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安全・安心な断食のコツとは?健康・ダイエットに効果的なファスティングのやり方

痩せる・肌が綺麗になる・体調が整うなどの効果があることで知られるファスティング。しかし、正しい方法で行わないと、体調を崩したりリバウンドしてしまったりする可能性も。

また、実施する日数によって得られる効果にも違いがあります。そこで今回は、ファスティングの効果や正しいやり方について、ボディコーディネーターの山崎麻央さんに教えていただきました。

山崎 麻央/YAMAZAKI MAO

ボディコーディネーター

ソラーチェ代官山 主宰/加圧・FTPピラティスインストラクター/臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラー。
慶応義塾大学卒業後、外資系IT企業に10年間勤務。出産を機に退職し、加圧トレーニングやピラティス、インディバ、食カウンセリングほか、多角的に体のケアを行うプライベートスタジオをオープン。自ら指導を行うほか、セミナー講師、雑誌や書籍の監修等でも活躍。また、化粧品、健康食品等の開発にも携わっている。2017年に講談社より刊行された『#腹筋女子~お腹が割れたら人生変わった!~』は発売当日に増版されて話題に。2020年2月に、TBSの「バックステージ」で仕事ぶりが特集され注目を集め、2020年5月には三笠書房より新著「10秒痩せストレッチ〜一生太らない!気持ちよく痩せる〜」が発売され好評をよんでいる。

ボディコーディネーター 山崎 麻央/YAMAZAKI MAO

ファスティングとは?

ファスティングのイメージ

「ファスティング」は、平たく言えば「現代版の断食」です。本来の「断食」は、食事を抜いて水だけを摂取して過ごす宗教修行・精神修行のひとつ。

対してファスティングの場合、多くは血液の浄化、デトックスや腸内環境のダイエットや腸内環境の改善を目的として行われます。また、固形物をとらないのは断食と一緒ですが、酵素ドリンクや必要に応じて、ビタミン・ミネラルなどを用いて必要な栄養素や糖質をこまめに摂取します。

ファスティングの効果とは?

ファスティングの効果が出るイメージ

ファスティングで得られる効果は、実施日数によって異なる

ファスティングの効果は、どのくらいの期間続けるかによって異なります。「プチ断食」と呼ばれる半日〜1日の短期間ファスティングと、3日以上続ける本格的なファスティングでは、体への影響・体に現れる変化は違うのです。

半日〜1日の短期間ファスティングで得られる効果

短期間のファスティングでは、胃腸を休めて消化機能を回復させる効果が期待できます。現代人は基本的に食べ過ぎ。胃腸に負担をかけるような食生活も増えています。「最近ちょっと食べすぎたな」というときに短期間のファスティングを行うと、胃腸の重さ・体のだるさが抜けたりむくみがすっきりしたりします。

3日以上の本格ファスティングで得られる効果

体内のデトックス効果

3日以上の本格的なファスティングで期待できるのは、いわゆるデトックス効果です。私たちが普段とっている食事には、たくさんの添加物や毒素(水銀や硫酸塩など)が含まれています。食事を抜くことで体内に蓄積した有害物質が抜け、良い栄養素の吸収力がアップしたり、エネルギー代謝のサイクルが円滑になって免疫力アップにつながったりすると考えられます。

ダイエット効果

ファスティングを行うと、3日目あたりから「ケトン体」という物質の分泌が増加します。ケトン体とは、糖質の摂取を制限したときに多く発生する物質で、体内の脂肪をエネルギーとして燃焼する働きをします。このケトン体の発生によって脂肪燃焼作用が高まります。

腸内環境の改善効果

ファスティングをすると腸の消化機能が回復するため、腸壁にへばりついていた居残り便が排出されやすくなり、腸内環境の改善が見込まれます。便秘も解消しやすくなるので、むくみや肌荒れの改善・ダイエット効果も期待できます。
また、体の免疫機能の約7割は腸管内にあると言われています腸内環境が整うことで免疫力がアップし、風邪や感染症にかかりにくくなる・疲労感の解消・アレルギー体質の改善・花粉症やアトピーの改善にも役立つと考えられます。

メンタル面での効果

ファスティングで腸内環境が整い腸管免疫の機能が回復すると、「セロトニン」の分泌が促されます。セロトニンとは、「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質。セロトニンが分泌されることで、気持ちが穏やかになるなどメンタル面に良い影響が期待できます。

ファスティングの具体的なやり方

ファスティングのやり方イメージ

ファスティングで重要なのは血糖値を一定に保つこと

期間に限らずファスティングをする際に重要なのは、血糖値を一定に保つこと。急激に血糖値が上がったり下がったりしないよう、こまめに糖質をとることが大事です。そのために用いられるのが酵素ドリンクです。ファスティングに使うドリンクは「酵素ドリンク」と呼ばれていますが、実際に生きた酵素が含まれているわけではありません。酵素というのは高温で加熱するとその活性を失ってしまうので、加熱殺菌処理を行う酵素ドリンクには生きた酵素は含まれていないのです。

酵素ドリンクとは?

ではなぜ酵素ドリンクと誤解を招く呼び名になっているのかというと、製造の過程でフルーツ、野菜、野草が持つ酵素の力で酵素発酵されていることで、その昔、どこかの会社が酵素発酵により作られた健康ドリンクを世間一般に分かりやすくするために酵素ドリンクと呼び始めたのがきっかけとなります。これが一般的に広まり、今でも酵素ドリンクと呼ばれているのです。

ファスティングで使用する酵素ドリンクは、もともと健康ドリンクとして扱われていた酵素ドリンクに、細胞の働きや体内でのエネルギー生産能力、ファスティングによって普段の何十倍も放出された脂肪酸を効率良くエネルギーに変換し、断食中もエネルギー不足にならないよう、考えられた栄養素を配合したものがファスティング用の酵素ドリンクとなります。

色々なメーカーから発売されていますが、酵素ファスティングに重要な栄養素であるマグネシウムやL-カルニチン、MSMが含まれているものを選ぶと、楽にファスティング期間を過ごすことが出来ます。また、酵素ドリンクとともに、添加物が入っていないサプリメント(乳酸菌やビタミンBなど)を摂取することもあります。

半日〜1日ファスティングの方法

準備期間

ファスティングの効果を高めるために、カフェイン・小麦を3日前から抜いておきましょう。また、前日は動物性タンパク質・白砂糖は控えてください。

ファスティング期間

ファスティング期間中に摂取するのは、水と酵素ドリンクのみに限定しましょう。脱水防止のためにお水はたくさん飲んで。血糖値を安定させるために、1日に数回酵素ドリンクを摂ります。(酵素ドリンクの量や回数は、使用する商品の指示に従ってください)

回復期間

ファスティング期間が終わったからといって、いきなり胃腸に負担のかかるものを食べるのはNG。おかゆなど、消化の良いものを食べましょう。腸内環境を整えるのに役立つ、ヨーグルトなどの発酵食品をとるのもおすすめです。

3日以上のファスティング方法

※3日以上のファスティングは、自己流にすると体に大きな負担をかけることがあります。初めてのときは専門家の指導のもとで行うことをおすすめします。

準備期間

ファスティングの効果を高めるために、カフェイン・小麦を1週間前から抜いておきましょう。また、2日前から動物性タンパク質・白砂糖、揚げ物は控えてください。

ファスティング期間

ファスティング期間中に摂取するのは、水と酵素ドリンクのみ。必要に応じて、お塩や無添加の梅干しを1日1~2個を目安に取ります。また、脱水防止のために、お水は多めに飲みます。血糖値を安定させるために、1日に数回酵素ドリンクを摂ります。(酵素ドリンクの量や回数は、使用する商品の指示に従ってください)頭痛や眠気がひどいときは塩分不足になっている可能性があるため塩をなめるなど、塩分を摂取してください。それでも治らない場合は、無理をせず中止の判断を。

回復期間

3日以上のファスティングをした後の体は、いわゆる飢餓状態で、栄養素の吸収率も上がっています。いきなり普通の食事に戻すと、ファスティング前よりも体調が悪くなる恐れも。おかゆや野菜スープなど、消化の良いものからだんだん普通の食事に戻していきましょう。また、ファスティングによって体内の有害物質などがデトックスされた状態を維持するために、添加物が入っているものはなるべく避けましょう。

始める前に確認!ファスティングの注意点

ファスティングをしようか考えている様子

無理は絶対にだめ!

ファスティングでまず守ってほしいのは、無理に続けないということ。頭痛やだるさ・吐き気が激しい・貧血症状が出ているといった場合は、すぐに中止しましょう。

体質によってデトックスとの相性が悪い場合も

ファスティングをしない方がいい人・してはいけない人もいます。糖尿病体質の方や持病を持っている方は、必ず担当医に相談しましょう。また、ファィステイングを始めると、いったん免疫力が低下し、その後上がります。そのため、免疫力が低い方や風邪を引きやすい方も注意が必要です。そのほか、貧血気味の方や、生理前・生理中も鉄分が不足し、体調不良に陥る恐れがあります。体調もメンタルも安定する生理明けに行いましょう。

初回は専門家に相談する

3日以上のファスティングの場合、初回は専門家の指示のもとで行うことをおすすめします。ファスティングをしてもいいか・しない方がいいかの見極め、やり方など、ご自身では判断がつかないこともたくさんあります。

ファスティングを行う頻度

半日〜1日の短期間ファスティングは、月に1回程度行ってもOK。「最近食べすぎちゃったな」「飲み会続きで胃が疲れているな」などといったタイミングで行うのがおすすめです。

一方、3日以上の本格的なファスティングの場合は、2ヶ月は間を空けてくださいやりすぎると栄養失調や体調不良を招く恐れも考えられます。ファスティングはダイエットではなく、血液の浄化、腸内環境の改善、デトックスを目的とした体質改善のための手段の1つです。

普段の食生活や運動習慣を改善しなければ、一時的に体重が減少しても、筋肉量が低下して代謝が落ち、かえって痩せにくくなることもありますのでご注意ください。

ファスティング期間の過ごし方・NG行為

ファスティングで減量に成功するイメージ

ファスティング中にしない方がいいこと

ファスティング中に避けたほうがいいのは、普段やっていないような激しい運動。少しでも体に良いことをしようと、いきなりランニングをしたり筋トレをしたりするのは避けましょう。また、ファスティングをして眠気が出やすくなっている方は、車などの運転も控えてください。

ファスティング中は軽い運動もおすすめ

ファスティング中に元気がある方は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動をすると良いでしょう。外出を控えたい場合は、家の中で「その場ウォーキング」を。手足をリズミカルに動かす運動は、自律神経の安定にもつながると言われています。このほか、ヨガやストレッチ、瞑想などもおすすめです。

ファスティングのコツ・効果を持続させる方法は

ファスティングで減量に成功した様子

ファスティングを成功させるためのコツ

ファスティングは空腹との戦いと思われがちですが、空腹感は脳の血糖値が下がることで起こります。つまり、酵素ドリンクを一気飲みせず、こまめに少しずつ飲んで血糖値を安定させることで意外にも空腹感は感じません。くじけずに続けるためには、グループファスティングがおすすめ。友達同士でお互いに励ましあったり進捗を報告しあったりすると、ひとりで行うよりも楽に続けられます。

ファスティングの効果を持続させるために日常生活で気を付けるべきこと

一度ファスティングをすると、自分の体の状態や自分が普段とっている食事・食材への意識が自然と高まります。「きれいになった体内をできるだけ長く維持したい」と感じる方も多いはず。そんな方は、以下の点に留意してみてください。

小麦製品や乳製品の摂取を控えめにする

小麦に含まれるグルテンや乳製品に含まれる糖は、摂りすぎると胃腸に負担をかけたり腸内環境を悪化させたりすることがあります。

体を冷やさないようにする

体が冷えると血行が悪くなり、自律神経が乱れる、内臓の動きが悪くなるなど、さまざまな体調不良を招きやすくなります。

添加物や酸化した油を避ける

添加物を含む食品はできるだけ避けましょう。また、空気に長時間触れて酸化した油は、体に悪影響を及ぼします。油の使い回しやお惣菜の揚げ物なども控えることをおすすめします。

まとめ

デトックス効果やダイエット効果・腸内環境改善など、さまざまな効果が期待できるファスティング。気になっている方は、まずは半日から1日の短期間ファスティングで体の変化を確認してみましょう。さらに本格的なファスティングに挑戦してみたい場合は、初回は専門家に相談し、ご自身の体調を慎重に観察しながら実施してみてください。

ボディコーディネーター 山崎 麻央/YAMAZAKI MAO

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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