暑くて寝苦しい夏に。快眠を誘う3つの方法と5つの夜習慣

2020年7月16日掲載

「暑くて夜中に目が覚めてしまう」「なかなか寝つけない」

暑くて寝苦しい夏、睡眠にお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、睡眠改善シニアインストラクターの内海裕子先生に、 「暑い夏の寝苦しさを改善する方法や快眠のためのポイント」 を教えていただきました。すぐに真似できる実践的なアドバイスがたくさんあるので、ぜひ参考にしてください。

内海 裕子(うつみ・ひろこ)

睡眠改善シニアインストラクター(一般社団法人日本睡眠改善協議会 認定) /上級睡眠健康指導士(一般社団法人 日本睡眠教育機構 認定)/早起きコーディネーター(文部科学大臣表彰受賞団体 子どもの早起きをすすめる会 認定)/睡眠環境診断士 (NPO日本睡眠環境研究機構)/「朝時間.jp」元編集長。生活情報サイトAllAbout「健康・医療」領域担当編集者として、「睡眠・快眠」ガイドサイト立ち上げ運営を機に睡眠研究の第一人者である白川修一郎氏(日本睡眠学会理事)に師事。独立後、朝からはじまるライフスタイル提案サイト「朝時間.jp」創刊に携わる。現在は、執筆、講演、各種メディアにて朝型&快眠生活、時間術、食を軸としたライフスタイル提案を行う。著書に「快眠のための朝の習慣・夜の習慣(大和書房)」他、関連書籍多数。

夏は睡眠不足になりやすい。2大原因を解説!

夏は一年で最も寝つきにくく、寝苦しい季節のひとつです。まずは、夏に睡眠不足に陥りやすい2大原因について解説します。

  1. 高温多湿により入眠に必要な体温低下が妨げられるから
    人の体は深部の体温が上がると活動モードになり、下がると眠るモードに転じるようにできています。しかし、夏は気温や湿度が高いため汗の発散がうまくいかず深部体温の低下が妨げられ、眠るための体制を整えづらくなってしまいます。そのため、睡眠の質も悪化しやすくなり、寝ついてもすぐに目が覚めてしまうことに。
  2. 朝日が早く昇るので、早朝から目が覚めやすくなるから
    私たちの体は朝日により覚醒が促されます。夏は日照時間が長く、また、太陽が昇る時間が早いため、早朝から寝室に光が差し込み、まだまだ眠っていたい時間でも光の目覚まし効果により目覚めてしまうことに。

快眠を誘う方法。3つの室内環境に注意して

寝苦しい夏でもスムーズに寝つき熟睡するためには、まずは室内環境を整えることからはじめてみましょう。なお、以下でご紹介する方法は夏に限らず、一年を通して寝苦しさを解消するのに有効な方法です。


●1.寝室の温度は26度、湿度は50~60%「春の寝室環境」が理想的

高温多湿は、寝つきを悪くさせるだけでなく全体的な睡眠の質も低下させてしまいます。暑い日はエアコンをつけて室温と湿度をコントロールしましょう。室温は26度、湿度は50~60%。春の暑くもなく寒くもない心地よいと感じられる寝室環境が理想的です。湿度が高い場合は、除湿機を使うのもおすすめです。

また、エアコンによる乾燥が気になる方や、冷気が直接体に当たるのを避けたいという方は、隣の部屋のエアコンをつけてサーキュレーターで空気を循環させるといった方法も◎

注意点は、エアコンの設定温度を26度にするのではなく、部屋の温度が26度前後の春の寝室環境を再現できるように設定すること。正確に温度がわかるよう、室温・湿度計を用意しておくと良いでしょう。26℃では少し肌寒くて逆に熟眠を妨げられるという場合は26℃を基準にしてご自身が心地よい温度設定を見つけて調節してみましょう。

早朝に寝苦しさで目覚めてしまうというお悩みをお持ちの方はタイマーなどは設定せず、一晩中つけておくのがベストです。一晩中つけることに抵抗がある方は、深い睡眠が現れる睡眠前半の睡眠環境を整えるために4時間を目安にタイマーを設定してみてください。


●2.良い睡眠を取るためには、室内を暗くすることが大事

通称“睡眠ホルモン”と呼ばれ、眠気に関係し、ぐっすり睡眠の鍵として重要なホルモン「メラトニン」。しかし、メラトニンは光の刺激によって分泌が抑えられ、暗さによって刺激されて分泌が促進されるという特徴を持っています。そのため、就寝前の光環境によっては分泌されにくくなってしまうのです。気持ち良く眠りに誘われるためには、眠る前の1〜2時間前、準備段階から暗い環境づくりを心がけてみましょう。

また、蛍光灯の光は覚醒(目覚め)を促す青い波長の光です。眠りを誘う光は白熱灯などの赤い波長の光。光の「色温度」は眠りにも影響するので、夜はできるだけ暗く、温かみのある赤くて優しい色の光の下で、ムーディーに。そして、眠る時には電気を消してほの暗い中で眠りましょう。


●3.太陽光で早朝に目覚めてしまうなら、遮光カーテンを

夏場は朝日が昇る時間が早いため、早朝から光の刺激で目が覚めやすくなってしまいます。「もっと眠っていたいのに、早朝に目覚めてしまう…」というお悩みをお持ちの方は、遮光カーテンで光を遮ると良いでしょう。また、遮光カーテンには、太陽光による室内の温度上昇を抑える効果もあります

なお、起床時に目覚まし時計やスマホのアラームなど「音」で目覚めている方は多いかと思います。しかし、けたたましい目覚まし時計の音で急激に目覚める「ビックリ覚醒」は体には少しストレスがかかります。

音よりも「この時間に目覚めるぞ」とあらかじめ決めた予定起床時間に自己覚醒&朝日の刺激で目覚められるのが理想的です。遮光カーテンを使う場合は、ほんの数センチだけ開けおき、光の目覚まし効果を得るためにうっすらと光が入ってくるようにしましょう。

快眠のために取り入れたい!5つの夜習慣

快眠のためには、体を日中の“活動モード”から“寝るモード”にチェンジすることが大切です。そのためにおすすめなのが、以下の方法です。


●1.ぬるめのお風呂で体を温めて

入浴はシャワーも良いですが、時間がある時にはお風呂でリラックス時間を楽しんでみましょう。おすすめの入浴時間は寝る1時間半ほど前。温度は39〜40度のぬるめに設定。入浴時間は20〜30分ほど。

ラベンダーやカモミールなどのお好きな香りで鎮静効果のあるアロマオイルをお風呂や床にたらし、芳香浴を楽しむのも良いですね。心地よい湯加減で全身の筋肉を弛緩してリラックスして過ごしてみてください。副交感神経が優位に働きやすくなり気分も落ち着いてきます。

41度以上の熱いお風呂に入らないと、お風呂に入った気がしないという方の場合、寝る直前にお風呂に入ってしまうとなかなか体温が下がらず眠りにくくなってしまうため、お風呂は就寝前ではなく、できるだけ、2〜3時間前に済ませましょう。前述したとおり、人の体は深部の体温が上がると活動モードになり、下がると眠るモードに転じるようにできています。「体温が急激に下がると寝つきが良くなる」のです。

入浴で体温や血流が上がった後、時間とともに汗が引いて体温が下がり、眠りやすい状態に。眠りのゴールデンタイムはバスタイムを活用することで自ら作ることができます。


●2.自分がリラックスできること・気持ち良いと感じることをするのが大事

良い睡眠のためには、寝る前のリラックスが必要。リラックスすると副交感神経が優位になり、入眠しやすい状態を促すことができるのです。しかし、リラックスするために「〇〇するのが効果的」と一概に言うことはできません

例えばラベンダーの香りは、一般的にリラックス効果が高いとされています。しかし、ラベンダーの香りが苦手な方がラベンダーのアロマやお香を使ったら、かえってストレスになることも。交感神経が高まり、眠りづらくなってしまうでしょう。

また、例えば「眠りを誘う音楽」と謳われているものをかけても、その音楽が自分にとって不快であればうまくリラックス・モードに入ることができません。ご自身が本当に気持ち良いと感じられるコトやモノを見つけてみてください。

●3.子どもの頃に寝る前にしていた習慣を取り入れてみるのもおすすめ

眠りの習慣というのは、子どもの頃から作られてきたものです。子どもの頃に寝る前にしていた習慣を思い出し、取り入れてみるのも良い入眠方法だと言えます。例えば、親にマッサージをしてもらうと眠りやすかったという思い出のある方は、子どもの頃を思い出しながらセルフマッサージをしてみると良いかもしれません。


●4.騒音や雑音が気になって眠れないなら、好きな音楽でマスキング

音楽には騒音や雑音をマスキングして気にならなくさせる効果があります。車の音や人の話し声・家電の音が気になって眠りにくいと感じる夜は、それらを遮断するために音楽をかけるのは有効です。

なお、音楽をかけること自体に入眠効果があるかについては、一概にそうとは言えません。前述したように、眠りやすい状態を作るには自分自身がリラックスするのが一番。「音楽が鳴っていると気になってしまう」という方は無理に取り入れる必要はありません。


●5.「スリープセレモニー」を決めておくのも効果的

寝つきを良くするために、毎日寝る前に行う自分なりのリラックス習慣を「入眠儀式=スリープセレモニー」と呼び、実際に眠りにつくまでの時間を短縮する作用が知られています。

ルーティンを作ると、入眠までの時間を短縮できます。例えば、寝る前に本を読む・マッサージをする・ストレッチをする・お気に入りのアロマを焚くなど、リラックスできることであれば何でも構いません。

ただし、スマホで動画を見る・テレビを見るなどの行為は、睡眠誘発ホルモン「メラトニン」の分泌を抑えてしまい熟眠を妨げるため避けましょう。また、眠酒、寝る前のタバコは逆効果となるので別のリラックス習慣を見つけてみましょう。

快眠を促す食事と栄養素

●サプリなどに頼らず、3食をバランス良く食べることが大切

結論から言えば、「これさえ摂っていれば良く眠れる!」というような栄養素やサプリメントはありません。栄養バランスの良い食事を、3食に分けてきちんと食べることが最も重要。ダイエットなどでエネルギー&栄養不足に陥ると、日中を快活に過ごすことができにくくなるため睡眠にも悪影響を及ぼします。

毎日の快眠を目指す上で特に意識的に摂りたい栄養素は、トリプトファンというアミノ酸です。トリプトファンは外から栄養として摂らなければならない必須アミノ酸のひとつで、睡眠誘発ホルモン「メラトニン」の原材料となります。

トリプトファンは納豆や味噌汁・豆腐などの豆製品や、牛乳やヨーグルト・チーズなどの乳製品の他「卵・肉類・魚類・バナナ・ナッツ類・ゴマ・全粒粉」など、タンパク質の多い食品に含まれているので、ぜひ積極的に取り入れましょう。


●朝ごはんは快眠に欠かせない!

日中にしっかり活動して「心地よい疲労感」があることも快眠のためには重要です。朝ごはんを食べないと、日中の活動量が低下し、快眠に必要な疲労感が十分に得られないことも。

また、朝食は体内時計を整える上でも重要な役割を果たしています。朝日浴で目覚める脳のマスタークロックを親時計とすると、朝食を食べることで「腹時計」を目覚めさせ、一日のリズムをしっかり刻むことができるようになるのです。朝、なかなかエンジンがかからないとう方は、かんたんなメニューでも良いのでぜひ朝ごはん習慣をはじめましょう。

朝ごはんの内容は、献立になっているものが理想的です。例えば、「パン一個だけ」ではなく、「パンとヨーグルトとスープ」など。用意しやすいもの・毎日同じものでも構わないので、しっかり朝ごはんを食べるようにしましょう。

夏の快眠におすすめの寝具・快眠グッズ

快眠のために最も大事なのは、ストレスや違和感をできるだけなくすこと。もし今の寝具にストレスや違和感を覚えるなら、一度買い替えを検討してみるのも良いでしょう。

  • 化繊のパジャマのチクチク感や蒸れ感が気になるなら、自然素材などの肌触りの良いパジャマを
  • 掛け布団やシーツが汗で蒸れて寝苦しく感じる場合は、より吸湿性・放湿性・放熱性の高いものを
  • 睡眠時に腰が痛くなるのなら、ご自身の体格・体重に合わせた体圧分散ができるマットレスを

自身が感じているストレスや違和感に合わせて寝具を変えることが大切です。また、かけ寝具と敷き寝具の間の湿度による蒸れ感や、寝具の肌への張り付き感、暑さがどうしても気になるという方は「冷感シーツや冷感ブランケット」に衣替えをするのもおすすめです。

睡眠を妨げる…。スマホ・カフェイン・タバコ・お酒

●快眠を妨げる、寝る前のスマホ

スマホ・タブレット機器・PC・テレビが発するブルーライト(青い波長の光)は目覚めを促してしまいます。特に、スマホは目に近づけて画面を凝視しがちです。光源を直接見つめている状態が続くため、メラトニンの効果による自然な眠気の訪れを邪魔してしまいます。

快眠のためには寝る前のデバイスとの付き合い方を見直してみましょう。ぐっすり習慣のために可能であれば眠る1時間前、難しければ30分前にもスマホ時間は終了するのが◎

また、私たちの脳は、睡眠中のちょっとした音など、環境の変化を察知したら睡眠を中断して目覚められるように「高度な見張り番システム」を持っています。ベッド近くにスマホを置いておくと、「もしかした連絡が来るかもしれない」「スマホをONにしてメッセージをチェックしたい」という意識が働き、脳が休まりにくくなってしまいます。できればスマホは寝室以外のお部屋に置いておくことをおすすめします。どうしても近くに置かないといけない場合は、飛行機モードにしてメールや着信が来ないように設定しましょう。


●夕方以降のカフェイン摂取は避けて

覚醒効果が期待できるカフェイン。スッキリ目覚めたい時にはその覚醒効果を利用すると良いでしょう。しかし、寝る前のカフェインは逆効果。興奮作用があるので、健やかな眠りを妨げてしまいます。

カフェインの作用は一般的には4~5時間続くとされていますが、年齢を重ねるほど分解能力が低下するので作用は長く続きます。就寝時間から逆算して、夕方以降は摂取を控えましょう。寝る前にどうしてもコーヒーが飲みたい方はカフェインレスのものにするなどの工夫を。


●喫煙には眠りを妨げる作用が

タバコに含まれるニコチンには、リラックス効果があることが認められていますが、同時に覚醒作用もあるのです。寝る前の一服が原因で眠りにくくなってしまう可能性があることを知っておきましょう。


●寝る前のお酒は睡眠の質を大きく低下させる

お酒を飲むと眠りやすいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、アルコールを飲むと、眠っている途中に目覚めることが増え、記憶を定着させている後半の睡眠が浅くなりがちです。

また、アルコールは利尿作用があるため、お手洗いのために目覚めることも増え、熟眠を妨げます。お酒は就寝の3時間前には切り上げるようにしましょう。

まとめ

日本人の睡眠時間は外国人に比べて短く、慢性的に睡眠不足の方が多いと言われています。特に夏は睡眠の質が低下しやすい季節です。ぜひ今回ご紹介した方法を参考に、睡眠環境を見直してみてください。

また、もし1か月以上、以下のような眠りに何かしらの問題を抱えている方は医師の診察や検査が必要な場合があります。

  • 寝つきが悪い
  • 睡眠中にしばしば目が醒めてしまう
  • 眠いのに朝早くに目覚めてしまい再び眠れない
  • 十分な時間眠ったのに熟眠感がない

……の他、眠りに関して、何かしらの問題を抱えている。

このような場合は、全国各地にある睡眠医療認定委員会が認定している認定医・歯科医・検査技師のいる医療機関に足を運んでみてください。所在地等の最新の情報は、日本睡眠学会のホームページ(http://jssr.jp/)などでチェックが可能です。

睡眠改善シニアインストラクター・上級睡眠健康指導士 内海 裕子