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医療脱毛は永久脱毛できるの? 効果や施術方法について【皮膚科医監修】

薄着になる季節を前に、医療脱毛をお考えの方は多いかもしれません。ムダ毛処理に悩む方にとって、とても魅力的な施術のように思われますが、デメリットやリスクはないのでしょうか? 脱毛効果は本当に永久的に続くのでしょうか?

そこで今回は皮膚科医の佐野升美先生に、医療脱毛の効果や施術方法、デメリットやリスク、施術前後に注意すべきことなどを詳しく教えてもらいました。これから脱毛の施術を検討している方や現在脱毛を受けている方はぜひ参考にしてください。

佐野 升美

さの皮膚科クリニック 院長

近畿大学医学部卒業後、皮膚科医としてさまざまな医療機関に勤務。平成14年に「さの皮膚科クリニック」を開院。
皮膚疾患全般はもちろん、難治性のニキビや光老化・加齢にともなう肌トラブルに対する美容皮膚科的エイジングケア治療に従事している。

医療脱毛とは

医療脱毛のカウンセリングの様子

医療脱毛は永久的な脱毛ができる唯一の施術方法

医療脱毛は、レーザーを照射して毛母細胞(※)を破壊することで、永久的に毛を生えなくさせる施術です。このレーザーを使った施術は医療行為にあたるため、医療機関でしか扱えません。そのため医療脱毛は、皮膚科医のいる病院やクリニックのみで受けられます。
(※)毛母細胞とは、毛根にある毛をつくりだす細胞のことを指します。

医療脱毛は全身どの部位でも施術可能

脱毛の部位

医療脱毛は、基本的に体のどの部位でも施術可能です。ただし「粘膜部分の施術を控える」など、病院やクリニックごとに方針の違いはあります。

永久脱毛に必要な施術回数には、個人差がある

医療脱毛をしたとしても、1回の施術で永久的な脱毛効果を得ることはできません。永久的に脱毛するためには、複数回の施術が必要です。この理由は、「毛周期」と呼ばれる毛の生え変わりのサイクルにあります。

「毛周期」と呼ばれる毛の生え変わりのサイクル

毛は上記のように、4つのステップを繰り返して生え変わっています。全ての毛が同じタイミングで生え変わっている訳ではなく、毛穴ごとに異なったサイクルを持っています。例えば毛穴Aが成長期にあったとしても、すぐ隣の毛穴Bは休止期にいる可能性もあります。

そして実は、レーザーを照射できるのは図にある「成長期」の毛母細胞のみです。そのため1回施術したとしても、しばらくすると別の毛穴が成長期を迎え、そこから新しい毛が生えてくる可能性が大いにあります。つまり全ての毛を完全に脱毛するには、それぞれの毛穴が成長期にいるタイミングを狙ってレーザー照射をする必要があり、だからこそ複数回の施術が必要とされるのです。

なお完全に毛をなくすまでに必要な回数には個人差があります。一人ひとり毛周期は異なり、さらにもともとの毛の量や濃さ・部位によっても違いがあるので、一概に「◯回」とは言えません。

美肌効果も期待できる

顔脱毛をすると、レーザー照射による毛穴の引き締めやハリ・ツヤアップなどの美肌効果が期待できます。また、産毛を除去することでお肌が明るい印象になります。

医療脱毛とエステ(光)脱毛の違い

エステサロンや脱毛サロンなどで行なわれているのは、レーザー脱毛ではなく光脱毛です。なぜなら脱毛は医療行為であるため、医療機関ではないエステサロンや脱毛サロンはレーザー機器を扱えないからです。光はレーザーよりも照射パワーが弱いため、毛根にダメージを与えることはできても破壊することはできません。

そのため、サロンが施術する光脱毛は毛を一時的に減らすことはできますが、永久的に毛をなくすことはできないのです。

医療脱毛を受けられない人はいる?

Noサインをするドクター

このような方は施術をお断りすることがあります

  • 日光過敏症の方や皮膚に特殊疾患のある方
  • 妊娠中の方
  • Vライン・Iライン
  • Oラインの施術を希望する方で、生理中の方

医療脱毛はレーザーを使用するので、日光過敏症の方への施術はできません。皮膚に特殊疾患のある方も、症状や状態によっては施術をお断りすることがあります。

また、妊娠中の施術は基本的にNGです。レーザー照射が妊婦さんやおなかの赤ちゃんに直接的な影響を与える可能性は低いのですが、妊娠中はホルモンバランスが乱れやすいため、毛周期が不安定になり脱毛効果が得られにくくなる可能性があります。また、肌に負担をかけてしまう可能性もあります。そういった点から、妊娠中の施術はおすすめできません。

生理中の方のVライン・Iライン・ Oラインの施術をお断りする理由は、主に衛生面にあります。なお、VIOライン以外への施術については生理中でも可能です。ただし、生理前後や生理中は知覚が敏感になり痛みを感じやすいこともあるので、理解しておくと良いでしょう。

ニキビやアトピーがある場合は?

ニキビやアトピーがあっても施術は可能です。レーザーを照射することでニキビやアトピーが悪化することはありありません。病院やクリニックは一人ひとりのお肌の状態を見てレーザーのエネルギーレベルを調整し、肌に負担がかからない施術をしています。肌状態に不安がある方は、担当医に相談をしてみると良いでしょう。

毛は剃らないで!脱毛前後のシェービング・毛抜きの注意点

脱毛の案内をする女性

初回施術時は、1週間ほど毛を生やした状態で来院してください。その人の本来の毛量などを見てから、医師はレーザー照射の強さや回数を考えるからです。

そして2回目以降は、来院前にシェービングで毛の処理をしておきましょう。ただし、毛抜きを使うのはNGです。レーザーは黒色に反応する性質があるので、毛抜きで毛根から毛を抜いてしまうと効果が薄れてしまいます。

施術後に毛が生えてきたら、シェーバーで処理してください。毛抜きやワックスで処理するのはおすすめできません。脱毛後の敏感な肌への負担になるだけでなく、毛根ごと処理してしまうと次回の照射で効果が得にくくなってしまうからです。

日焼け・乾燥に注意!施術後の肌ケアのポイント

脱毛施術後の肌は敏感で乾燥しやすい状態になっているので、しばらくは日焼け・乾燥に気をつけてください。日焼け止めをしっかり塗る・肌を露出しないといった工夫をしましょう。また施術後に処方された保湿剤などを使って、肌を乾燥させないケアをしてください。

病院やクリニック選びのポイントは?

皮膚科であれば、基本的に問題はないでしょう。
最近は婦人科や産婦人科も医療脱毛を扱っていることがあります。これらも医療機関なので問題はありませんが、皮膚にトラブルが生じたときに十分な対処ができない恐れがあります。不安な方には、トラブル対応もできる皮膚科での施術をおすすめします。

医療脱毛を受けた当日にしてはいけないことって?

脱毛を受ける女性

飲酒について

お酒を飲んだせいで脱毛効果が下がることはありません。ただしお酒を飲むと血流が良くなるので、施術した部位に赤みが出ることもあります。飲み過ぎは控えましょう。

入浴について

脱毛をした当日は、長時間入浴は控えましょう。入浴をすると血流が上がるので、赤みや腫れが出やすくなる恐れがあるからです。シャワーを浴びる程度なら問題ありません。また脱毛範囲が狭い場合、短時間の入浴はOKです。なお脱毛をした部位はゴシゴシこすらず、軽く洗い流す程度にとどめましょう。

メイク・クレンジングについて

顔脱毛した当日は、メイクやクレンジングは控えましょう。翌日からOKです。

運動について

軽い運動なら問題ありませんが、汗をたくさんかくような激しい運動は避けたほうが良いでしょう。運動も飲酒や入浴と同様に血行をアップさせるので、脱毛した部位に赤みや腫れを生じさせることがあります。

まとめ

医療脱毛の一番大きなメリットは、永久的な脱毛効果が得られることです。また、一人ひとりの肌質や毛の状態にあった施術・適切なアフターケアが受けられるのも、医療脱毛ならではの利点と言えるでしょう。毎日のムダ毛処理のわずらわしさから解放されたい方・安全性を重視したい方・確実な脱毛効果を得たい方は、一度皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか。

さの皮膚科クリニック 院長 佐野升美

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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