風邪だけじゃない!つらい喉の痛み・咳の原因と対処法【内科医監修】

2019年11月21日掲載

「咳」と一口に言っても、その原因や症状はさまざまです。「コンコン」といった乾いた咳が出ることもあれば、「ゴホゴホ」といったタンが絡んだような湿った咳も。また、喉周辺の炎症や風邪が原因で喉の痛みを伴うこともあれば、肺や気管支の疾患にかかっていることもあります。さらには、結核や肺がんといった重篤な病気が潜んでいる恐れも。今回は、咳の原因や考えられる病気・治療法・対処法について内科医の泉岡利於先生に教えていただきました。

医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長 泉岡利於

関西医科大学卒業後、済生会野江病院循環器内科、関西医大附属病院心臓血管病センター、門真市阪本蒼生病院内科を経て現職に。現在は大阪内科医会の副会長を務める。

突然始まった咳の原因

突然咳が出始めた場合、以下の疾患が考えられます。


●かぜ症候群・咽頭喉頭炎(いんとうこうとうえん)

咳の原因として最も一般的とも言えるのが、かぜ症候群に伴う咽頭喉頭炎です。ウイルスによって喉の周辺が炎症を起こし、咳が出ます。発熱や声がれ・喉の痛み・嚥下障害などを併発することもあります。

●気管支炎・肺炎

気管支炎は、鼻や喉の粘膜から侵入したウイルスや細菌が気管支に入り込んで炎症を起こす病気です。さらにウイルスが肺にまで到達すると、肺炎になります。気管支炎や肺炎でも激しい咳が出ます。特に肺炎では「ゼーゼー」とした咳が四六時中出て、息切れや胸の痛みを感じることも。また、38℃以上の高熱が出る人もいます。

なかなか引かない長引く咳の原因

慢性的に咳が続く場合、以下のような疾患が考えられます。


●咳ぜんそく

咳ぜんそくは、慢性の咳を症状とするぜんそくです。一般的なぜんそくと同じように、気道(呼吸をするときの空気の通り道)が狭くなってさまざまな刺激に対して過敏になり咳が出ます。咳ぜんそくはホコリやダニなどのアレルギー物質が原因で発症することが多いとされています。咳の特徴は、「コンコン」といった空咳が2~3週間以上続く点です。風邪が治った後に咳だけが残り、咳ぜんそくに発展することもあります。

●百日咳(ひゃくにちぜき)

百日咳は、百日咳菌に感染して起きる疾患です。最初は風邪と同じような症状から始まりますが、咳だけがひどくなり、名前のとおり100日近く(実際は90日前後)にわたって続きます。「コンコンコンコン……」という連続的で短い咳や、息を吸うときの「ヒューヒュー」と音が特徴です。基本的に症状は咳だけですが発作的な激しい咳が続いて体力が奪われたり、夜間の咳で睡眠不足になったり日常生活に支障を及ぼしかねません。早めに病院を受診して治療を受けましょう。

●逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することによって慢性的な胸焼けや胃のむかつき・食道粘膜の炎症などが起きる病気。高齢者に多いとされていますが、最近では食生活の変化から若い人にも多い症状です。逆流性食道炎の方も胃酸が上がるときに咳き込んだり、話しているときに咳が止まらなくなったりします。また、寝ているときは酸が上がりやすいので、起きたときに激しく咳き込むことがあります。 


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●結核

結核は、結核菌によって引き起こされる感染症です。結核の初期症状は、咳やタン・微熱・体のだるさなど風邪とよく似た症状が見られます。そして症状が進行すると、これらの症状に加えて血痰(けったん)が出るようになります。結核を「昔の病気でしょ?」と思っている方は少なくないかもしれません。しかし、結核は現在も死滅していない病気です。実際に、大阪市などでは近年結核の患者数が増えています。結核は重症化すると死に至ることもある病気です。また、咳やくしゃみで人にうつしてしまう恐れもあります。咳や微熱が2週間以上続いている・血痰が出るといった方は、病院で検査を受けましょう。

●肺がん

長引く慢性的な咳は肺がんの症状である恐れも。肺がんの初期症状では、ほかにも息切れや息苦しさ・痰や血痰などが現れます。風邪の症状とも似ているため、なかなか気づきにくいという難点が。これらの症状が続く場合は、医療機関への受診をおすすめします。

●サルコイドーシス

サルコイドーシスは、肉芽腫(にくがしゅ)と呼ばれる結節が全身に現れる病気です。全身の倦怠感や皮膚病変・顔面の神経まひなどの症状のほか、咳や息切れも起こります。

●喫煙

喫煙習慣は、慢性的な咳の原因になります。気管支内には体内に侵入した異物を喉の方へ押し出す「せん毛」が生えていますが、喫煙によってその動きは低下してしまいます。そのため、強制的に異物を出そうとして「ゲホゲホ……」といった咳が出るのです。

●心不全

心不全とは、心臓の働きが低下して全身の臓器に必要な血液量を送れなくなっている状態を指します。心不全の代表的な自覚症状は、動悸や息切れ・呼吸困難・強いむくみなどです。このほか、動作時に息切れをともなう咳が出ることがあります。

原因疾患が見当たらない、心因性の咳も

長引く咳・慢性的な咳に悩み検査を受けたものの、どこにも異常がなく原因が分からないことがあります。その際に疑われるのが、精神的なストレスです。ストレスは体のさまざまな部分に悪影響を与えますが、咳もそのひとつ。特に20代の方に多い傾向があります。心因性の咳には、一般的な咳止め薬や気管支拡張剤は基本的に効果がありません。病院での治療は漢方薬を用いるのが一般的です。

長引く咳は病院へ。病院で受けられる治療

●咳の原因を見つけることが大事

「咳が出るだけだから……」と、その場しのぎで市販の咳止め薬で対処している方は多いかもしれません。しかし咳の原因疾患を突き止め根本的な適切な治療しなければ、咳はなかなか治まりません。また、咳がきっかけで背後にある重大な病気が見つかるケースもあります。長引く咳・つらい咳・喉の痛みなどに悩んでいる方は、一度病院で診察や検査を受けたほうがいいでしょう。

●病院での咳の治療方法

咳がひどくて病院に行った場合、問診や検査で咳の原因を調べ、原因疾患の治療を行います。咳へのアプローチには、咳止め薬や気管支拡張剤(吸入器やテープ)を用いるのが一般的です。また、喫煙習慣やアレルギーが原因で咳が出ている場合は、生活改善の指導なども行います。

咳がひどいときの対処法

「夜中に咳が出て眠れない」「大事な会議なのに咳き込んでしまう」など、咳は日常生活に支障をきたします。咳が止まらないときは、以下の対処法を試してみてください。


●座っているほうが咳は楽になりやすい

横になるより座ったり立ったりしたほうが咳は出にくくなります。というのも、肺は座位や立位の体勢のときの方が呼吸をしやすい構造になっているからです。寝ている状態で咳が止まらないときは、一度体を起こして呼吸をしやすい体勢をとってみてください。

●うがいは咳の予防改善にも有効

咳が出ているときや喉に違和感があるときは、水道水でこまめにうがいをしましょう。

まとめ

咳や喉の痛みの原因はさまざま。原因が分からなければ正しい対処・適切な治療は行えません。

「たかが咳、いずれ良くなるだろう」と自己判断したり我慢したりせず、一度最寄りの内科医院で診察や検査を受けてみましょう。

医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長 泉岡利於