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サウナの究極の快感「ととのう」とは。プロサウナーが語るその魅力

「ととのった!」全国のサウナ愛好家(通称サウナー)はサウナ活動で最高の快感に達することをこう呼びます。「一度、この感覚を味わうと、もうサウナからは離れられません」そう語るのはサウナ・スパ健康アドバイザーの森さん。

仕事終わりの金曜日、たまりにたまった疲れをとりたい。そんなときあなたならどうしますか? 人と話したりお酒を飲みに行ったりという選択肢があるでしょう。
そんなときも、もちろんサウナーはサウナ一択! でも、何がそこまでサウナーを惹きつけるのでしょうか?

今回はサウナーを魅了してやまないサウナの魅力、もん絶の快感“サウナトランス状態”にたどり着く方法、そして深すぎるサウナ愛をサウナ・スパ健康アドバイザーの森さんに語っていただきました。

森俊之さん

公益社団法人日本サウナ・スパ協会認定のサウナ・スパ健康アドバイザー。本業もサウナ関係、プライベートもサウナ三昧の真のサウナ愛好家。

サウナで味わう究極の快感ステージ

「僕はタオルとお風呂セットを常に持ち歩いています」と話す森さんですが、実は数年前までサウナのことが特に好きなわけではなかったそう。仕事の都合でサウナに入る機会が増えて、自分なりの気持ち良い入り方を工夫していたある日「この最高の快感はなんだ!?」と思う瞬間が訪れました。

そう、それこそが全国のサウナーを魅了してやまない「ととのった(ととのう)」瞬間だったのです。サウナや水風呂を何回かくり返した後、椅子やベンチでゆっくりと休憩をすると血液が体を、酸素が脳を駆け巡り、ディープリラックス状態になります。この「とてつもなく気持ち良い、天国のような快感」に達することを、サウナーは「ととのった!」と呼ぶのです。

疲れているときこそサウナで「ととのえる」べき!

疲れをとる手段はいくつかありますが、わざわざ仕事終わりにサウナに行こうと思う人は多くはないかもしれません。しかし森さんは「サウナでととのうと、体がシャキッとして疲れがとれるんですよ。仕事終わりのサラリーマンにこそ行ってほしいですね」と言いきります。

高温のサウナに入ったとき、血流が増して脈が速くなったような変化を感じたことはないでしょうか。実はこのとき、体の各器官の動きは通常よりも高まっています。その結果、新陳代謝が活発になり、乳酸などの疲労物質が汗とともに体外に排出されます。つまりサウナに入った後の体の方が、入る前よりもハツラツと元気な状態になっているのです。森さんは「体の老廃物をサッパリ出すサウナは、疲れたときにこそ利用するべき。ととのった後の神経が研ぎ澄まされる感覚の中毒性はやばいですよ」と教えてくれました。

知れば入らずにはいられない!サウナの4つの健康効果

「ととのう」快感も魅力ですが、サウナにはそれ以外にもうれしい健康効果がいくつもあります。「腰が痛い」「なかなか寝つけない」など、忙しい現代人が癒やしてほしいポイントを心地よく改善に導いてくれます。今回はお疲れの方に知ってほしい、4つの健康効果をご紹介します。

1.疲れや肩こり・腰痛などが緩和される

サウナに入ると、血流が安静時の約2倍高まります。そして、血流がよくなると疲労物質が汗と一緒に流れ出します。これにより疲労回復効果が見込めるだけではなく、肩こり・腰痛などの神経感覚的症状も緩和されます。

2.血圧が正常になる

年齢を重ねるにつれて気がかりになる、血圧の数値。実はサウナと冷水の交代浴をすると、血圧が正常に戻るといわれています。特に入浴後はサウナで血管が拡張されるので、最高血圧・最低血圧がともに低下します。その数値は一時的なものではありますが、高血圧の人にとってはとてもうれしい効果だといえます。

3.神経が鎮静される

低温サウナにゆっくり入ると、神経が静まり緊張がほぐれます。活動的な昼のリズムから休息のリズムへの自然な切り替えができるので、快適な睡眠に役立てることができます。「仕事のことが気になってなかなか眠れない」という方は、サウナで体と気持ちの切り替えをしてみてはいかがでしょうか。

4.汗腺や皮脂腺が清潔になる

体温が約38℃になると、全身の汗腺から汗がふき出ます。それと同時に皮脂腺からはあぶらが、アポクリン腺からは嫌なニオイのもとが排出されます。サウナに入ることで皮脂や皮下組織を洗浄できるのです。加齢臭が気になる方は、ぜひサウナでリフレッシュを!

魅惑のサウナトランス状態にたどり着くには

サウナの健康効果を知ったうえで気になるのは、その効果を最大限に高めて、究極の快感に達する「ととのえる方法」。しかし「ととのえ方」に決まったルールはありません。何度も何度もサウナに通い詰めて、自分の体に合った利用時間、水風呂の温度、休憩場所を探り、導き出していく必要があるのです。そうして自分にピタッとはまる方程式にたどり着いたとき、最高の“サウナトランス状態”にたどり着くことができます。「自分のととのえる方法を探しに行くこともサウナの大きな楽しみです」と森さんは教えてくれました。

なお森さんは「サウナに5分入る→水風呂に入る→水を飲んで休憩」を5セットくり返すそう。サウナ慣れしていない方であれば1回のサウナは10分ほど、そして上記工程を2-3セット行うのが一般的です。

サウナ・スパ健康アドバイザーが語る「ととのえる」コツ

「ととのえる」方法は人それぞれとはいえ、コツや注意点はあります。森さんが説く、4つのポイントをご紹介します。

1.サウナに入る前は必ずタオルで体を拭く

「一般的なサウナでは、体を洗ってお風呂に浸かってからサウナに入る方が多いかと思います。しかし、シャワーやお風呂の水分が体についたままサウナに入ると、汗が出にくくなってしまいます。汗が出にくくなる=疲労物質が出にくいということになるので、サウナに入る前は必ず体の水分を拭いておきましょう」

2.水風呂に入ってみる

「水風呂に入るか入らないかは体質に合わせて決めたいところなのですが、多くのサウナーは水風呂に入った方がととのうといいます。僕は腰の位置まで水位がくるくらい深めで、さらに水温が低い水風呂が好きです。関西だと、神戸サウナ&スパの水風呂がキュッと冷えていて良いです」

3.水分補給と休憩を必ずセットの中に入れる

「『ととのえる』には汗をしっかりと流して、心身をリラックス状態に持っていく必要性があります。その方法や適性時間は人それぞれとはいえ、短時間で終わるものではありません。水分補給と休憩を必ずくり返して、脱水症状になったりのぼせたりしないように気をつけましょう。休憩はベンチや椅子でとっても良いですし、露天風呂があるのなら外の空気に触れながらゆっくりと休むのも良いですよ。ただし、特定の慢性疾患を抱えている方や体調面に不安のある方はこの入浴法は控えましょう」

4.お酒を飲んだ後は行かないように

「飲酒後はアルコールの利尿作用で、いつもより脱水症状になりやすくなります。アルコールを摂取した状態でサウナに入ると、発汗作用で重度の脱水症状を引き起こしてしまう可能性があります。宴会後などに勢いでサウナに行くことは絶対にやめましょう。飲酒後のサウナ利用はとても危険なので、各サウナ施設は飲酒後のサウナ利用を禁止にしています。なお、飲酒時以外にも極度の疲労や発熱、異常を感じているときはサウナの利用は控えてください」

長嶋茂雄はサウナ文化賞の受賞者!? サウナーの深すぎるサウナ愛

著名人にもサウナ愛好家が多くいます。例えば元プロ野球選手・監督の長嶋茂雄さんは日本サウナ・スパ協会のサウナ文化賞・第一号受賞者です。長嶋さんが選手時代につけていた背番号3にかけて、彼の行きつけだったサウナのロッカー番号3が永久欠番になっているというエピソードもあります。
また、『オッス! トン子ちゃん』などの著作がある漫画家で「コップのフチ子ちゃん」原案者でもあるタナカカツキさんは“サウナ大使”として活躍中。タナカさんはサウナを愛しすぎるがゆえに、年間300日以上サウナに通い、サウナでサウナの漫画を描いています。彼が書いた漫画『サ道』はサウナ愛好家はもちろんのこと、それまでサウナに興味のなかった層をも魅了し、多くのサウナーを誕生させました。

愛しすぎて。サウナの生誕地・フィンランドへ

森さんのサウナ愛もかなり熱く、数年前にサウナを目的にフィンランドへ旅に行ったほど。サウナの生誕地であるフィンランドでは、サウナは神聖なものとしてとらえられており、その昔はサウナ室で出産をする女性もいたそう。森さんがフィンランドで特に良かったと語るのは、サウナの原点とも呼ばれる「スモークサウナ」。スモークサウナとは、屋外に建てられたログハウスの中で楽しむサウナのこと。このサウナ内ではサウナストーンという石を大量に載せたストーブ窯にまきをくべて、石を熱します。石が十分に熱されたところで、そこに水にかけて小屋内に蒸気と煙を充満させます。煙が十分にたまったら、今度は温度を保ちながらも、小屋内の煙を窓から一気に逃します。煙がなくなったところでベンチのすすを拭き取って、やっとスモークサウナとして利用します。じっくりと手間暇をかけて作られた天然のスモークアロマ効果を体感できる、先人の知恵が詰まったサウナなのです。「スモークハウスは湖や小さな池の前に建てられることが多いので、体が熱くポッポとしてきたら小屋前の自然の水風呂に飛び込めるんですよ。冬は雪に飛び込むのも楽しいですね。もちろん僕もダイヴしました」と森さんは笑いながら話してくれました。

関連: フィンランド政府観光局公式ホームページ 「フィンランドのサウナいろいろ」

おすすめのサウナ・スパ

【関東】 スカイスパYOKOHAMA

URL: http://www.skyspa.co.jp/

サウナ大使・タナカカツキさんをはじめとする多くのサウナーに愛されている、横浜駅直結のサウナ・スパ施設。ビル14階という立地から「天空のスパ」と称されることもあるこの施設では、2年に1度サウナ大国・ドイツを始めとするヨーロッパに視察に行くというスタッフの熱い思いが詰まったサウナを楽しめます。古代ローマ式スチームサウナではアロマの香りと噴水の優しい水音に癒やされ、ドライサウナでは窓から見える横浜港を眺めながらゆっくりと汗を流す――そんなぜいたくな時間を過ごすことができます。Wi-Fiとコンセント完備かつカプセルルーム利用もできるので、お仕事終わりや横浜出張の際に立ち寄ってみる価値アリです。

【関西】 サウナ&スパ カプセルホテル 梅田天然温泉 大東洋

URL: http://www.daitoyo.co.jp/spa/mens/

創業50年、大阪・梅田にある天然温泉「大東洋」は温泉・サウナ・リラクゼーション・宿泊施設が集結する複合施設です。サウナの種類が豊富で、フィンランドサウナやミストサウナ・ロウリュ(※)などがあります。また4種類の温度の水風呂があるので、自分にあった「ととのえ方」を探すのにピッタリな場所です。一番安いプランだと3,200円で温泉とサウナ利用・宿泊ができます。一晩中サウナを楽しんで、「ととのう」境地を開拓してみてはいかがでしょうか。

※ロウリュとは?
フィンランドの蒸気浴のことです。熱したサウナストーンに水をかけます。(大東洋グループではアロマ水を使用)湿度を上げて体感温度を一気に上昇させることで、発汗作用が促されます。

参考: 大東洋グループスパ ロウリュの楽しみ方

おわりに

何も予定がないクタクタの金曜日の夜や、動く気力すらない休日。どうしても家でゴロゴロしてしまいたくなりますが、そんなときこそ自分を癒やしてあげることを大切にしましょう。
「サウナの本当の効果を知ると、どんなに疲れていても『サウナに行って元気になろう!』いう気持ちと体力が出ます」と森さんは語ります。

今日のお仕事終わりはちょっとだけ足を伸ばして、サウナであなたの「ととのえる」道を探してみてはいかがでしょうか?

監修

サウナ・スパ健康アドバイザー 森俊之

日本サウナ・スパ協会事務局長 若林幹夫

日本サウナ・スパ協会 URL: http://www.sauna.or.jp/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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