頭痛や発熱・イライラなどの症状の原因!? 乱れた自律神経を整える方法【医師監修】

2019年3月28日掲載

近年、耳にすることの多い「自律神経を整えましょう」というアドバイス。しかし、自律神経がどんな役割をしているか・乱れるとどうなるかなどを知る機会は、あまり多くないように思えます。そこで今回は、自律神経の役割や自律神経を整えるためのポイントなどを内科医の渡邉章範先生に教えていただきました。

上本町わたなべクリニック 渡邊 章範 院長

平成10年3月大阪市立大学医学部卒業。平成15年3月大阪大学大学院卒業(医学博士)。文部科学省特別研究員(PD)、大阪市立大学総合診療科後期臨床研究医(シニアレジデント)を経て平成18年5月17日上本町わたなべクリニック開業し現在に至る。総合診療医として、テレビ・新聞出演も豊富。遺伝子・高血圧分野の英文論文多数。中小企業から大手企業までさまざまな会社の産業医としても活躍している。

『マシューズ生化学要論』(東京化学同人/平成25年11月)『病気の9割はこれで治る!血管と自律神経』(主婦と生活社/平成27年6月)『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった 気象の変化が、自律神経を狂わせる!』(青春出版社)など著書多数。

自律神経とは

自律神経は、体温や血圧・脈拍などを調整している神経です。運動神経や感覚神経は自分の意思で動かせますが、自律神経は自分自身でコントロールができません

そんな自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから成ります。交感神経は「闘争」の神経、そして副交感神経は「休養」の神経と呼ばれています。この2つの神経は、常に両方働いています。同時に機能しつつもどちらがより強く働くかバランスを調整することで、人間の生存活動をサポートしている神経なのです。


● 交感神経とは

闘争の神経と呼ばれている交感神経は、体が必要とするエネルギーを適切に使えるように働きかける神経です。激しい運動をするときや感情を高めるときに優位になります。

● 副交感神経とは

対する副交感神経は、休養の神経と呼ばれています。体がエネルギーを保持できるように働きかける神経で、安静時や睡眠時に優位になります。

● 交感神経は悪者ではない!

人間は交感神経と副交感神経の両方を働かせて、健全な心身を保っています。例えば適切な体温を維持するためには、エネルギーを使って体温を上げる役割をする交感神経と、体温を下げる役割をする副交感神経の両方が必要です。

なんとなく「交感神経が悪いもの、副交感神経が良いもの」というイメージを抱いている人も多いかもしれませんがどちらが良い・悪いということはなく、どちらも重要なのです

交感神経と副交感神経のバランスについて

● 交感神経と副交感神経の理想のリズム

交感神経と副交感神経のバランスには、理想とされる1日のリズムがあります。1日のなかで以下のようなリズムで2つの神経が働いていると、心身が健康的な状態だと言えます。


【睡眠中や寝起き】副交感神経が優位な状態

【起床して活動開始】交感神経が優位な状態

【日中】引き続き、交感神経が優位な状態

【夜~就寝】就寝に向けて、徐々に副交感神経が優位な状態になる


● 夏と冬で優位な交感神経は異なる

実は季節の変化と共に、交感神経と副交感神経のバランスも変化しています

基本的に夏は副交感神経が優位に、冬は交感神経が優位に働くと言われています。なぜなら、冬は体熱を生産して体を温める必要があるため、体のエネルギーをコントロールする交感神経の働きが必要になるからです。

しかし現代は冬も暖房で室内が暖かいため、冬季期間も副交感神経が優位になるケースが見られます。休養の神経である副交感神経が過剰に働いてしまうと、うつ状態になってしまうことがあります。近年、冬にうつ病にかかる人が多いのは、こういった環境からくる自律神経の乱れが関係していると考えられます。

なお春・秋は自律神経のバランスが変化する=自律神経が安定しない時期なので、心身の不調を感じる方が多いと言われています。

自律神経はストレスで乱れる

● 自律神経が乱れている状態とは

交感神経・副交感神経の一方が過度に活性化したり、適切なタイミングで自立神経が機能しなくなったりしている状態を「自律神経が乱れている」と表現します。

例えば交感神経が過度に活性化すると、血圧・脈が上がります。運動をしたり感情が高ぶったりしたときにこれらの現象が起こるのは正常です。しかし自律神経が乱れると、安静にしているときやデスクワーク中になぜか交感神経が活性化し、急に息切れ・動悸が起こるような状態に陥るようなケースも考えられます

● 自律神経が乱れる原因

自律神経が乱れる原因は、広義な意味の「ストレス」だと考えられています。

ここで言うストレスとは

  • 精神的なストレス
  • 多忙や睡眠不足からくる肉体的なストレス
  • 気温や気圧の変化といった外的ストレス

など、すべてを含みます。

自律神経の乱れは体にどんな影響を与える?

● 自律神経の乱れは人の弱点に影響を与える

自律神経は、体中に存在します。そのため自律神経の乱れによる不調は、全身のあらゆる部位に生じます。不調がどこに出るかは人それぞれですが、基本的には自分の弱いところに出やすいと言えます。例えば肌が弱い人は肌荒れがひどくなったり、心臓が弱い人は動悸がしたりするでしょう。 不調が心に現れるケースも少なくありません。交感神経が過度に優位になってイライラしたり、副交感神経が優位になってうつ病を発症したりする人も。

● 交感神経が優位になりすぎると頭痛・不眠に!?

交感神経が活発になりすぎると、血管が収縮して血流が悪くなります。そのため、体が冷えやすくなる・筋肉の痛みや凝りが出やすくなる・血圧が上がる・動悸がする・消化機能が弱まるなどといった影響が現れます。また、頭痛や不眠といった不調を引き起こすこともあります。

● 副交感神経は影響を与える範囲が広い?

副交感神経が活発になりすぎると血圧が低くなり、心拍もゆるくなります。それはやがて気力の低下を招き、うつ病を発症させる可能性も

また血流のスピードが低下すると、有害物質が体内に蓄積しやすくなります。その結果、体がむくみやすくなったり臓器の働きに異常が現れたりすることもあるでしょう。さらに、血圧が下がると血管が拡がります。そうすると、視覚神経を刺激するアルプロスタジルという物質が増加し、知覚過敏や痛み・発熱・慢性疼痛(まんせいとうつう)を引き起こすケースも考えられます。

この他、血液のリンパ球が増えて免疫が過剰になるため、アレルギー反応やアトピー・喘息などが起きやすくなることもあります。個人差はありますが、過剰に活性化した副交感神経が与える影響の範囲は広いと言えるでしょう。

自律神経のバランスを整えるポイント

● 副交感神経を優位にすれば良いわけではない!

最近はインターネットなどのメディアで「自律神経を整えよう」というアドバイスが多く紹介されています。それらのなかには「現代人はリラックスするが重要」という理由で、副交感神経を優位にする方法の紹介に偏っているものも。しかし前述したとおり、副交感神経が過度に優位になると、それはそれで体に悪影響を与えます。副交感神経だけを高めるのではなく、交感神経と副交感神経のバランスを整えることを意識しましょう。重要なのは、バランスです。

● 夜の時間の過ごし方に気をつける

「副交感神経を優位にすれば良いわけではない」と述べましたが、現代の日本人において言うと、副交感神経に気配りをするという対策は間違いではありません。なぜなら長時間労働が癖づいている日本人は、交感神経が活発に働きすぎている傾向があるからです。

そこで、副交感神経に適切に働いてもらうために、夜は以下の点を意識して過ごしましょう。

▶1. お風呂にゆっくり入って体温を上げる

入浴後に体温が徐々に下がることで、副交感神経が優位に働き始めます。

▶2. 寝る1時間前からパソコンやスマホを触らない

パソコンやスマホが発するブルーライトは交感神経を刺激しやすいため、距離を置きましょう。

▶3. 7~8時間の睡眠をとる

睡眠をしっかりとって、副交感神経が働く時間を確保しましょう。

こうすることで副交感神経が適切に働き、交感神経と良いバランスが保たれるようになります。この他、食べ過ぎない・過度なダイエットをしない・ストレス食いをしない、といった食事面の配慮も大切です。

自律神経失調症とは?病院に行くべき?

自律神経の乱れそのものは病気ではありませんが体や心に何かしらの症状が現れて、それが生活や健康に支障をきたすようであれば、病院で診てもらうと良いでしょう

ただし、自律神経の乱れを整えるには、自律神経を乱している原因を解消することが重要です。そういった意味で病院での治療は、根本的解決には至らないケースもあります。例えば「原因」の内容がパワハラなら、病院だけではなく弁護士に相談するなどの対処も必要かもしれません。

なお自立神経が乱れることによって、体に具体的な症状が出ているケースを「自立神経失調症」と呼びます。

関連:パワハラに遭ったらどうするべき?弁護士に教わる心の守り方

まとめ

自律神経の乱れは、現代病のひとつだと言えます。

インターネットやSNSから日々入ってくる膨大な情報の処理・複雑な人間関係・多忙な仕事・家事・育児など、現代人はたくさんのストレス要因を抱えています。自律神経の乱れによる不調は、心身がストレスを処理しきれなくなった体からのSOSです。原因不明の体調不良や気になる症状がある方は、一度病院に相談してみると良いかもしれません。

上本町わたなべクリニック 院長 渡邊 章範

上本町わたなべクリニック URL:http://www.uehonmachi.jp/