膀胱炎の症状・原因・治し方を泌尿器科医が解説。市販薬は効く?

2018年2月8日掲載

「おしっこをするとき、下腹部が痛い」
「最近トイレがすごく近くなった」
「残尿感がある」

このような症状が現れている方は、膀胱炎(ぼうこうえん)になっている可能性があります。

膀胱炎は女性にとても多い病気で、日本人女性の2人に1人がかかるといわれているほど。決して人ごととはいえません。今回は、膀胱炎の症状や原因・治療法・予防法などを、泌尿器科医の青山真人先生と松江泰佑先生に教えていただきました。

監修
医療法人宝生会PL病院
青山真人 泌尿器科 医長 (右) 松江泰佑 泌尿器科 医師(左)

泌尿器科領域全般の病気を治療している、PL病院泌尿器科の医師。前立腺肥大症に対しては、内服治療に加えてレーザー治療(PVP)を積極的に行っており、その実績は大阪府内では随一。また、尿路結石治療センターを設立し、内視鏡的砕石術・衝撃波治療を行うとともに、食事指導を中心とした生活指導による再発予防にも積極的に取り組んでいる。その他、南大阪地区の腎不全治療の中核施設として透析治療を行い、合併症治療目的の患者を近隣透析クリニックから積極的に受け入れている。

膀胱炎ってどんな病気?どんな症状が出るの?

・膀胱炎とは?

膀胱炎は、膀胱に炎症が起きる病気です。その多くは細菌が尿道を逆上って膀胱に入り、膀胱内で増殖することによって生じます。女性が膀胱炎になりやすいのは、尿道が短いため、細菌が膀胱内に侵入しやすいから。女性にとっては非常にポピュラーな病気で、“誰でも”かかる可能性があります。

細菌の侵入と増殖が原因で起きる膀胱炎(単純性膀胱炎)以外に、ウイルスや排尿障害・前立腺肥大・尿路結石・腫瘍などに起因して生じるがあります。複雑性膀胱炎の場合、感染原因や治療方法は単純性膀胱炎とは全く異なり、まずは根元にある疾患の治療が必要です。

※今回は、単純性膀胱炎に関する症状・原因や治療方法についてご説明します。

・膀胱炎の症状は?

膀胱炎の症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 以前よりも明らかにトイレが近くなった(頻尿)
  • 排尿時、特に終わりのタイミングで下腹部が痛む
  • 残尿感がある
  • 血尿が出る

膀胱炎の初期症状として顕著なのが、トイレに行く回数の増加です。また、排尿時に下腹部にツーンとした痛みを感じるようになったり、残尿感が強くなったりします。さらに症状が進むと、痛みがひどくなったり尿が濁ったり血尿が出たりすることもあります。

膀胱炎の原因は?どんなときにかかりやすい?

膀胱炎は膀胱内に大腸菌をはじめとする細菌が侵入し、増殖することが原因で発症します。

しかし、膀胱に細菌が入ってしまったからといって即座に膀胱炎になるとは限りません。体が健康な状態であれば、細菌が侵入したとしても、体の持つ抵抗力で増殖が抑えられます。

しかし、睡眠不足や精神的ストレス・疲労などによって抵抗力が弱まっていると、侵入してきた細菌が増殖しやすくなり、膀胱炎が発症しやすくなります。 このほか、月経の前後や性行為後など、陰部に細菌が繁殖しやすい状態にあるときも、膀胱炎に感染しやすくなります。

「膀胱炎かも」と思ったらどうすればいい?どんな治療をするの?

・異常を感じたらどうすればいいの?

膀胱炎が疑われる症状が出ていても、つい見て見ぬふりをしてしまう方もいるかもしれません。

しかし、膀胱炎を放置していると、膀胱内の菌が腎臓(じんぞう)に流れて腎盂腎炎(じんうじんえん※)などの重たい病気を誘発するおそれがあります。また、膀胱がんや膀胱結石などの別の病気が隠れていることも。このような重大な病気を招いたり見逃したりしないためにも、排尿時に違和感を覚えたら、できるだけ早くクリニックを受診するようにしましょう。

最近ではドラッグストアでも膀胱炎の市販薬を購入できるので、そういったもので対処する方もいるかと思います。もちろんそれで症状が治まることもありますが、膀胱炎の背後に他の病気が隠れている場合や複雑性膀胱炎の場合には、市販薬の服用では治りません。本当に膀胱炎なのかどうかを調べるためにも、クリニックで検査を受けることをおすすめします。

※腎盂腎炎とは

膀胱に入った菌が尿管に逆流した尿によって腎臓に運ばれ、腎盂(じんう)や腎杯(じんぱい)・腎臓の髄質が炎症をおこす病気。高熱や背中や腰の強い痛み・吐き気・全身のけん怠感・脱水症状といった症状が出る。


・クリニックでの胱炎治療とは?

クリニックで膀胱炎治療する際は、まずは尿検査で尿中の白血球濃度を測定します。

白血球数が多いと尿路の炎症が疑われるので、抗生物質の投薬による治療を行います。膀胱炎のほとんどは菌に感染したことで生じるため、菌を死滅させる抗生物質の投与によって、数日間で症状は治まっていきます。抗生物質の投与で症状が改善しなかった場合には、膀胱炎以外の病気や複雑性膀胱炎の可能性も疑われます。再度検査をした上で、適切な治療を行います。

なお、「治ったかな」と自己判断をして、抗生物質の服薬を中止することはやめましょう。症状が改善されたように思えても、まだ膀胱内の炎症が治まっていなかったり細菌が残っていたりすることがあるため、処方された分のお薬は最後まできちんと飲むようにしてください。

自分でできる!膀胱炎の予防3つのポイント

膀胱炎を予防するためには、「膀胱内に菌を入れないようにすること」、そして「膀胱内で菌を増殖させないようにすること」が大切です。そこで、以下の3点に気をつけてみてください。

1.水分をたくさん摂って、尿を出す

膀胱内の細菌は、尿とともに体外に排出されます。細菌を膀胱内に残留させないために、水分をたくさん摂って尿をきちんと出すようにしましょう。

2.体の抵抗力を落とさないようにする

抵抗力が低下していると、膀胱内で細菌が増殖しやすくなります。難しいかもしれませんが、抵抗力を保つためにも、精神的ストレスや睡眠不足・過労はできるだけ避けるように心がけてください。

3.陰部を清潔に保つ

排便時は、肛門やそのまわりに大腸菌をはじめとする細菌が付着しやすくなります。大便を紙で拭く際は、後ろから前に拭くと細菌が尿道に入りやすくなりますので、前から後ろへと拭くようにしましょう。また、おりものシートや生理ナプキンはこまめに取り換えましょう。

まとめ

膀胱炎そのものは、さほど心配する病気ではありませんが、放っておくと他の病気を誘発したり、膀胱炎の背後に別の病気が隠れていたりすることもあります。気になる症状がある方は、ぜひ一度クリニックで検査を受けましょう。また、膀胱炎予防のための3つのポイントを日頃から気にかけてみてください。

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監修

医療法人宝生会PL病院 泌尿器科医長 青山真人
医療法人宝生会PL病院 泌尿器科医師 松江泰佑
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