谷じゃこの短歌ええやん!第2回「短歌とヨガの共通点とは?」

2017/08/09

WRITERテキスト:トライアウト・福井英明/撮影:トライアウト・田村朋子

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谷じゃこの短歌ええやん!第2回「短歌とヨガの共通点とは?」

大阪を拠点に活躍中の短歌作家・谷じゃこさんが、街で出会った人と自由気ままに短歌を作るコーナー。2回目のゲストはヨガスタジオでインストラクターを務めるSAYAさんです。

「体がめちゃくちゃ硬い……」という谷さんがヨガのポーズに挑むかたわらで、SAYAさんが初めての短歌づくりに挑みます。話を進めるうちに、短歌とヨガには意外な共通点があることが見えてきました。

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「ナマステ」という言葉の重さ

SAYA:今日はよろしくお願いします。

:よろしくお願いします!短歌を作ったことはありますか?

SAYA:まったくないです!知識もほとんど無いのですが、大丈夫ですか?

:大丈夫です。たいていの人は「短歌」って聞いても「何文字だっけ?」とか「季語っているの?」とか……。

SAYA:私もそのレベルです!

:短歌は五七五七七の31文字が基本。何を語ってもいいので、自分の気持ちを表現するのに便利なんです。今日は例としてヨガの短歌を作ってこようと思ったんですが、ヨガをやったことがなくて……あきらめて「カレー」で作ってみました。

ナマステに 応えるように 手を合わす ダルカレー ごちそうさまでした

SAYA:すごい。「カレーを食べた」という、ごく普通の出来事でもつくれるんですね。

:下の句は、厳密にいうと「七七」にはなっていないんですが、「ダルカレーごち/そうさまでした」と計14文字になっていて、その辺の融通は効くんですよ。

SAYA:そうなんですね。ところで、この短歌には「ナマステ」という言葉を使っていますが、これはヨガの世界でも大切な言葉なので、この「ナマステ」から話が広がりそうです。

:インドの挨拶の言葉ですよね?

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SAYA:よく「こんにちは」とか「ありがとう」と訳されるんですが、「ナマス」は「敬う/相手に捧げる」みたいな意味で、「テ」は「あなた」を指します。つまり「ナマステ」は「私自身をあなたに捧げます」という非常に重い言葉なんです。

:そうだったんですね!

SAYA:気軽な挨拶というよりは、1日に1回、礼拝のつもりで使う言葉なんです。これはヨガを行うときの気持ちにも通じているんですよ。

自分を「みつめる」ということ

:私、ヨガをやったことがないんですが、有名なポーズってありますか?

SAYA:「鳩のポーズ」とかどうでしょう?

鳩のポーズ

:いたたたた……。けっこう複雑なポーズですが、ちゃんとできていますか?

SAYA:きれいにできていますよ!

:すごい、動いていないのに汗が出てきますね。ちなみに、私はサバが大好物だったり、名前も「じゃこ」というほど魚が好きなんですが、「魚」がつくポーズとかもありますか?

SAYA:「魚のポーズ」ってありますよ。ちょっと難しいんですが……。

魚のポーズ

:これは、辛い……。

SAYA:無理しないでくださいね!

:そういえば、ヨガには動物の名前が付くポーズが多いですよね?

SAYA:他にも「コブラのポーズ」とか「カメのポーズ」とか。動物以外にも「木のポーズ」など、自然をテーマにしたポーズはたくさんあります。それぞれが持つエネルギーを感じながらポーズを取ることが大切なんですよ。

:全部で何種類くらいのポーズがあるんですか?

SAYA:全部といわれると分からないですね。本当にたくさんあって、流派や先生によって細かい部分が違ったりするので。

:そうなんですね。ヨガで大切なことは何ですか?

SAYA:ヨガで大切なことは「自分の心の動きを静める」こと。心の動きは目に見えるものではなく、なかなかコントロールできないですよね。だから、まずはポーズによって体をコントロールし、それを積み重ねることで心の動きを静めるんです。

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:なるほど。ポーズを取りながら自分の内面と向き合う、ということですか?

SAYA:そうですね。「自分自身を観察する」といいますか。「心の動きを観る」といいますか。あと、「結果を放棄する」という教えもありますね。

:結果を放棄する?

SAYA:はい。「ポーズを取る」という目の前の作業にコツコツと向き合うんですが、結果は放棄する、というのがヨガの教えの1つです。結果を焦らず、何かをコツコツと続けることで心が穏やかになる。それがヨガの面白いところですね。

:仏教の「煩悩を捨てる」という考えに似ていますね。

SAYA:そうですね。ヨガを通して「何が煩悩なのか」「何が心を煩わせているのか」を把握することで、心のブレを無くすことを目指すんです。すごくエラそうに言ってますが、私も全然できていません(笑)。

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:でも「自分自身の心を観る」というのは、短歌にも言えることかも知れません。私もうれしかったことや辛かったことを31文字にまとめることで、気持ちを整理しています。

SAYA:それって、まさに「ヨガ」ですよね!実はヨガって「自分と向き合う」というきっかけさえあれば、日常の色々な場面でできるんです。谷さんは、それを「短歌」でやっているんですね。

:そうですね。仕事でもスポーツでも、突き詰めていけば人のやっていることって「自分と向き合う」ということですもんね。

ヨガも短歌も意外と自由

SAYA:短歌って、どんな言葉を使ってもいいんですか?

:いいですよ。「ポエムっぽくしないといけない」とか「この言い回しを使わないといけない」とかいう決まりはなく、自由につくってもらっていいんです。テーマも自由で、何を短歌にしてもOK!

SAYA:そこもヨガに似ていますね。私は小さいころクラシックバレエを習っていたんですが、バレエには決められた「型」があるんです。でもヨガはバレエほど厳しくなくて、最初はビックリしました。

:そうなんですね。短歌も一応「五七五七七」という定型はありますが、字余り・字足らずがあってもいい。ヨガもポーズが決まっているように見えて、自由なんですね。

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SAYA:なぜ自由かというと、最終的には「体」ではなく「心」に作用するものだからです。さっきも言った通り、ヨガで大切なことは「自分の心をみつめる」ことなので。型を厳しく決める必要はないんですね。だから、世界中で老若男女に愛されているんだと思います。

「太陽礼拝」で心を静める

:いろいろなキーワードが出ましたが、「心」という言葉はヨガの短歌を作る上でもカギになりそうですね。

SAYA:確かに。ずっと自分の心を見ていますからね。「動いている心を静める」という言い方もできますし。

:ずっとヨガをしていると、心に対する感覚も研ぎ澄まされてくるのでしょうか。

SAYA:そうですね。今ではポーズを取っている時も、取っていない時も、ずっと自分の心と向き合っています。その意味では24時間ヨガをしてる。常にもう一人の自分の声を聴いている感覚ですね。

:心が荒れることとか、無いんですか?

SAYA:ありますよ。育児をしているので、やっぱり「も~っ!」となることはありますね。その心をヨガで静かな状態に戻す、ということの繰り返しですね(笑)。

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:そんなリセット法があるのはうらやましいですね。ところで、ヨガならではの言葉で何かキーワードになりそうなものってありますか?

SAYA:そうですね……「太陽礼拝」を表す「スーリアナマスカーラ」というのはどうでしょう。太陽への感謝を表す12の連続したポーズで、ヨガの基本動作ともいえます。

キーワード

:いいですね。インパクトもあって、意味も素敵です。

SAYA:体は動かすのですが、心は落ち着く。

:それ、短歌に盛りこめそう。

SAYA:「体動けど心を静め」みたいな。

:いいじゃないですか!これで下の句はできましたね。「スーリアナマスカーラ」を頭か真ん中に持ってきて、あとひと言だけ足せば。ずっと話に出ていた「自分の内側を観つめる」というのを入れてみますか。

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SAYA:「内側を観つめるスーリアナマスカーラ」ですね。

:「内側を/観つめるスーリア/ナマスカーラ」で、五八六でちょっと字余りですけど、全然問題ありません。

SAYA:すごい!できましたね!

内側を観つめる スーリアナマスカーラ 体動けど 心を静め

:ずっと話していたヨガのことが一首にまとまりましたね。

SAYA:うれしいです。初めてつくった短歌ですが、ヨガをやっている人が見てもちゃんと意味が通る歌ができるなんて。

:いいですね。私も1つ詠みたくなってきました。さっき「鳩のポーズ」を教えてもらって、SAYAさんに褒めてもらったのがうれしかったので。

いつもより 自身ありげな 二の腕の 鳩のポーズがきれいに決まる

SAYA:すごい!こんなにサラッとつくれるなんて。

:私も初めてヨガをやってみて、すごく楽しかったので。しかも、少しポーズを取っただけなのに汗がいっぱい出て気持ちいい!

SAYA:デトックスですね。

:短歌も感情を表に出すことができるので、一首つくれたら気持ちいいんですよ。

SAYA:なるほど!短歌もデトックスなんですね。そんなところまで共通してるなんて!

:初めて短歌を考えてみて、どうでしたか?

SAYA:すごく勉強になりました。異業種というか、普段関わらないことを専門にしてる方と話をするのは刺激になりますね。しかも根っこの部分でヨガと共通するものがあると分かって、とても面白いです!

:ありがとうございました!また機会があればつくってみてください。

SAYA:はい、ありがとうございました!

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またサバの話してる……

驚き
  • ヨガスタジオ CALM
  • 店舗情報

    ヨガスタジオ CALM

    大阪府大阪市鶴見区鶴見5-1-13 2F
    TEL 0120-22-8789
    http://calm-yoga.com/

  • SAYAさん
  • プロフィール

    SAYA

    6才よりクラシックバレエを始め、海外のさまざまなバレエスタイルを学ぶ。その後ヨガに出会い、ラージャヨーガ、カルマヨーガ、ハタヨーガ、シバナンダヨーガ、瞑想法などのヨーガを本格的に学び実践中。現在はヨガインストラクターのほか、スポーツジムでパーソナルトレーナーとしても活動している。 スワミヴィベカナンダヨーガ財団研究所(インド政府公認団体)ヨガインストラクター取得/ヨガセラピスト 取得

  • 谷じゃこさん
  • プロフィール

    谷じゃこ

    短歌作家。大阪を拠点に、独特の視点で世の中を切り取った短歌を生み出し続けている。主な著書に『ヒット・エンド・パレード』、短歌で遊ぶフリーペーパー『バッテラ』や短歌zine『めためたドロップス』など。

    ホームページ「鯖レター」:http://sabajaco.com/
    公式Twitterアカウント:@sabajaco

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