市販の目薬ではかえって悪化?ドライアイは治療で治る?実は知らないドライアイのこと

2017年10月5日掲載

ドライアイを自覚している人はたくさんいるかもしれませんが、ドライアイについてきちんと知っている人は少ないのではないでしょうか。例えば、目が乾いたら市販のスッキリするタイプの目薬をさす人は多いですよね。しかし、これではドライアイが改善されないどころか、かえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。

このように、ドライアイについて私たちが知らないことは意外とたくさんあります。そこで今回は、ドライアイに関する正しい知識やついついやってしまいがちなドライアイを悪化させる習慣、ドライアイの改善方法などを眼科医の野﨑真世先生に教えていただきました。

医療法人涼悠会・梅北眼科医
野﨑 真世

医療法人涼悠会・梅北眼科の眼科医師。眼科一般診療をはじめ、白内障や緑内障などの定期検査・網膜裂孔や糖尿病網膜症に対するレーザー治療・眼鏡やコンタクトレンズ処方、さらに一部形成外科手術などを行う。子供の治療にも力を入れており、近視進行予防についての提案もしている。

ドライアイってどんな状態?ドライアイの基準は?

ドライアイとは、角膜や結膜が乾燥して傷ついている状態のことを指します。
ドライアイの自覚症状がある人は多いと思いますが、今一度、ご自身の目の状態をチェックしてみましょう。以下の項目に複数当てはまる方は、ドライアイの可能性が高いと言えます。

  • 目が乾く
  • 目がゴロゴロする
  • 目が痛い
  • 光を眩しく感じることが多い
  • 目が重たい感じがする
  • 目が疲れやすい
  • 視界がかすむことがある

眼科では、こういった「自覚症状の有無」に関する問診のほか、「BUT検査」というテストも行います。これは2016年から新たに導入された診断方法で、目を開いている状態で何秒間涙が角膜を覆っているかを調べるものです。このテスト結果が5秒以下だった場合には、ドライアイと判断します。

ドライアイの原因は?

ドライアイの原因は「涙の分泌量が少ない=量的異常」「涙の成分や目の表面に問題がある=質的異常」の2つにあります。涙は眼球の表面を覆い、眼球を守るバリアのようなもの。そのため、涙の量や質に異常があると、目の健康に大きな影響を及ぼします。

ドライアイの原因①涙の分泌量が少ない

涙の分泌量が少なくなるのは、涙を生成する涙腺の働きが弱まっているからです。その原因は人によってさまざまで、スマホやパソコン使用によるまばたきの減少やコンタクトレンズの装用・空気の乾燥・加齢などが考えられます。また、まれに膠原病(こうげんびょう)などの病気が関係していることもあります。

ドライアイの原因②目の表面や涙の成分に問題がある

涙の質が良くないと、涙が十分に分泌されていても眼球を十分に保護できていない、もしくは涙が角膜や眼球にきちんと行き渡らなくなります。
涙は本来、水分の蒸発を防ぐ皮膜の役割をする「油層」、目を潤す「水層」、角膜上に涙を行き渡らせ安定させる「ムチン層」という3つの層で構成されています。この3つのバランスが悪くなると、涙は眼球を守る役割を十分に果たせなくなります。その結果、眼球が傷つき、乾燥したりゴロゴロしたり痛くなったりといったドライアイの症状が出てしまいます。

ドライアイを悪化させる行為は?市販の目薬はNG?

目が乾いていると感じたら市販の目薬をさす――多くの人がやっていることですよね。しかし実はこれ、ドライアイの症状を悪化させる恐れがある行為です。

というのも、市販の目薬には薬効成分以外に防腐剤や目にスーッとした刺激を与えるための成分などが含まれているため、頻繁に使っていると目の角膜が荒れやすくなってしまうのです。その結果、余計に目がゴロゴロしたり痛くなったり、見えにくさを感じたりといった症状が出ることが考えられます。

もちろん「市販の目薬は絶対に使ってはいけない」というわけではありません。眠気覚ましやリフレッシュのために目をすっきりさせたいという場合には効果的ですし、防腐剤無添加の目に優しい点眼液を使用するという選択肢もあります。しかし、角膜の健康を考えるのであれば、スーッとする目薬をあまり頻繁に使用するのは避けるべきでしょう。

ドライアイは治せる!眼科での治療方法とは

ドライアイは眼科での適切な治療や生活習慣の改善によって治療が可能です。眼科では、基本的にドライアイの治療には点眼薬が処方されることが多いです。前項で説明したように、ドライアイの原因は人によってさまざまなので、点眼薬は患者の目の状態にあったものを処方されます。

例えば涙の分泌量自体は決して少なくないのに、涙の保水力が低下していることでドライアイになっている方がいます。こういったタイプのドライアイの方は、市販の目薬で水分だけを補給しても目の乾燥は根本的には癒えないので、水を抱え込む性質のあるヒアルロン酸が含まれた点眼薬が効果的だと言えます。このほか、涙の分泌量が少ない方には涙の分泌を促す点眼薬が、角膜が傷ついている方には炎症を抑える成分の配合された点眼薬が処方されます。

根本的にドライアイを改善するためには、原因を突き止めたうえでその原因を解消するための点眼薬を用いることが大切なのです。

ドライアイを治す2つの生活習慣

1.点眼薬は“乾く前”に使用する

点眼薬は「目が乾いたな」と感じてからさすのではなく、時間を決めて点すようにしましょう。例えば、10時・13時・16時・20時などのタイムスケジュールを決めておいて、目の乾きの自覚症状とは関係なく点眼するのがおすすめ。目薬をさすときは下まぶたを「あっかんべー」にして、液を粘膜の赤い部分に落としてから目を閉じてみてください。瞳全体に行き渡させるようにするのがベストです。わざわざ上を向いて瞳の上に落ちるように点眼する必要はありません。
ただし、上まぶたの皮膚やまつげを伝わせるようにして点眼液をさすのはNGです。雑菌やアイメイクの粒子が皮膚を伝って、目に入ってしまいます。

2.意識的にまばたきをする

まばたきはドライアイを防ぎ、瞳の健康を保つために非常に重要な役割をしています。
まばたきをせずに目を見開いたままでいると、だんだん目が乾燥してきて開けていられなくなりますよね。これは、眼球の表面を覆っている涙が蒸発していってしまうからです。また、まばたきには角膜を刺激して涙腺から涙の分泌を促す働きや、分泌された涙を眼球の表面に行き渡らせ保護膜のようなものをつくる働きがあります。
しかし、何かひとつの作業に集中していると、どうしてもまばたきの回数は少なくなりがちです。その結果、涙の蒸発が進み、分泌量は低下し涙の膜がうまく形成されなくなってしまいます。この傾向は、スマホやパソコンを長時間使う人に多く見られます。作業中は、意識的にまばたきをたくさんするようにしましょう。

まとめ

「たかがドライアイ」と思っている人は多いかもしれませんが、症状が深刻化すると、目の痛覚が鈍感になったり目の感覚がしびれたりすることもあります。その結果、角膜に傷がついたり異常をきたしたりしていても気づかず、自覚症状が出てきたころには重大な目の病気になっていた……なんてことも起こりえます。

ドライアイは眼科での治療で治せる病気です。「仕事柄仕方ない」「体質だから」とあきらめず、大事に至る前に一度眼科を受診してみてください。

監修
医療法人涼悠会梅北眼科 野﨑 真世