食中毒の症状・対処法は?O-157など種類と5つの予防法

2019年7月11日掲載

暑い時期になると増える食中毒。かかると激しい腹痛やおう吐・下痢・発熱といったつらい症状に見舞われます。抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化する恐れも。

そこで今回は、近年多い食中毒の種類や、その症状・対処法について消化器内科医の小林一三先生に教えてもらいました。あわせて食中毒を防ぐために家庭でできる対策についてもお聞きしたので、ぜひ参考にしてください。

市立東大阪医療センター 消化器内科部長 小林 一三

大阪大学医学部を卒業後、医療機関に勤務。専門分野は、消化管疾患。

肝臓領域・消化管領域・胆すい領域の悪性疾患から良性疾患まで、また急性疾患から慢性疾患まで幅広い診療をおこなっています。

食中毒の症状と潜伏期間

食中毒とは、細菌やウイルス・自然毒・有害な化学物質・寄生虫などに汚染された食べものを摂取して引き起こされる中毒症状です。代表的な症状は、腹痛やおう吐・下痢・発熱・血便など。

食中毒の症状は風邪とよく似ています。また、食中毒だけに見られる特徴的な症状は特にありません。そのため、「食中毒の原因になりそうなものを食べたかどうか」「同じものを食べた人に同じ症状が現れているか」など食べたものが食中毒を見分けるひとつの判断基準となります。

症状の激しさは、原因物質や摂取した量・本人の体調によって異なります。また、症状が出るまでの時間も原因物質によって大きく違います。食後3~4時間で現れるものもあれば、1週間後に症状が出ることもあります。

食中毒の原因!現代に多い4つの細菌・ウイルス

食中毒を引き起こす原因物質はさまざまですが、最も被害が多いのは細菌やウイルスです。なかでも症例が多く注意が必要なのは、「キャンピロバクター菌」「腸管出血性大腸菌(O-157)」「ノロウイルス」「黄色ブドウ球菌」の4つ。


●キャンピロバクター菌

【主な原因食品】

食肉や野菜などに付着。鶏肉からの感染が圧倒的に多い。生の鶏肉(たたきや刺し身など)を食べる際は十分な注意が必要。肉の深いところまで菌が入り込むため、中心がしっかり焼けていない鶏肉でも感染することもある。

【摂取から症状が出るまでの時間】

2日~7日程度

【症状】

おう吐・下痢・腹痛・発熱のほか、症状がひどいと血便が出ることも。症状がなかなかおさまらず長引くこともある。


●腸管出血性大腸菌(O-157)

【主な原因食品】

食肉や野菜などに付着。魚を介することはない。

【摂取から症状が出るまでの時間】

3日~8日程度

【症状】

激しい腹痛・下痢・血便など。抵抗力が弱い乳幼児や高齢者は、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重度の合併症を発症することもある。症例は多くはないが、重症化するので注意が必要。


●ノロウイルス

【主な原因食品】

カキを始めとする二枚貝などに付着。

【摂取から症状が出るまでの時間】

12時間~48時間程度

【症状】

突然起こる強烈な腹痛や吐き気・激しいおう吐・下痢。熱が出ることもあるが高熱にはならない。症状は2日程度でおさまることが多い。ただし、一週間程度は菌を排出し続けるので、症状がおさまった後も二次感染の注意が必要。


「関連:ノロウイルス https://eonet.jp/health/article/_4101889.html


●黄色ブドウ球菌

【主な原因食品】

特定の食品が原因ではなく、不潔な手や調理器具が触れた食品全般

【摂取から症状が出るまでの時間】

3時間程度(食べてすぐ症状が出る)

【症状】

激しい吐き気・おう吐・下痢・腹痛など。摂取から症状が出るまでの時間が短いのが特徴。


なお、サルモネラ菌(主に鶏卵を介して発症する食中毒)や腸炎ビブリオ(魚介類を介して発症する食中毒)などは、食品衛生環境が整った昨今ではあまり見られません。

食中毒かも?病院に行く目安と自宅療養の注意点

●病院に行く目安は?乳幼児・高齢者は受診して

「食中毒かな?」と思っても、症状が軽ければ必ずしも医療機関を受診する必要はありません。医療機関への受診が勧められるのは、以下のケースです。

  • 高熱があるとき
  • 血便が出ているとき
  • 吐き気やおう吐が激しく水が飲めないとき
  • 下痢が続いているとき
  • 抵抗力が弱い乳幼児や高齢者


上記のケースは、重症化や脱水症が懸念されます。また、合併症を引き起こす恐れもあるので早めに医療機関を受診しましょう。


●食中毒の治療方法は?

食中毒を治すには、体内の菌を排出するのが最も重要です。食中毒の症状であるおう吐や下痢は、菌を体外に排出することでもあります。そのため、食中毒の治療の基本は“自然治癒”です。 ただし、重症化が懸念されるケースでは抗生物質や整腸剤・制吐剤などを投与し、脱水症状がみられるケースでは点滴を行います。


●自宅療養の際は水分補給をしっかりと!

おう吐や下痢・発熱が続くと、体は脱水気味になります。水または電解質や糖質を含む飲料(スポーツドリンクなど)で積極的に水分補給をしましょう。ポイントは、一度に大量に飲むのではなく少しずつこまめに飲むこと。冷たい飲みものは弱った胃腸に良くないので、常温のものがおすすめです。

なお、水分が足りているか否かは尿の色と濃さで判断しましょう。尿が通常より明らかに濃ければ、水分が足りていない恐れがあります。意識的に水分をとるか、難しいときは医療機関で点滴を受けてください。

消毒や手洗いを忘れずに。食中毒は二次感染に注意

食中毒では二次感染にも注意が必要です。感染した人のおう吐物や便は体から排出された菌がたくさん含まれているので、処理の際は十分注意を。厚手で丈夫な手袋をつけて、おう吐物が直接手に触れないようにしてください。あわせて、おう吐物や便が付着した部分はしっかりと消毒しましょう。トイレが2つあるおうちでは、食中毒に感染した人とトイレを分けるのも感染を防ぐ有用な方法です。

また食中毒に感染した人も、いつも以上に手洗いをしっかり行い、人にうつさないように気をつけてください。学校や仕事はおう吐・下痢・熱などの諸症状がおさまるまではお休みしましょう。

洗浄と加熱を十分に!食中毒の予防方法

家庭での食中毒は、食べものを扱うときの心がけで防げます。食中毒予防のため5つのポイントに気をつけてください。


●食中毒の予防策(1) 食材や手は念入りに洗う

食材の表面付近についた細菌やウイルスは、念入りに水洗いすれば落とせます。

また、手についた細菌やウイルスが食材に付着することもあるので、調理前は石鹸でしっかりと手を洗いましょう。


●食中毒の予防策(2) 食べものはすぐに冷蔵庫に入れる

食中毒を引き起こす細菌やウイルスは、高温多湿な環境で増殖・活発化します。生鮮食品やお惣菜・お弁当などはできるだけ早く冷蔵庫に入れてください。


●食中毒の予防策(3) 生の肉や魚を扱った調理器具はすぐに洗う

生の肉や魚を扱った調理器具は、細菌やウイルスが付着している恐れがあります。例えば、「生の肉を切ったまな板でサラダ用の野菜を切って」「生の肉をつかんだ菜箸で焼けた肉を取って」食中毒になったといった事例も。生肉や生魚を扱った調理器具を別で使うときは、しっかりと洗剤で洗いましょう。洗った後に熱湯をかけて消毒するとより安心です。


●食中毒の予防策(4) 食材は十分に加熱する

細菌やウイルスが原因の食中毒は、ほとんどが生のお肉や魚介類・野菜などを介して発生しています。ノロウイルス・キャンピロバクター菌・腸管出血性大腸菌は熱に弱いものです。そのため、食材に熱を加えればほとんどの細菌やウイルスは死滅します。食材は十分に加熱し、生焼けの部分がないように気をつけましょう。

ただし、黄色ブドウ球菌に関しては加熱しても死滅しません。そのため、手や調理器具を十分洗うなど食品に付着させないように気をつけるのが得策です。


●食中毒の予防策(5) 体調が優れないときは生の肉や魚介類を口にしない

食中毒の症状は体の抵抗力が落ちているときほど出やすくなります。風邪気味のときや疲れているときは生の鶏肉やカキなど食中毒を起こしやすい食材は口にしないようにしましょう。

まとめ

暑い時期になると、食中毒のニュースを頻繁に見かけます。食中毒を起こさないためには、予防が肝心。食材の取り扱いや調理には普段以上に注意しましょう。あわせて、万が一食中毒になったときに慌てないよう、対処法や処置方法を確認しておくのも大事です。ぜひ今回の記事を参考に、食中毒についての知識と理解を深めてくださいね。

市立東大阪医療センター 消化器内科部長 小林一三