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外反母趾の原因は歩き方と靴?痛みの応急処置法と正しい治し方

何らかの原因で親指の形が変形してしまう「外反母趾」。

痛くて歩くのが辛くなったり、痛みをかばうことで姿勢が悪くなって肩こりや腰痛につながったりすることも。

今回は外反母趾を悪化させる要因や、痛みがひどいときの応急処置法・予防改善のために自分でできる対策などについて、柔道整復師の浜口大介さんに教えていただきました。

浜口 大介

柔道整復師・鍼灸師


iCureテクノロジー株式会社代表取締役副社長。
大学卒業後警察官となりSATに所属。29歳で柔道整復師・鍼灸師業界に転職し、業界屈指の整骨院グループで10年間勤務を経た後に独立。開院3カ月で毎日100人以上が来院する院へと導き、現在は46院を展開中。業界内で講演も多数行っている。

外反母趾とは?セルフチェックしよう!

●外反母趾ってどんな状態?

外反母趾とは、何らかの原因によって足の親指が小指の方向に向いた状態になることを指します。写真のように出っ張ってしまった親指の付け根が、靴の内側と接触し、痛みが生じることがあります。

歩けないほどの痛みが出たり、変形した骨が神経を圧迫して母趾がしびれたりすることも。このしびれは腰のヘルニアでも起こる症状なので、原因を間違えられることが稀にあります。

また、痛みをかばって姿勢が悪くなり、腰痛や肩こりを招くケースも見られます。

●あなたは大丈夫?外反母趾をセルフチェック!

  • 靴を履くと、親指の付け根が痛む
  • 親指が小指の方向を向いている

こんな自覚症状のある方は外反母趾が疑われます。また、明らかな痛みや変形は見られなくとも、以下のような症状が出ている方は注意が必要です。

  • 靴を脱ぐと、親指や小指の側面が赤くなっている
  • 足の裏(指の付け根周辺)にタコができている
  • 足の指がちぢこまっている

ペタペタ歩く人・歩幅がせまい人は注意!? 外反母趾の原因とは

●外反母趾の大きな要因は、足の指・足裏をしっかり使っていないこと

外反母趾の原因は諸説あり、いまだに正式な結論は出ていません。

現場で多くの外反母趾の患者さんを診てきた者としては、外反母趾を悪化させる一番大きな原因は、足の指・足裏の機能低下にあるのではないかと感じています。足の形を支えている筋肉が機能低下すると、外反母趾だけではなく、足が平べったくなるなどの足の変形が起きやすくなるからです。

●歩き方の癖が原因で外反母趾になることも

歩き方の癖が、外反母趾を助長しているケースも見受けられます。

  • 一歩がせまい
  • 足をあげずに、地面をするように歩いている

このような“蹴り出し”が少なくなる歩き方は、足の筋肉をしっかりと使えてない可能性が高いと言えます。その結果、足の指の筋肉が弱り、外反母趾になりやすいと考えられるでしょう。

また、このような歩き方になりやすい靴を履いている方も注意が必要です。例えば、高いヒール・鼻緒がないタイプのサンダル・スリッパ・サイズの大きい靴などです。

●もともとの足の形・骨格が影響することも

足の形は大きく「エジプト型」「ギリシャ型」「スクエア型」の3つに分類できます。

このうち、親指が一番長く小指に向けて短くなる「エジプト型」は、外反母趾になりやすいと言われています。

●病気が原因で骨が変形しているケースも

リウマチや糖尿病が原因で親指が変形し、外反母趾になっているケースもあります。この場合の治療やケアは、一般的な外反母趾とは区別して考える必要があります。

早期治療がカギ! 接骨院での外反母趾の治療方法

接骨院ではテーピングを用いて、足の指・足裏の運動機能の促進と機能回復を目指す治療をします。外反母趾は悪化するにつれて骨の変形が進み、治すのが難しくなっていきます。だからこそ、できるだけ早い段階での治療がおすすめです。

一方、整形外科における外反母趾治療は、手術が一般的です。しかし、歩き方や生活習慣が原因で外反母趾になっている患者さんは、その癖や習慣を改善しないと根本的な解決にはなりません。そのため、手術をしても再発するケースが多いと言われています。

痛みが強いときはどうすればいい? 外反母趾の応急処置法

外反母趾になると、親指の付け根が靴の内側に触れて痛むことがあります。痛みがひどいときには、以下のような応急処置を試してみてください。

●市販のサポーターを利用する

ドラッグストアやバラエティショップなどに行くと、外反母趾用のサポーターや指と指の間に挟むシリコン素材などが売られています。こういったものを装着することで痛みが緩和されると感じるのであれば、利用するのもひとつの手です。

ただし、これらは外反母趾を改善するものではありません。また、指の筋肉の動きを阻害するものでもありますので、長時間の使用や日常的な使用はおすすめできません。使用場面は限定したほうがいいでしょう。

●冷やす・冷湿布を貼る

患部が痛みと熱を伴っているときは、アイシングもおすすめです。また、冷湿布は消炎鎮痛効果が期待できます。一方、温めると痛みが増強しやすいですので、温熱療法は避けたほうがいいでしょう。

外反母趾の悪化を防ぎ、症状を改善するために自分でできること

外反母趾を悪化させる要因は、生活習慣のなかにあることが多いと言えます。これは裏を返せば、生活習慣を改め、セルフケアをきちんとすれば症状の改善が見込めるということでもあります。

●自分の足に“合った”靴を履きましょう

まずは、いつも履いている靴を見直してみましょう。靴選びで重要なのは、足の指や足裏の筋肉をしっかり使える靴であること、そして足に負担をかけにくい靴であることです。選び方のポイントは以下を参考にしてください。

【正しい靴の選び方】

1.縦幅・横幅が足に合っているものを
縦幅が合っていることはもちろん、横幅も足にフィットするものを選びましょう。足の負担軽減を考えるのであれば、スポーツブランドのスニーカーなどのように、縦幅も横幅も選べる靴を購入しましょう。

2.インソール(中敷き)が平らなものを
インソールにデコボコがあるもの(土踏まずの部分が盛り上がっているタイプなど)は、足の形状にフィットして心地よい反面、それ自体が足の指や足裏の機能を果たしてしまうので、本来の足の指や足裏の筋肉が弱ってしまう可能性があります。インソールはできるだけ平らなものがおすすめです。

3.クッション性の高すぎないものを
インソールと同様に、クッション性が高すぎる靴は、足の指や足裏をあまり使わなくても快適に歩けてしまうため、足の機能を低下させる恐れがあります。

4.フィット感があるものを
靴が足にフィットしていないと、靴が脱げないようにペタペタ歩きや地面をするような歩き方になりがちです。足の指や足裏をしっかり使って歩くためには、つま先で地面をつかみ、足全体を使って地面をしっかり蹴り上げることが大切。それができる、足にフィットした靴を選んでください。

関連記事:「人生を変えるかもしれない「正しい靴の選び方」

 

●はだしの時間を増やしましょう

靴や靴下を履くと足への刺激が少なくなって、筋力や機能が低下しやすくなります。家にいるときは、できるだけはだしでいるようにしてみましょう。

●靴下を履くなら5本指タイプを

靴下は、足の指を自由に動かせる5本指タイプがおすすめです。

●足の指を動かすエクササイズをしましょう

1.足じゃんけん

「グー」「チョキ」「パー」を作るように足を動かします。

2.タオルギャザー

床にタオルを置き、足の指でギャザーを作るようにたぐり寄せます。

●足裏に刺激を与えましょう

床にゴルフボールを置き、足裏でコロコロ転がします。ゴルフボールのデコボコ感と硬さは、足裏に刺激を与えるのに最適です。

iCureテクノロジー株式会社 代表取締役副社長 浜口大介

iCure鍼灸接骨院 URL:http://www.icure.co.jp/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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