「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回

2017/10/27

WRITERテキスト:トライアウト・福井英明/撮影:佐伯亜由美

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回

大阪を拠点に活躍中の短歌作家・谷じゃこさんが、面白い仕事をしている人と自由気ままに短歌をつくるコーナー。5回目のゲストはWeb制作事務所「ウェブレイス」を運営するかたわら、障害者の就労支援などを手がける「一般社団法人みがく」の代表を務める建山和徳さん。以前「障害者支援で得られる視点」にも登場してくれた建山さんですが、今回はWebのスペシャリストとして、その仕事の魅力を深掘り。第4回に続き、史上初(?)となる、HTMLやCSSの表現を使った短歌ができました!


はじまりは「まんが甲子園」で日本一になったこと

谷じゃこ(以下、谷):建山さんはWebの専門家なんですね?

建山和徳(以下、建山):正確にいうとWebの「何でも屋」ですね。

谷:何でも屋……?「Webデザイナー」とか「アドバイザー」とかではなく?

建山:もちろん、ホームページのデザインもしますし更新のアドバイスなどもしますが、もっと幅広い意味でクライアントのお手伝いをしています。

谷:例えば、どんなことをされるんでしょうか?

建山:フロントエンドエンジニアとしてユーザーが直接目にする部分の動きをつくることもあれば、「こんな記事を載せましょう」とコンテンツの提案をすることもあります。時には「プリンターが動かないから見てほしい」みたいな相談を受けることも。

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-01

谷:街の電気屋さんみたいですね(笑)。

建山:「あそこに頼めば、何かしてくれる」と思ってもらえるような仕事を心がけています。必要なら紙のチラシをつくったりもしますよ。

谷:そんなこともできるんですか!

建山:実は高校生の頃、漫画研究会に所属していて「まんが甲子園」(全国高等学校漫画選手権)で日本一になったこともあるんです。だからグラフィックデザインの道に進もうと思ったことも。

谷:すごいですね! そこからどうしてWebの方に進まれたのでしょうか?

建山:グラフィックデザイナーになろうと思って取りあえずMacを買ったんですが、けっこう難しくて……。で、当時はちょうどインターネットが普及し始めた頃で、僕もいろいろなサイトを見るのが面白くて「グラフィックも面白いけど、ホームページをつくる方がいい!」と感じたんです。

谷:そこからWebの勉強を?

建山:はい。当時は教える人も少なかったので、ほぼ独学で学びました。といっても、インターネットを通じて人とつながるのが面白かったので「楽しみながら知識が増えていった」という感じでしょうか。自分たちだけのチャットルームをつくったこともありましたね。

谷:楽しそうですね。遊びながら専門家になっていったイメージですね。

建山:そうですね。他にもオリジナルデザインのフォルダアイコンをつくって、自由にダウンロードできるページをつくったらファンができたりもして(笑)。その延長で今に至っているので、今でも仕事は楽しいですね。

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-02

「デザイン」は「設計・計画」

谷:でもWebって、どんどん技術が新しくなっていくイメージがあるのですが、それに対応していくのは大変じゃないですか?

建山:確かに、そこは大変です。1~2年でスタンダードが変わっていくので。ずっと独学で来たので、なおさらですね。ただ、大切なことはクライアントの課題や目標を明確にして、その解決手段を探っていくこと。その視点は変わらないですね。

谷:大切なのはデザインや技術だけではないんですね?

建山:そうですね。一時期、大学でデザイン概論の講師を務めていたのですが、最初に学生たちに「『デザイン』って何ですか?」と聞くんです。すると学生たちは「情熱です」とか「感情の表現です」とか、「人生です」とか面白い答えを返してくれる(笑)。

谷:みんな解釈が違って面白そうですね!

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-03

建山:一応、直訳としては「意匠」だけどわかりづらい。僕は、その後に自分の解釈として「デザインとは『設計・計画すること』だ」という話をするんです。アート作品だったら「感情の表現」でいいのですが、商業デザインは「どのように目標を達成していくか計画すること」なんだと。

谷:へぇ! 単なる見た目の「カッコいい、ダサい」という話ではないんですね。

建山:目的に沿ったことをしているかどうかが大切ですので。例えば「新卒採用を増やしたい」という目的があるクライアントには、「関わった仕事をブログ形式で紹介していきましょう」とか「日々のランチをリレー形式で紹介して、職場の雰囲気が伝わるようにしましょう」とか。「何を載せるか」という中身の提案も大切です。

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-04

谷:けっこう長期的なお付き合いになるんですね。

建山:はい。だから、クライアントの中にはホームページ制作のお手伝いから始まって、社内のチームづくりにまで関わっているところもあります。

谷:ホームページをつくって終わり、ではないんですね。

建山:そうですね。それだと生き残れなくなっていくので、つくった後の運用から、クライアントの全体的な目標達成まで支援していかないといけません。でもその方が面白いですよね。

HTMLで短歌をつくる?

谷:たまに何年も更新されていないサイトを見かけますが、何となくかわいそうですよね。

建山:そうですね。ホームページは生き物なので、こまめにケアしてあげないといけません。

谷:ときどき、ページそのものがなくなっていることもあって、そのとき「404 Not Found」って表示されますよね。それが印象的で、一首つくってきたんです。

404 Not Found 今日もまた あなたに会えず 世界はフリーズ

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-06

建山:ステータスコードを入れるって面白いですね。短歌ってこんな自由につくっていいものなんですね。

谷:いいですよ。31文字ということ以外は、何の制約もありません。

建山:「503 Service Unavailable」とか「403 Forbidden」とかでもつくれそう(笑)。

谷:ステータスコードを使った短歌を何首かつくって「連作」という形にするのも面白そうですね。

建山:Webの用語を使ってもいいなら、いろいろ面白くできそうですね。CSSとかコンバージョンとか。

谷:最初の方に「フロントエンド」という言葉も出てきましたね。

建山:そうそう、実は最近、ダイエットブログを始めたんです。フロントエンドっていわば表に出る「身だしなみ」のことですし、CSSは「スタイル」を決めるもの。何かつなげられそうですね。

谷:それは面白いですね。Webページをつくることをダイエットに置き換えて表現するのもいいと思います。ちなみにダイエットの目標は?

建山:マイナス20kgです。あ、それをCSS風に書くのはどうでしょう? つまり ”weight:-20kg;” と。CSSに「kg」とか無いんですが(笑)。

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-07

ルビを活用して表現に広がりを

谷:斬新です! これをどう読ませるか。

建山:これが達成目標なので「コンバージョン」ということになりますね。

谷:じゃあルビで「コンバージョン」としましょう。

建山:そんなのもOKなんですか。では「フロントエンド」にルビを振って「身だしなみ」と読ませても?

谷:いいと思いますよ。何ならルビだらけにしてしまっても(笑)。

建山:じゃあ「フロントエンド(身だしなみ)を、理想の体にコーディングする」という内容にしましょうか。あ!「体」は <body> で(笑)。

谷:すごい。Webの専門家ならではの作品になりそう。

建山:はい。HTMLを知ってる人が読んだらニヤっとすると思います。

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-08

谷:後はどうコンバージョンにつなげるか、ですね。ダイエットは具体的にどんな方法でやっているんですか?

建山:メインはピラティスです。あと、知り合いのプロレスラーに、効果的な食べ物を教えてもらっています。周りの人に支えられながら、ですね。

谷:人のつながりを「ネットワーク」とかで表現してもいいかも。

建山:いいですね。ネットワークと書いてルビを「仲間の力」とかにしましょうか。

谷:「仲間の力でマイナス20kgを達成」ですね。すごくいい形でつながったと思います!

フロントエンド(みだしなみ) 理想の<body>(ボディ)にコーディング ネットワーク(仲間の力)で weight:-20kg(コンバージョン)へ

「ホームページは生き物!」谷じゃこの短歌ええやん!第5回-画像-10

建山:ルビだらけですね(笑)。

谷:HTMLを使った短歌は初めて見ました! Webの専門的な話を聞くのは初めてだったので、すごく面白かったです。「ホームページは生き物」とか「ランチの紹介など、中身の提案も大切」といったお話が印象的だったので、それをテーマに私も一首つくってみます。

WEBという 広い世界のはじっこに 見つかる今日の誰かのランチ

建山:ありがとうございます! 僕の仕事がこんな形で表現できるというのは面白いですね。

谷:これからもWebで楽しいことをたくさん発信していってください。そして、ダイエットがんばってください!

建山:はい。コンバージョンに向けて、しっかり設計・計画します!

建山さんは昔、紙の地図をガラケーサイト用にデータ化して移す作業を通してWebの仕事を学んでいったそうよ

ほほえみ
  • 建山和徳さん
  • PROFILE

    建山和徳

    一般社団法人みがく代表理事/ウェブレイス代表
    20代で双極性障害と診断され自宅に引きこもる日々を送るが、さまざまな人の支えによって社会復帰を果たす。2008年、Web制作事務所「ウェブレイス」設立。2015年、「一般社団法人みがく」設立。就労支援や啓発活動を中心に発達障害者の支援サービスに取り組む。最近は、4月の発達障害啓発週間に大阪の街を青で染める「アオクスルプロジェクト」に力を入れる。

    一般社団法人みがく:http://migaku.or.jp/
    ウェブレイス:http://webrace.jp/

  • 谷じゃこさん
  • PROFILE

    谷じゃこ

    短歌作家。大阪を拠点に、独特の視点で世の中を切り取った短歌を生み出し続けている。主な著書に『ヒット・エンド・パレード』、短歌で遊ぶフリーペーパー『バッテラ』や短歌zine『めためたドロップス』など。

    ホームページ「鯖レター」:http://sabajaco.com/
    公式Twitterアカウント:@sabajaco

Zing! Twitterをフォローする

関連記事

  • LINEで送る
  • はてなブックマークに追加
  • +1する
  • POCKET
  • facebook
  • ツイートする
  • ツイートする
  • facebook
  • LINEで送る
  • +1する
  • はてなブックマークに追加
  • POCKET