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かかとのガサガサ・爪の白濁の原因は「水虫」かも?女性だって要注意!

「かかとのガサガサがなかなか治らない」「足の爪が白濁して厚くなっている」

このような症状が見られる方は、水虫の可能性が考えられます。「水虫はオジサンがなるもの」というイメージがあるかもしれませんが、水虫患者の男女比は約1:1で、年齢層も若い人から高齢の方までさまざま。老若男女に関係のある病気なのです。女性だって注意が必要。

そこで今回は、水虫の症状や原因・対策・治療方法について、医学博士の黒川一郎先生に教えていただきました。

黒川一郎

医療法人 明和病院 皮膚科部長・にきびセンター長

医療法人 明和病院の皮膚科部長・にきびセンター長を務める。皮膚に関するすべての診療を行っており、にきびに関しては特に専門性の高い診療をしている。アレルギー検査・皮膚生検・光線療法にも精通。

水虫ってどんな病気?

●水虫にはどんな種類があるの?どんな症状が出るの?

水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビが皮膚に付着することで起きる病気です。白癬菌は角質をエサにして増殖します。その症状は、かゆみや炎症・悪臭などさまざま。そんな水虫には、足水虫と爪水虫の2種類があります。

・足水虫(足白癬)
指・指と指の間・かかと・足裏などに白癬菌が感染すると、足水虫になります。足水虫は、部位や症状によって3種類に分けられます。

① 小水疱型(しょうすいほうがた)

足の裏の皮膚がただれ、そこに白癬菌が入ることで小水疱(水ぶくれ)や膿疱(水ぶくれに膿が溜まったもの)ができます。多くの場合、強いかゆみを伴います。

② 趾間型(しかんがた)

足の指の間の皮が白くふやけて剥けたり、皮膚がただれたり、ジュクジュクとした液が出たりします。ひどくなると、かゆみや痛みを発症します。

③ 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

かかとや足裏全体の角質が厚くなります。また、皮膚の表面が白っぽくなったりザラザラになったり皮が剥けたりすることも。かゆみはほとんどありません。

・爪水虫(爪白癬)
爪が白癬菌に感染すると、足水虫ではなく爪水虫になります。爪水虫の症状は、爪の色が白濁する・黄ばむ・黒っぽくなる・爪が分厚くなる・変形する・もろくなるなど。また、厚くなった爪が靴にあたって痛んだり、爪をうまく切れなくなったり、もろくなって崩れ落ちた爪が感染源となって、さらに水虫を進行させたり……さまざまな弊害が生じることもあります。なお、爪水虫は足の爪だけでなく、手の爪に生じることもあります。

 

水虫の原因とメカニズムって?女性ならではの原因って?

●水虫に感染する原因とメカニズムとは?

白癬菌は、水虫患者の体から剝がれた後もすぐに死滅しません。つまり、水虫患者の皮膚の角質を素足で踏んだり触れたりするということは、生きた白癬菌に接触するということなのです。

しかし、生きた白癬菌に接触したすべての方が、水虫に感染するわけではありません。接触したパーツをすぐに洗ったり、健康で清潔な体を保ったりしていれば、感染する恐れは減ります。以下のポイントに気を配って、白癬菌の増殖や角質への侵入を防ぎましょう。

 ● 足をこまめに洗う
 ● 皮膚に傷ができたらばんそうこうなどで保護をする
 ● 足を保湿して、皮膚の保護機能を上げる
 ● 通気性の良い靴・靴下
 ● ストッキングを使用する

●女性ならではの原因って?

ストッキングやタイツ・ブーツ・パンプス……女性が日常的に使用しているアイテムは、蒸れやすいものがたくさん。これらを長時間身に着けていると、白癬菌が増殖しやすい高温多湿な環境を生み出します「水虫は男性のもの」という世間的なイメージがありますが、意外と女性も水虫になりやすい環境にいるのです。

なかなか治らないかかとのガサガサや指の間の皮むけ、爪の白濁や変形――このようなお悩みをお持ちの女性は、一度水虫を疑ってみても良いかもしれません。なお、かかとのガサガサが気になって角質を取るアカスリをされる方もいますが、過度にすると角質が荒れてしまうので、あまりおすすめできません。

水虫かも……と思ったらどうすればいい?

水虫が自然に完治することはほとんどありません。

「水虫かもしれない」と思ったら、恥ずかしがらずに皮膚科を受診しましょう。皮膚科の検査では、まずは白癬菌の有無を検査します。白癬菌に感染していることが確認できたら、炎症を抑えるための治療や抗真菌剤を使った治療を開始します。

ドラッグストアなどで購入できる市販の水虫薬も、一定の効果は発揮します。しかし、湿疹や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などの他の病気も存在するため、自己判断で市販薬を使用するのではなく、まずは皮膚科で「本当に水虫なのかどうか」を検査してから、治療することをおすすめします

水虫予防のためにできること

水虫にならないために、まずは自分の皮膚に白癬菌がつかないように気をつけましょう。身近に水虫患者がいる場合、その方から剝がれた皮膚(白癬菌)が床やマットに付着している恐れがあります。うっかりそれを踏んだり触ったりして感染しないよう、注意が必要です。 具体的には、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

 ● バスマットを使用ごとに洗って乾かす
 ● スリッパを共有しない
 ● 家の中は、なるべく素足で歩かない
 ● フィットネスジムなどの不特定多数が素足でいる環境に行った帰りは、足を丁寧に洗う

また、白癬菌は高温多湿な環境で増殖するので、通気を心がけるのもおすすめです。

 ● 通気性が良く蒸れにくい素材・形状の靴下を履く(化成繊維ではなく綿製の靴下や5本指靴下など)
 ● 長時間、同じ靴を履かない
 ● 履いた靴は、定期的に日光に当ててしっかりと乾かす

また、白癬菌は傷がある部位や乾燥して角質が荒れている部位から侵入しやすいので、足の保湿やお手入れをこまめにするのも水虫の予防に繋がります。

まとめ

水虫の原因である白癬菌は、症状が治まったように思えても、死滅していないことが多々あります。何度も発症を繰り返すことがあるうえに、自然に治ることがほとんどない、少し厄介な菌です。「水虫かもしれない」という自覚症状がある方は、早めに皮膚科を受診し、必要な治療を行いましょう。 

明和病院 皮膚科部長 / にきびセンター長 黒川 一郎

医療法人 明和病院 URL: https://www.meiwa-hospital.com/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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