ストレス軽減、心を整える。マインドフルネス瞑想の効果とやり方

2020年8月20日掲載

コロナウイルス感染症にともない社会や生活が変化しつつある今、先行きが見えづらい将来への不安やストレスに晒されている方は多いかと思います。

いつも心がどこかに彷徨っていて、目の前の物事に集中できない状態になっている方も多いのではないのでしょうか。そこで今回は、不安やストレスの軽減、心身の安定に役立つ「マインドフルネス・瞑想」について、関西マインドフルネス協会の龍田美千代さんにお聞きしました。

マインドフルネスの基本的な考え方やマインドフルネスの実践方法の他、効果的な瞑想のやり方をご紹介します。

関西マインドフルネス協会 理事 龍田 美千代

関西マインドフルネス協会講師 /ファシリテーター/メンタルコーチ/カウンセラー
メンタルトレーニングやカウンセリング、企業研修においてマインドフルネスを導入。マインドフルネスの普及に努めている。

マインドフルネスとは

●マインドフルネスとは意識の状態のこと

マインドフルネスとは、「“今ここ”に意図的に意識を向け、価値判断をせず、ありのままに受け入れている状態」を指します。元々は仏教の教えに由来した思想ですが、近代になって宗教色が排除され、医療プログラム・ビジネススキル・自己啓発スキルとして広まっていきました。現在では、多くのトップビジネスマンが実践していることでも話題になり、メンタルコントロールメソッドとして大きな注目を集めています。


●“今、ここ”に意図的に意識を向ける…ってどういうこと?

誰しも、目の前で起きている出来事よりも、頭の中の思考に囚われてしまうことがあります。思考がポジティブな内容ばかりであれば良いのですが、「なんであんなこと言ってしまったんだろう」「いつになったらコロナは終わるんだろう」「1年後、ちゃんと仕事あるだろうか」などネガティブな内容ばかりが頭を占めていると、実際は起きていないにもかかわらず不安や後悔・悲しみ・怒りなどを感じてしまいます。そこで、“今ここ”だけに意図的に意識を集め、今感じる必要のないストレスに心が濁されないようにするのです


●価値判断をせずにありのままに受け入れる…ってどういうこと?

私たちは普段、目の前で起きた出来事に対して逐一「良い・悪い」「正しい・間違っている」「意味がある・意味がない」などと主観に基づいた価値判断をしがちです。しかしマインドフルネスの考えでは、目の前の出来事に対して価値判断をせずにありのままを観察し、事実だけにフォーカスするよう心がけます。そうすることで、物事を客観的・俯瞰的に見る力・状況に応じた適切で冷静な対応をする力を養います

マインドフルネスの実践がもたらす効果

マインドフルネスの思想が世界的に広まった理由のひとつは、脳科学や心理学の臨床研究によって体や脳への有効性が示されるようになったからです。以下の効果が報告されています。

【マインドフルネスの実践によって期待できる効果】
  • ストレスの軽減
  • 学習力/記憶能力/集中力の向上
  • 免疫システムの機能向上
  • 慢性疼痛の改善
  • 不安障害/不眠症/恐怖症/摂食障害/依存症の症状改善
  • うつ病の再発防止・軽度のうつ病の症状改善
  • 感情コントロールの向上(共感力・おもいやり・適切な意思決定・幸福感など)

こういった効果から、マインドフルネスは多くの医療機関や企業などで取り入れられています。また、自己啓発スキルとして学ぶ人も多くいます。

マインドフルネスの状態を作り出すには?

マインドフルネスの状態(“今ここ”に意図的に意識を向け、価値判断をせず、ありのままに受け入れる状態)をつくるためには、脳のトレーニングが必要。その方法として最も一般的なのが瞑想です。

仏教では、2500年以上も前からマインドフルネスを実践するためのトレーニングとして瞑想が行われていました。瞑想によって意識をコントロールし、「今ここ」の一点に集中させるのです。

なお、誤解している方もいるかもしれませんが、マインドフルネス=瞑想というわけではありません。瞑想はマインドフルネスの状態を作るための方法のひとつで、瞑想以外にもマインドフルネスの状態をつくる方法はたくさんあります。

最もスタンダードな瞑想、『マインドフルネス呼吸瞑想』のやり方

瞑想にもさまざまなやり方がありますが、ここでは最もスタンダードで誰でもやりやすい「マインドフルネス呼吸瞑想」をご紹介します。


●マインドフルネス呼吸瞑想のやり方
  • 椅子または床に座る
    座り方に決まりはありません。椅子に腰掛けても床にあぐらをかいてもOKです。ただし、深い呼吸ができるように背筋が伸ばせる座り方をしてください。
  • 呼吸に意識を向ける
    肩の力を抜いてリラックスし、目は閉じるが半目に。ゆったりと自然なペースで呼吸をし、意識を呼吸だけに向けます。


【呼吸のしかた】

できれば腹式呼吸(息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹を萎ませる)を。難しい場合は無理に腹式呼吸をしようとしなくても良いので、自然な鼻呼吸を心がけましょう。

【呼吸の意識のしかた】

空気が入ったり出たりするのを感じられる部分(鼻先・鼻の中・お腹の動き)に意識を向けましょう。吸うときと吐くときの温度の違い・空気が体に入ってくるときの感覚・出ていくときの感覚を感じてください。途中で頭に何か他の感覚や考え方が浮かんできても、気にせずそっと意識を呼吸に戻します。


●瞑想をする場所

瞑想をする場所はどこでも構いません。最初はリラックスしやすい場所・人の声や物音が少ない、気が散りにくい場所が良いでしょう。慣れてくると、オフィスの自席や電車の中などでもできるようになります。


●瞑想をするタイミング

瞑想をするタイミングとしておすすめなのは、「活動を切り替えるとき」です。起床後これから活動を始めるとき・仕事を始めるとき・別の業務に移るとき・寝る前など。会議の前に全員で瞑想を取り入れる会社もあります。そうすると意識がスッと切り替えられて次のタスクに臨みやすくなるのです。また、今はテレワークで仕事と生活がひと続きになっていて、オンとオフの切り替えられないと感じている方も多いと思います。そういった方はパソコンに向かう前にするのもおすすめです。

マインドフルネス呼吸瞑想のポイント

●最初は5分から、毎日続けることが大事

呼吸に意識を向け続けるというのは想像以上に大変です。「最初のうちは5分やるのも精一杯」という方がほとんどですが、毎日少しずつでも続けることに意味があります。続けるうちに、意識の向かう先をコントロールすることがだんだん楽にできるようになるはずです。最初は1回5分から。最終的には30分程度できるようになれると良いでしょう。

なお、瞑想を始めたからといってすぐに何か大きなメンタルの変化が訪れるわけではありません。しかし、1回5分を1日に何度か行い、それを2ヶ月程度継続すれば、「集中力が上がった」「感情のコントロールをしやすくなった」「ここぞというときに頭がさえるようになった」「適切な状況判断ができるようになった」などの変化を実感する方が多いようです。


●途中で意識が逸れてしまってもOK!

瞑想と言うと、「頭を空っぽにしないといけない」「無になれないとダメ」と思っている方は多いかもしれません。でもこれは誤解。物音に気を取られて意識が逸れてしまったり、何かを思い出したり、考えが浮かんできたりするのは仕方のないことです。「あ〜今他のこと考えちゃった!」と終わりにしたり、集中できていないなと判断したりせず、「あ、意識が逸れたな」と認識し、呼吸に意識を戻せばOKです。


●瞑想をやらない方がいい人・やらない方がいいタイミング

PTSDや中等度以上の不安障害などの精神疾患を抱えている方は、瞑想中にフラッシュバッグが起きたり混乱をきたしたりする恐れがあります。不安がある方は実践する前に専門家に相談してください。また、お酒を飲んだ後・食後すぐは避けた方がいいでしょう。

マインドフルネスの実践で、ポジティブな毎日を

精神的ストレスの原因は「今ここで起きているわけではないこと」がほとんど。

過去の出来事を思い出したり未来に起こるかもしれない出来事を想像したりして、悲しみや不安・絶望・怒りなどを感じるのです。だからこそ、毎日を幸せに生きていくためには、“今ここ”に意識を向けて、“今できる最善”のための行動をとることが大切です。

しかし、現代の生活において、「今この瞬間」に注意を留めるのはなかなか難しいことかもしれません。いつも予定に追われ、先のことばかり考えている方は多いでしょう。また、スマホなどのデジタルデバイスの存在も、自分自身に意識を向ける妨げになっていると言えます。

そんな時代だからこそ、マインドフルネスの実践によるメンタルコントロールをおすすめします。ぜひ今日から1日5分の瞑想をはじめてみてください。

関西マインドフルネス協会 理事 龍田 美千代