「ビックリマンチョコの一番の強みは『色々な形の思い出』」『ビックリマンと僕らの次代』第3回

2017/10/04

WRITERインタビュー:Zing!編集部 ピーター/インタビュー・テキスト:トライアウト福井英明/トライアウト関水大樹

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「ビックリマンチョコの一番の強みは『色々な形の思い出』」『ビックリマンと僕らの次代』第3回

1980年代に一大ブームを巻き起こし、近年はコラボを軸に新たな展開を見せているビックリマンチョコ。前回の「ロッテ担当者に聞く『ビックリマンらしさ』とは」では、仕掛け人である株式会社ロッテ・マーケティング統括部の本原正明さんに、コラボの実現に至るまでの構想や「人をビックリさせる」というコンセプトの神髄についてインタビュー。今回は新たな若年層ファンの開拓に至るまでの道のりや、今まで築いてきたビックリマンのブランドとその強みについてお話を伺いました。


今の若年層は拡散するネタを探している

――コラボをはじめ、ビックリマンチョコの新しい展開に力を入れておられますが、本原さんご自身はビックリマンのファンだったんですか?

私は1984年生まれなので、ビックリマンチョコの、いわゆるコア世代ではないんです。小さい頃はずっとサッカーをやっていて、年上の先輩たちからシールやウエハースをもらって知っていた程度です。でもキラキラしたシールは子供ながらに「かっこいい」という目で見ていたので、机にヘッドロココとかのシールは貼ってあったんです。ただ、あくまでも「かっこいいシール」という位置づけだったと思います。

――そんな本原さんが、なぜこんなにまたビックリマンチョコを盛り上げることができたんだと思われますか?

2013年にビックリマンチョコを含むチョコビス商品の担当になったのですが、色々なマーケティングデータを見ていて一番可能性を感じたのがビックリマンチョコでした。買っている方の90%は30~40代のコア世代で、復刻版などを出せば一時的にドンと売れる。だったら「ファンの幅を広げれば、もっともっと売れるはず」と思ったんです。もともと私は新しい手法で攻めるタイプだった上に、コア世代じゃなかったからこそ従来のビックリマン観に捉われずに色々な展開に挑戦できたんだと思います。

おかげさまで、2011年頃と2017年を比較すると売上が約6倍に伸びています。社内でも「元気なブランドといえばビックリマンチョコ」と言われるようになりました。購買層に占める10~20代の割合も約8%から35%近くまで増え、狙い通りの結果になっています。

本原正明さん

――若年層にアプローチする上では、どのようなリサーチをされているのでしょうか。

Twitterなどのソーシャルメディアをチェックしたり、母校の大学に行って大学生に直接話を聞いたりもしています。2013年頃は、そもそもビックリマンチョコを知らない人が多かったのですが、今では7~8割の学生が知っています。やはりコラボの影響が大きくて「生協で『AKBックリマン』を見て知った」といった声を多く聞きます。

ワンピースマンチョコを出したときは、大学生たちの中にも箱買いをする人がいて、箱買いをすると大学内でもヒーローになれるようでした。今の若年層はソーシャルメディアで拡散するためのネタを探しているんです。80年代のブームとはまた違った楽しみ方ですよね。だから、いかに拡散したくなるネタをふりまいてあげるか、というのが今の販促を考える上で重要なポイントだと思っています。

――若い世代にも着実にビックリマンのファンが増えているのはうれしいですね。

そうですね。就職活動中の学生の中にもビックリマンチョコというワードを使われる学生が以前より増えているようです。ロッテの中でも華やかなブランドに見えているようで、そう思われるようなブランドになったのはうれしいですね。

ブランドの強みを時代に合わせて活かす

――かつてビックリマンチョコがブームになった80年代と現在の市場環境の違いをどのように分析されていますか?

80年代はインターネットもない時代で、今のような便利さは当然ありませんでしたが、あの頃はアニメの名作が多かったと思います。情報を得る手段が限られていた分、人々の想像力が豊かな時代だったんですよね。今は何でも検索できる環境があり、みんな瞬発的に答えを求める時代です。難解なストーリーが受け入れられにくいので、「名作」といわれる作品も少ないように感じます。

80年代はビックリマンの個性的なキャラクターと裏書きに秘められた意味深なストーリーに対し、子供たちが想像力を巡らせて楽しむ土壌がありました。今はストーリーで興味を持たせるよりも、ソーシャルメディアですぐにネタにできるコラボのような展開の方が時代に合っているような気がします。ビックリマンというブランドの強みを時代に合わせてどのように活かすか、という視点が重要ですね。

本原正明さん

――本原さんが考えるビックリマンの強み、特長とは何でしょうか。

まずは何よりもイラストのパワーですよね。誰が見てもビックリマンとわかるビジュアルで、すごく訴求力がある。これはデザインを担当してきたグリーンハウスさんの力で、私に課せられた使命は「いかにこれを魅力的な形で消費者に届けるか」です。

2010年頃にゆるキャラがブームになりましたが、ゆるキャラには2等身のものが多いですよね。くしくもビックリマンのキャラクターも基本的に2等身なので、ビジュアル的にも時代の波にマッチしていると思います。このような状況も活かしつつ、最適な形で消費者に届ける方法を常に考えています。

――パッケージも80年代から変わらない特徴的なデザインですよね。

そうですね。このサイズのパッケージって他になくて、私は文化財だと思っています。横型なので面で見えやすく、棚と棚の間でも埋もれにくいんです。また、店頭ではたいてい30個入りの箱に入れた状態で売られていますが、あの箱もすぐれたデザインです。そのままPOPにもなる上、コアなファンが箱買いできるメリットがあります。だから店舗の方もレジ横などの売れやすい場所に置いてくれる。パッケージも箱も、お客様の目に止まりやすく、一目でビックリマンだと分かるというのが特長だと思っています。

80年代から変わらないビックリマンのパッケージデザイン

ビックリマンの強みは様々な形の「思い出」

――今までお話いただいた「イラストのパワー」「パッケージのデザイン」以外にもビックリマンチョコの特長は何かありますか?

そうですね。例えば2015年7月にアパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>とコラボキャンペーンを行った事例があります。キャンペーンの一環としてホテル内の露天風呂を偶数日は白色の「天使の湯」に、奇数日は黒色の「悪魔の湯」にする「悪魔VS天使の湯」というイベントを実施しました。これは「キミも入ったら入り返せ」というコンセプトで企画したのですが、その元にあるのは「悪魔VS天使シリーズ」発売当初のコンセプトだった「キミも貼られたら貼り返せ」です。

天使の湯(左)と悪魔の湯(右)

天使の湯(左)と悪魔の湯(右)

80年代のブームを生んだコンセプトや世界観で、それらを「今の時代に合わせて少しズラす」ということも、マーケティング戦略を考える上で重要な視点だと思っています。私が思うビックリマンチョコの一番の強みは、思い出が色々な形で存在していること。友達と交換したり、お兄ちゃんからもらったり、貼ったり貼り返したり……。色々な形の思い出があるから、色々な活かし方ができる。つまりコラボなどのプロモーションを多角的に展開しやすいんです。

――なるほど。今後、予定している新しいコラボはありますか?

10月24日にワンピースとの2回目のコラボ商品「ワンピースマンチョコ2」を発売します。同じ相手とのコラボを2回やるのはワンピースが初めてです。今までいくつもコラボ商品を出してきましたが、中でも「ワンピースマンチョコ」は特にヒットしたコラボです。多くのコラボ商品は、発売直後に売上が伸びた後にだんだん落ちていくんですが、ワンピースマンチョコはなぜか落ちないんです。最初にコアなファンが一気にまとめ買いして、それをSNSで拡散することで、今度はライトなファンがたくさん買ってくださるんですね。しかもワンピースは今の20~30代とその子供世代にもファンがいるので、2世代にわたってヒットするんです。

ワンピースマン2

「ワンピースマン2」では「夢の頂上決戦シール」が登場。第1弾「超新星編」はスーパーゼウスvsポートガス・D・エース(上)。第2弾「新世界編」はブラックゼウスvsモンキー・D・ルフィ(下)の対決が限定シールに!

「ワンピースマンチョコ2」では、ファンの投票によって1番人気に輝いたビックリマンとワンピースそれぞれのキャラクターによる頂上決戦をイラスト化した限定シールが登場。ファン参加型で新たなシールが生まれるという史上初の試みですので、楽しみにしていてください!

©LOTTE/ビックリマンプロジェクト
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

シールもだけど、チョコも美味しくて好きだったのよね

ほほえみ
  • 本原正明さん
  • PROFILE

    本原正明

    株式会社ロッテ マーケティング統括部
    ブランド戦略部 チョコ・ビス企画室

    2007年、ロッテ入社。菓子営業および本社営業企画部を経て、2010年より商品開発部(現・マーケティング統括部)に所属。現在「ビックリマンチョコ」を含むチョコビスカテゴリーのマーケティングを担当する。

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