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若い人にも多い膝の痛みの種類と原因・治療法【整形外科医監修】

健康なときはあまり意識を向けることが少ない「膝」。しかし、いざ膝に異常が現れると、ちょっとした動作でも強い痛みや違和感が起きるようになります。走ったり歩いたりするのはもちろん、自力で立ち上がれなくなることも……。膝に異常を感じたら、適切な治療や対処をしたいものです。

今回は、膝が痛いときにどのような病気が考えられるのか・どのような対処をすればいいのか、整形外科医の高宮尚武先生に教えていただきました。

高宮 尚武(タカミヤ ヒサタケ)

大阪府済生会吹田病院 整形外科科長(部長)

関西医科大学卒業、京都府立医科大学大学院博士課程修了。愛生会山科病院や京都山城総合医療センター・京都府立医科大学付属北部医療センター・京都府立医科大学などを経て現職に。

専門分野は、膝関節外科(人工関節・靱帯再建)・スポーツ整形外科など。

膝の痛みの原因(1):突然始めた運動

健康志向の高まりから、ジョギングやウォーキングなどの運動をする人が増えています。これは良いことですが、もともと運動をしていなかった人が突然運動をすると膝を痛めることがあります。

●突然の運動で膝に痛みが出る理由

突然の運動で膝に痛みが出るのは、普段使っていない腱(けん)や靭帯(じんたい)が負荷に耐えられなかったり、筋力不足で関節にダイレクトに衝撃が伝わったりするからです。加えて、走り方がおかしかったり準備運動が十分でなかったりすると、膝に大きな負担がかかります。

●突然の運動で膝を痛めたときの改善方法

膝の痛みの予防のためには突然激しい運動をしようとせず、自分自身で運動強度を調整するようにしてください。痛みがあるときは安静にし、運動はストップしましょう。正しいフォームで走る・準備運動を入念にする・運動後にストレッチをすることも大事です。また、痛みが続くときは整形外科で検査・診察を受けましょう。

膝の痛みの原因(2):変形性膝関節症

40代以降の膝の痛みで最も多いのが、変形性膝関節症です。特に女性に多く、体重の増加、高齢になるほど発症率は高くなります。

●変形性膝関節症のメカニズム

膝の関節軟骨は、骨と骨の間で衝撃を吸収するクッションのような役割をしています。しかし、関節軟骨は加齢によって弾力性を失い、すり減ります。若い人の関節軟骨は硬いゼリーのような状態ですが、年齢とともに豆腐のようなもろい状態になってしまいます。その結果、膝の骨同士が接するようになり、関節の変形や強い痛みが出ます。膝関節に水がたまって腫れることもあります。

●変形性膝関節症の原因

加齢のほかに、「肥満」も変形性膝関節症の原因のひとつ。体重が重ければそれだけ膝にかかる負荷は大きくなります。また、下肢の筋力が少ない人もなりやすいと言えます。このほか、女性に多いことから性ホルモンが関係しているとも言われています。

●変形性膝関節症の症状

多くの場合、膝の内側の関節軟骨がすり減るため、痛みも内側に出ます。このほかにも、以下のような症状が現れます。

  • 膝をピンと伸ばせなくなる
  • 膝を完全に曲げられなくなる
  • O脚になっていく
  • 歩くと強い痛みが出る
  • 正座ができなくなる
  • しゃがめなくなる
  • 速歩きができなくなる
  • 手すりがないと階段の上り下りができなくなる
  • 膝の周辺が腫れる
  • 膝周辺が熱を持つ

●変形性膝関節症の治療方法

軽度であれば、痛み止めの内服薬や外用薬・湿布の処方、膝関節へのヒアルロン酸注射が一般的です。膝のサポーターや足の裏につける装具の使用、足の筋力をつけるリハビリも効果的です。

このような治療でも治らない重度の患者は、骨の変形を矯正する手術や人工膝関節置換術などの外科的治療も検討します。

●変形性膝関節症の予防・改善方法

変形性膝関節症の予防・改善で肝心なのは、「下肢の筋力をつける」「体重を増やさない」の2点です。そのためにおすすめなのが、水中ウォーキングです。浮力を利用して膝に体重をかけずに下肢の筋力アップができます。

膝の痛みの原因(3):関節リウマチ

●関節リウマチのメカニズム

関節リウマチは、指や手・肘・膝・足など体のさまざまな関節で炎症が起きる病気です。放っておくと軟骨や骨が破壊され、機能が損なわれたり関節が変形したりします。発症の原因ははっきりと解明されていませんが、体内の免疫システムが関係していると考えられています。

●関節リウマチの症状

主な症状は、関節のこわばりや腫れ・痛み・発熱などで、膝にもこういった不快症状が現れます。手指の腫脹や痛み、体の3カ所以上の関節に痛みや腫れが出たり、起床時に関節がこわばったり、左右対称に関節の腫れや痛みが出たりするのが特徴です。 関節リウマチの症状は、変形性膝関節症など他の膝の病気と似ています。気になる方は早めに病院で検査を受けましょう。

●関節リウマチの治療

抗リウマチ薬を処方するのが一般的です。以前は手術などの外科的治療も頻繁に行われていましたが、薬の効能がよくなったため手術の頻度は減っています。

膝の痛みの原因(4):半月板損傷

●半月板損傷のメカニズム

半月板とは、太ももの骨(大腿骨/だいたいこつ)とスネの骨(脛骨/けいこつ)の間にある「C」型をした板状の軟骨の一種です。膝の内側と外側に一枚ずつあります。半月板を損傷すると、膝を曲げ伸ばす際にひっかかりや痛みを感じるようになります。また、悪化すると膝に水がたまって急に膝が動かなくなったり、歩けないほど痛くなったりします。

●半月板損傷の原因

サッカーやマラソンなどのスポーツによるケガで損傷するケースのほか、加齢によって弱まっている半月板に過剰な負荷がかかって損傷するケースもあります。40代以降になると半月板の変形が進んでくるので、ちょっとした外傷でも損傷が起きやすくなります。

●半月板損傷の治療

軽度の半月板損傷では、リハビリや抗炎症薬の処方などの保存的治療が基本です。それでも改善しない場合は、損傷した部分を縫い合わせる縫合術や、損傷した部分を切り取る切除術などの外科的治療を行います。

膝の痛みの原因(5):オスグッド病

サッカーやバスケットボールなどのスポーツをしている10代前半の子供が膝の痛みに悩まされることがあります。そのようなケースで考えられるのは、オスグッド病です。

●オスグッド病のメカニズム

通常、膝を伸ばすと太ももの前の筋肉(大腿四頭筋/だいたいしとうきん)が収縮し、膝の下の骨(脛骨粗面/けいこつそめん)が引っ張られます。しかし10代前半の子供は、骨端線が成長途中でもろいため、激しい運動をしすぎると、使いすぎによる繰り返される力でその一部がはがれることがあるのです。これがオスグッド病です。

●オスグッド病の症状

膝の下の骨(脛骨結節/けいこつけっせつ)が徐々に突出し、痛みが生じます。赤い腫れや熱を持つことも。安静時には痛みはあまりなく、動かすと痛くなります。

●オスグッド病の改善方法

オスグッド病は、膝への過剰な負荷が原因で起きます。痛みが出ているときはスポーツを控えて休むことが大事です。なお、オスグッド病は成長期の一過性の病気なので、10代後半になるとほとんどは自然治癒します。

膝の痛みは、整形外科で検査・適切な治療を

●症状に合った治療・対処を

ここまでご紹介したように、膝が痛む原因はさまざまなものが考えられます。病気の種類によっては早期治療が必要なケースも。適切な治療のために、膝に異常を感じたら早めに整形外科を受診して検査を受けましょう。

整形外科では、まずはレントゲンなどで骨や靭帯・関節・軟骨に損傷がないか調べます。損傷が発見されればその治療を、発見されなければ不快症状を緩和するための処置や生活改善などを行います。

まとめ

立ち上がったり歩いたり走ったり……。人間のあらゆる動作で、膝は重要な役割を担っています。膝に痛みがあったり動きに制限があったりすると、自分の思うような生活が送れなくなることもあります。そうならないよう、膝に気になる症状がある方は一度整形外科を受診し検査や治療を受けましょう。

大阪府済生会吹田病院 整形外科科長(部長) 高宮 尚武

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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