管理栄養士に聞く、つわりの症状がひどいときにおすすめの食べもの・食べ方

2018年3月8日掲載

妊娠中、つわりがひどくてごはんが食べられないという方は少なくありません。

そこで今回は、つわりがひどいときにおすすめの食べものや食べ方を管理栄養士の辻ヒロミさんに教えていただきました。働く妊婦さんにおすすめの間食や、女性がつわりで苦しんでいるときにパートナーができる協力ポイントなどについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

監修 辻 ヒロミ
辻ウェルネスクッキング近鉄あべのハルカス校 副校長。管理栄養士・調理師・フードスペシャリストの資格を持つ。日本国内だけではなく、フランスをはじめとしたヨーロッパ各国・北米・東南アジアの国々を訪問し、体に優しい食品や食材を探求。おいしくてヘルシーな料理を研究して、栄養調理講師としてテレビでも活躍中。

つわりは妊娠して何週目から始まる?主な症状は?

つわりとは、妊娠中に現れる不快症状のことを指します。

妊娠初期(妊娠4〜15週目)の母体はホルモンや自律神経のバランスが安定しません。そのため、吐き気・頭痛などの体調不良になったり、においに敏感になったりして、食欲がなくなってしまうことがあります。一般的には妊娠5〜6週目からつわりが始まると言われていますが、敏感な方だともっと早くから不快症状を感じるようです。

例えば「ご飯が炊けるにおいを嗅ぐと気持ちが悪くなってしまう」「妊娠前に好きだった食べものなのに、吐いてしまう」といった症状に悩む方が多いようです。つわりは妊娠中のすべての女性に起きるわけではありませんが、多くの女性が経験しています。

症状がつらいときに食事をするのは大変なことですが、母体に栄養が足りない状態が続くのは母子の健康上、良いとはいえません。まったく食べない状態が続くと胃酸だけが分泌されて食道が荒れてしまうこともあります。そうならないためにも、つわりがつらいときは少しでも食べやすいものを見つけて口にすることが大切です。

なお、つわりの症状は食べられなくなることだけではありません。「食べづわり」といって、「空腹になると吐き気がするから、ずっと何かを食べてしまう」「食欲が抑えられず食べすぎてしまう」というのもつわりの症状のひとつです。

つわりでも食べやすい食べものとおすすめの食べ方は?

・酸っぱいもの・冷たいものが食べやすい!

つわりがひどいときに比較的食べやすいのは、酸味のあるものや冷たいものなどです。

特にフルーツ類は水分が多く口の中もさっぱりするので、食べやすいでしょう。おすすめはビタミンB6やビタミン12・葉酸・ビタミンC・カルシウムなどが含まれるイチゴやバナナなど。酸味のあるものでいうと、ビタミンEが含まれるミニトマトもおすすめです。ビタミン類を摂取することで、妊娠中の風邪予防にもなります。

特にバナナはビタミンやカルシウムに加えてタンパク質も摂取することができるため、栄養補給にぴったり。「バナナのにおいがダメ……」という方は、冷凍してにおいを抑えれば食べられるかもしれません。

このほか、酸味があって冷たくて食べやすいメニューとして「冷やし梅うどん」もおすすめ。梅のさっぱり感とうどんのツルンとした喉越しが食べやすく、エネルギー補給もできます。

ただし、冷たいものを食べると体が冷えてしまいます。冷えは妊娠中の体にとってよくないので、体を温めてくれる生姜湯や梅昆布茶などを積極的に飲みましょう。「生姜湯や梅昆布茶の香りが苦手……」という方は、白湯(さゆ)を試してみください。

・ごはんは、一度冷やすとにおいが抑えられる

炊きたてのごはんのにおいで気分が悪くなってしまうという方は、ごはんを一度冷やしてみてください。においが抑えられて食べやすくなります。

また、ごはんを冷やすと、白米に含まれているでんぷんが「レジスタントスターチ」という難消化性でんぷんに変化します。食物繊維を豊富に含んだレジスタントスターチは消化を緩やかにする成分なので、妊娠中に起こりがちな便秘の予防・改善効果も期待できます。

・水分補給にはレモン風味の炭酸水がおすすめ

食事量や水分摂取量が減って脱水症状を引き起こさないために、つわりがひどいときはできるだけ水分をたくさん摂取するように意識してください。何かを飲むのも気持ちが悪いという方は、レモン風味の炭酸水を試してみてください。つわり時には炭酸の強い飲料の方が飲みやすいという方も多いのでおすすめです。また、殺菌作用や風邪予防効果が期待できるカテキン入りの緑茶も良いでしょう。いずれも、体を冷やさないように気をつけましょう。

妊娠中に避けた方がよい食べものは?

妊婦さんからよく聞く話の中に「フライドポテトが無性に食べたくなる」というものがあります。妊娠中に脂っこくて塩気の強いものが食べたくなるという方はとても多いようですが、こういった高カロリー・高脂質・高塩分の食べものは、妊娠中の体にはあまり良いとはいえません。妊娠高血圧症候群(いわゆる妊娠中毒症)の原因になってしまうからです。

また、妊娠中毒症の観点からいえば、ビタミンA(βカロテン)の摂り過ぎにも気をつけてください。例えばビタミンAをたくさん含むニンジンや野菜ジュースの摂取は控えめにしましょう。妊娠中の水分補給はとても大切ですが、糖質が高いジュースや清涼飲料水は体の負担になりやすいのでできるだけ避けましょう。

働く妊婦さんにおすすめの間食は?

妊娠中も仕事を続けている女性は、つわりが原因で頭がぼーっとしたり体力が落ちたりして、仕事に支障をきたすこともあるかもしれません。つわりがひどくて規則正しい食事をするのが難しいときは、上手に間食を取り入れましょう。おすすめは、先ほどもあげたミニトマトやイチゴなど。酸味があってにおいが少なく、仕事中でも手軽につまむことができます。

「食べづわり」で常に何かを食べたくなってしまう方は、甘い飲みものをたくさん摂ってしまいがちなので注意しましょう。できるだけ無糖の飲みものに替えてください。炭酸の飲みものを選べばおなかが膨らんで満たされやすくなるのではないでしょうか。

パートナーにお願いしたいことは?

妊娠中の女性の体はホルモンバランスが安定しにくく、心身ともにとてもデリケート。特につらいつわりの時期を快適に過ごすためには、パートナーの協力が必要になります。

パートナーに覚えていただきたいのは、つわりに悩む女性はにおいに非常に敏感になっているということ。人によっては今まで使っていた香水や整髪料・歯磨粉・柔軟剤・シャンプーなどの香りもダメになることもあります。また、白米を炊くにおいや食事のにおいだけで気分が悪くなってしまうこともあります。

パートナーにとっても生活しづらさを感じることがあるかもしれませんが、「妊婦さんはにおいに敏感になっている」ことに理解を示し、パートナー間のコミュニケーションを密にとることが大切です。

無理をせず、少しずつ食べるようにしましょう

つわりで食欲がないときに、1日3食を規則正しく食べるのは難しいものです。食べられるときに食べられる量を、時間帯や回数はあまり気にせず、ダラダラとでも良いので少しずつ口にするようにしましょう。

つわりの症状は14〜16週にはおさまる方がほとんどですが、大きくなってきたお腹に圧迫されて気分が悪くなるつわりもありますし、妊娠してから半年近くまでつわりが続く重症ケースもあります。あまりにも食べられない状態が続くようであれば、病院で栄養点滴を受けることも検討してみてください。

ひとりで悩まず、パートナーや医療機関など頼れるものに頼って、決して無理をしないことを一番大切にしてください。

監修

辻ウェルネスクッキング副校長 辻 ヒロミ

辻ウェルネスクッキング URL: http://www.tsuji-w-cooking.com/