食べてる」みたいな話にします?

右田:いいですね。思いのほか大量に食べてる、みたいな。

:じゃあ「サバを読む」にしましょうか。本当は山ほど食べてるけど、サバを読んで少なめに考えてる、みたいな。

:何か面白いですね。色んな解釈ができて。この「サバを読むかな」は、「本当はめっちゃ食べてるけど、そんなに食べてないよ」と、サバに対してサバを読んでるのかも知れないですね。

座右の銘やモットーを歌に

右田:いつも言ってる言葉で「サバのご縁に感謝」というのがあります。

:名言ですね。短歌にできそう。

右田:日本全国でサバを通して、たくさんの人と出会えたし、企業や自治体とのつながりも生まれました。

:全国で、というのがいいですね。やっぱりサバって日本中で愛されてる魚ですからね。

右田:はい。本当に全国各地どこへ行ってもサバのご縁があるんです。

:今の言葉をつなげたら、そのまま短歌になりそうですよ。短歌は必ずしも頭から作っていかないといけないわけじゃないので、「つながるサバのご縁に感謝」っていう風にすれば、下の句の完成です。後は五七五を足せば……。

右田:何か、コツが分かってきました。

:どんどん作れるようになってきましたよね。さっきの「週に6日サバを食べた」という話とか、おもしろい短歌にできそうですよ。

右田:確かに。さっきの休肝日ならぬ「休サバ日」をオチにできそうですね。

:サバ缶の「缶」を使って「休缶日」にしたらどうです?

右田:それ、いいですね。最後は「かな」にしましょうか。

:素晴らしい! 最後に「かな」を入れていることで「何だかんだで今日も食べるんじゃないの?」という疑惑が残りますね(笑)。

リズムの取り方が分かれば簡単

:短歌を作ってみて、どうでしたか?

右田:正直、最初はチンプンカンプンでした。途中まで「僕が短歌を作るなんて絶対ムリ」と思ってました。

:でも途中からサクサクと出てきましたよね。

右田:リズムの取り方が分かってから、一気に簡単になりましたね。キーワードを拾っていただいて別の言い方に変えてもらったり、「必ずしも頭から作らなくていい」と言っていただいたりして、そこからコツをつかめた気がします。

:良かったです。普段からお店のキャッチコピーを考えたり言葉遊びをされていたので、絶対得意な方だと思いますよ。

右田:うれしいですね。こんな短時間で作れるようになるとは思っていなかったので。

:これからも機会があれば作ってみてください。そして、ぜひお店に飾ってください。

右田:わかりました!今日はありがとうございました。

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谷じゃこさんと右田さんがサバサバ言うから私も食べたくなってきたわ

喜び
  • SABAR
  • 店舗情報

    SABAR 大阪福島店

    大阪市福島区福島2-2-2 1F
    TEL 06-6147-3801
    Lunch 11:38~14:00(13:30 LO) ※祝日 11:38~15:00(14:30 LO)
    Night 17:00~23:38(22:38 LO) ※祝日 17:00~22:38(21:38 LO)
    定休日:第3日曜
    個室あり/テイクアウトあり

    SABAR 店舗一覧:http://sabar38.com/shop.html

  • 右田孝宣さん
  • プロフィール

    右田 孝宣

    株式会社鯖や/株式会社SABAR代表取締役。とろさば料理専門店「SABAR」を国内外で13店舗展開する傍ら、養殖、流通、商品開発などサバの普及に関する事業を幅広く手がける。自ら「サバ博士」と名乗ってサバ文化の啓発にも努める。

  • 谷じゃこさん
  • プロフィール

    谷じゃこ

    短歌作家。大阪を拠点に、独特の視点で世の中を切り取った短歌を生み出し続けている。主な著書に『ヒット・エンド・パレード』、短歌で遊ぶフリーペーパー『バッテラ』や短歌zine『めためたドロップス』など。

    ホームページ「鯖レター」:http://sabajaco.com/
    公式Twitterアカウント:@sabajaco

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