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二日酔いの治し方。医師に聞く、頭痛・吐き気への対策

飲みすぎた次の日に訪れる二日酔い。
ズキズキとした頭の痛み・吐き気・胸焼け・全身のだるさ……
つらい症状の対処法にはどんなものがあるのでしょうか?
また、二日酔いを予防する方法はあるのでしょうか?

今回は二日酔いの対処法と予防法について、上嶋内科・消化器科クリニックの上嶋弾先生に教えてもらいました。

上嶋 弾 先生

上嶋内科・消化器科クリニック

京都大学医学部卒。京都大学医学部附属病院内科、北野病院内科、三菱京都病院消化器内科の研修後、「北野病院 消化器内科 副部長」「阪和住吉総合病院 消化器センター 部長」など、数々のポストを経て2015年に上嶋内科消化器科クリニックを開設。豊富な経験と消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医など、さまざまな専門性を活かした高いレベルの医療サービスを提供している。

そもそもどうして二日酔いになるの?

二日酔いが起こる原因は、大きく分けて2つあるといわれています。

1つ目はアセトアルデヒドです。アルコールは、体内に入ると肝臓で分解され、アセトアルデヒドという成分に変化します。アルコールを摂取しすぎると、アセトアルデヒドが全身にまわって神経細胞に影響を与え、二日酔い特有の頭痛や全身のだるさを引き起こすといわれています。

2つ目は、胃食道逆流症(逆流性食道炎)です。ふだん、胃と食道は逆流を防ぐために細く締まっていますが、お酒を飲むとアルコールの作用で緩んでしまいます。そうなると胃液が食道に流れてしまい、吐き気・胸焼け・胃のムカムカといった二日酔いの症状を発症します。

現時点では、主にこれらの2つが二日酔いの症状を引き起こすといわれています。しかし、二日酔いの原因に関してはまだ解明できていない部分も多く、他にも原因がある可能性があります。

二日酔いになったときの対処法

「これをすれば二日酔いがすぐに治る」という特効薬は、現時点ではありません。そのため、二日酔い対策では「治す」ではなく「症状を抑える」ことを中心に対処をします。症状ごとの二日酔いの対処法についてご紹介します。

頭痛がひどいとき

二日酔いの頭痛の原因は、アセトアルデヒドだと考えられています。そのため、頭痛対策としては体内のアセトアルデヒドを薄める、または体から早く抜くことが効果的です。そこで、おすすめしたいのが水分補給。スポーツドリンクや経口補水液を補給するとより良いでしょう。ただし、胃液の逆流を招くため、飲みすぎには十分に注意してください。


吐き気がひどいとき

二日酔いで感じる吐き気や胸焼けといった症状の多くは、胃食道逆流症によるものです。専用の飲み薬をクリニックなどで処方してもらうのが症状緩和の一番の近道です。二日酔いのときに食事をとる際には脂っこいものや刺激物を避けて、なるべくあっさりとしたものを食べるように注意しましょう。


とにかく体がだるいとき

体全体のだるさも、頭痛と同様にアセトアルデヒドが原因だと考えられています。アセトアルデヒドを薄めて、体に害のない成分へと変えるには、栄養と水分が必要不可欠です。適度な栄養摂取と水分補給を行い、体をしっかり休めてください。 しかし、吐き気や胸焼けがする場合は、食事を無理にとる必要はありません。体を休めながら水分補給のみを行い、楽になるのを待ちましょう。

二日酔い対策!食事とチェイサーで吸収スピードを抑える

二日酔いはアルコールの吸収スピードを抑えれば、ある程度は軽減できます。アルコール吸収を抑えるには、お酒を飲むときに何かを一緒に食べることが効果的です。また、アルコール以外の水分を同時にとると、体内でアルコールが薄まり、吸収をさらに抑えることができます。お酒を楽しむ際には食事とチェイサー(水・炭酸水・ソフトドリンクなど)をなるべく一緒にとり、アルコールだけを体内に入れないように注意しましょう。

なお、飲んだ後すぐに横になったりして体が平行になると胃液が逆流してしまい、胃食道逆流症の原因になります。お酒を飲んだ後はついベッドで寝たくなってしまいますが、座るか体を少し上げた状態で休みましょう。できれば飲酒後3時間は横にならないのが理想です。

二日酔いにウコンやしじみエキスは効果的?

二日酔いの予防・対処法としてウコンやしじみエキスをとるという民間療法がありますが、それらの食べ物の効果は科学的に実証されているわけではありません。むしろ、鉄分を多く含むウコンやしじみは、過剰に摂取すると肝臓を老化させてしまいます。ウコンやしじみエキスは、二日酔いの万能薬ではないことはもちろん、摂取量によっては肝臓の機能低下につながることを覚えておきましょう。

とはいえ、ウコンやしじみの成分が、アセトアルデヒドを害のない成分に変える働きをサポートしている可能性はあります。科学的に実証されていないぶん、効果がまったくないとも言い切れません。人によっては予防や症状の軽減といった効果につながる可能性もあるため、摂取すること自体は無意味ではありません。用法・用量を守って摂取しましょう。

日本人は肝臓が弱い? 飲みすぎにはくれぐれも注意

アルコールの分解が早い人と遅い人では、早い人のほうが二日酔いになりにくく、お酒にも強い傾向があります。日本人はアルコールの分解が遅く、お酒に弱く二日酔いになりやすい傾向にあるということがわかっています。そう、私たち日本人は、もともと二日酔いにかかりやすい体質なのです。

さらに、日本人はアルコールによって肝臓にダメージを受けやすいこともわかっています。中でも女性は特に肝臓が弱いため、お酒の飲みすぎには十分な注意が必要です。

当たり前の話ですが、二日酔いを予防するには飲みすぎに注意することが一番です。肝臓をいたわるためにも、二日酔いのつらさを味わわないためにも、お酒を楽しむ際には食事やチェイサーを欠かさず、何よりも飲みすぎにないように注意しましょう。

関連:飲み過ぎの人は注意!痛風予備軍チェックリストで確認しよう

監修

上嶋内科・消化器科クリニック院長 上嶋 弾

上嶋内科・消化器科クリニック: http://www.ueshima-clinic.jp/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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