咳が止まらない・眠れないときの原因・応急処置・治し方【内科医監修】

2018年12月6日掲載

風邪は治ったのに、咳だけが長引いている。

体調は悪くないのに、なぜか咳だけが止まらない。

長引く咳や原因不明の咳の原因には、風邪だけではなく百日咳・アレルギー性疾患・ぜん息(ぜんそく)・結核といったさまざまな病気があります。そこで今回は、長引く咳の原因・特徴・治療法について、内科医の上嶋弾先生に教えていただきました。咳がひどくて眠れない夜の応急処置法もご紹介します。

上嶋内科・消化器科クリニック  上嶋 弾 先生

京都大学医学部卒。京都大学医学部附属病院内科、北野病院内科、三菱京都病院消化器内科の研修後、「北野病院消化器内科 副部長」「阪和住吉総合病院消化器センター 部長」など、数々のポストを経て2015年に上嶋内科消化器科クリニックを開設。豊富な経験と消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医など、さまざまな専門性を活かした高いレベルの医療サービスを提供している。

【咳の種類】痰(たん)の有無・続く期間によって異なる!

咳は、「痰(たん)が絡んでいるか否か」「どのくらいの期間、続いているか」によって、その種類が分類されます。


●痰の有/無による分類

咳は、湿性咳嗽(しっせいがいそう)と乾性咳嗽(かんせいがいそう)に二分されます。湿性咳嗽は痰(たん)が絡む咳を、乾性咳嗽は痰(たん)が絡まない咳を指します。

  • 湿性咳嗽(しっせいがいそう)・・・痰が絡む咳
  • 乾性咳嗽(かんせいがいそう)・・・痰が絡まない咳

※痰とは、気管の奥から上がってくる黄色や緑の塊。粘膜の塊(半透明でベトベトとした物質)ではありません。


●咳が続く期間による分類

咳は、咳が続く期間によって急性咳嗽(きゅうせいがいそう)・遷延性咳嗽(せんえんせいまんせいがいそう)・慢性咳嗽(まんせいがいそう)の3つに分類されます。 咳が続く期間が3週間未満を「急性咳嗽」、3週間以上8週間未満を「遷延性慢性咳嗽」、8週間以上を「慢性咳嗽」と呼びます。この分類は、咳の原因を判断するための大切な指標のひとつです。

  • 急性咳嗽(きゅうせいがいそう)・・・3週間未満
  • >遷延性咳嗽せんえんせいまんせいがいそう)・・・3週間以上8週間未満
  • 慢性咳嗽(まんせいがいそう)・・・8週間以上

咳の原因になる疾患とその特徴

咳の原因になる、代表的な疾患を見ていきましょう。


●風邪などのウイルス感染症・細菌感染症

ウイルス感染症・細菌感染症は、長引く咳の原因のひとつです。感染症の中でも、咳が起こりやすい疾患は以下です。


・風邪

風邪ウイルスに感染して気管が炎症を起こすと、咳が出ます。風邪による咳は、発症から3週間以内に治まることが多く、急性咳嗽に該当します。また、痰が絡みやすいのも特徴です。


・感染後咳嗽(かんせんごがいそう)

風邪をひいた後、咳だけが治まらない状態を「感染後咳嗽」と呼びます。炎症が治まった後に気管が敏感になることが原因で、咳が止まらなくなります。感染後咳嗽にかかると咳がしばらく続きますが、ほとんどの場合8週間以内には治まります。


・百日咳(ひゃくにちぜき)

百日咳は、百日咳菌に感染することで発症する感染症です。代表的な症状は、感染から2~3週間後に生じる吐くほどの強い咳こみ・息を吸うときに出る「ヒューという呼吸音」の2つ。2~3週間を過ぎると強い咳こみはなくなりますが、軽い咳は感染してから8~12週間続きます。


●その他の疾患

ウイルス感染症以外でも、咳が発症します。

8週間以上咳が続くのであれば、以下のような疾患が疑われます。


・胃食道逆流症

胃食道逆流症とは、胃酸が逆流して食道の粘膜を傷つける病気です。胸ヤケや胃のむかつきのほか、咳が長引くのが特徴です。


・咳ぜん息

咳ぜん息にかかると、特定の条件下で咳が止まらなくなります。「明け方や夜に咳が出る」「冷たい空気を吸い込むと咳が出る」「運動後に咳が出る」などの症状が特徴です。「体調不良ではないが、咳だけがいつまでも止まらない」という方は、咳ぜん息が疑われます。


・アレルギー性咳嗽

「ある季節になると咳が止まらなくなる」「喉のあたりがくすぐったい感じがする」といった症状がある方は、アレルギー性咳嗽にかかっている可能性があります。花粉などの季節性アレルギーならば時期が過ぎれば咳は治まりますが、ハウスダストなどの住環境が原因の場合は一年を通して続きます。

・結核、心不全 結核や心不全が原因で咳が出るケースもあります。発熱と咳だけが続くときは「結核」、長引く咳に合わせて顔や足にむくみがあるときは「心不全」の可能性が疑われます。


・喫煙による慢性気管支炎

喫煙によって気管支が炎症を起こすと、気管支が刺激を受けるたびに咳が出ます。禁煙をしない限り、継続的に咳が出続けます。


咳が気になったら病院へ。どんな治療が受けられる?

●咳が止まらない…病院に行くべきタイミングは?

咳が出ると、多くの方は風邪を疑うと思います。基本的に風邪の症状は、鼻水➔喉の痛み➔発熱➔咳という順番で進みます。 つまり、症状が出る順番が違ったり、風邪とは異なる症状があったりする場合には、風邪以外の疾患が疑われます。そのような咳に悩んでいる場合は、早めに医師に相談しましょう。 また、感染後咳嗽の期間(8週間)が過ぎても咳が続くのであれば、咳ぜん息など治療が必要な疾患にかかっている可能性が高いと言えます。あまりに咳が長引くのであれば、医師に相談した方が良いかもしれません。


●病院ではどんな治療が受けられる?

病院は咳の原因を見極め、それに応じて投薬治療します

(例)

  • 百日咳:抗菌薬の処方
  • 咳ぜん息:気管支拡張薬の処方
  • アレルギー性の咳:抗ヒスタミン薬の処方
  • 感染後咳嗽:咳止め、気管支の敏感さを和らげる薬の処方

このように、原因ごとに治療方法はさまざまです。原因を特定することが何より大切なため、長引く咳や違和感を持つ咳は、早めに医師に相談しましょう。


咳が止まらないときの応急処置

●市販薬の効果は?

市販の咳止め薬は、病院で処方する薬と似た成分が配合されていることが多いです。咳が止まらない場合は、使用しても良いでしょう。 ただし、市販の咳止めが効くのは、風邪などの感染症が原因の咳に限ります。他の疾患が原因の咳の場合、症状が改善される可能性が低いということを覚えておきましょう。


●咳が止まらなくて眠れない夜はどうしたらいい?

咳が止まらないときの応急処置としては、保湿が有効です。完全に咳を抑えるのは難しいのですが、気管の敏感さや炎症が抑えられるので、症状が和らぎやすくなります。水分補給をする・部屋に加湿器を置く・マスクをつけるなど、ご自身がやりやすい方法で保湿対策をしてください。


まとめ

長引く咳の原因は、百日咳・胃食道逆流症・咳ぜん息・結核・心不全など、さまざまです。自然に治まることが多いのですが、咳の種類によっては重症化する恐れもあります。違和感を覚えたり、あまりに咳が長引いたりするときは、医師に相談して適切な治療を受けましょう。

上嶋内科・消化器科クリニック院長  上嶋 弾

上嶋内科・消化器科クリニック URL:http://www.ueshima-clinic.jp/