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関西の専門医が語るドクター's コラム

自律神経失調症

南 諭

執筆:南クリニック 院長

NHK、関西テレビ、テレビ朝日など健康番組で多数出演。地域に根ざした医療を行い、広く市民に健康情報を発信している。

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生活環境の乱れや過度なストレスが引き起こす「自律神経失調症」。 夜眠れなかったり、下痢が続いたりと不快な症状に悩まされているならそれは、身体と心のバランスが崩れているせいかもしれません。 今回は、誰もがかかる可能性のある、「自律神経失調症」について説明します。

自律神経失調症とは

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経という二種類の自律神経のバランスが崩れた場合に起こります。

症状は人によってさまざまですが、異常に汗をかいたり、不眠やめまい、冷えのぼせ、立ちくらみ、下痢が続くなど、消化器系、循環器系、呼吸器系、感覚器(五感)の異状が現れ、生活を円滑に送ることができなくなります。

また、憂鬱感、倦怠感、不安感、不眠、情緒不安定、注意力の低下、食欲不振など、心身ともにさまざまな不快な症状が現れてきます。

自律神経失調症の原因

疲れ(身体の疲れ)やストレス(心の疲れ)などの刺激が長時間続くことによって、身体や心の正常な状態のバランスが崩れ、自律神経失調症を起こします。

●こんな人は要注意!自律神経失調状態に陥りやすい状況

例1.急に家庭に入り、生活目標を失ってしまった元キャリアウーマン。
例2.充実感、達成感の得られない仕事をしている方。
例3.職場での人間関係に悩み続けている人。(意識しないうちに、心の疲労が蓄積されている)
※慢性的な自己不全感は、心のストレスが蓄積されてしまい、自律神経失調状態に陥る場合が多い。


●意外に身近、これも自律神経失調状態です!

A子さん 36歳女性
PTAの会合に出かけようとしたら、常に動機がしたり、手足から発汗、胸の圧迫を感じる。
=自律神経失調状態

B男さん 28歳男性
毎朝出勤しようとすると、いつも急に便意がし、トイレに駆け込み、遅刻を繰り返してしまう。
=消化器官の自律神経失調状態。

ドクターズメモ

そもそも自律神経とは

自律神経とは、心臓や呼吸、血圧、消化器系等、自分の意思とは関係なく自動的に身体の機能を一定にコントロールする神経です。

自律神経の働き

自律神経の働きとは、内臓のはたらきを高めたり抑えたりして、自分が意識していなくても、人間が生きていく上で一番望ましい身体の状態を保つものです。火事などのトラブルが起こったときに脈拍が速くなったりするのは、緊急の事態に対し、血液の巡りを良くして急に体を動かせるように自律神経が準備しているのです。また、寝るときにゆっくりと平穏にして落ち着いた体の状態にするのも、自律神経の仕事です。


自律神経失調症の治療法

1. 薬物による治療

体に現れる症状を取り除くために、薬物療法を行う場合があります。

薬が病気を治すわけではなく、薬は身体が自然に治るきっかけを作るサポートをするものです。


2. 心理療法

自律神経失調症の原因には、心の疲れ(ストレスや不安、人間関係のトラブル環境の変化)があります。このような心の問題に対して、治療を行うのが心理療法です。

心理療法とは、専門の医師のアドバイスのもとで、カウンセリングや自律訓練を行うことで心と体のバランスを図る治療です。


3. 理学療法

自律神経失調症には、マッサージや指圧などの理学療法により改善されるものもあります。体に現れている症状を理学療法で改善した後で、じっくりと心理的な治療をする方法もあります。

自律神経失調症にならないために

忙しくて体が疲れてしまった場合は、ゆっくり休む。イライラが続き、心が疲れてしまった場合は、音楽を聞く。自然の景色を楽しむ、温泉旅行に行くなど、自分で自分を律する、自分で自分の体と心を律する(セルフコントロール)ことが大切です。

また、身近なことでは、早寝早起きといった規則正しい生活環境の改善などにより、予防できることがあります。

医師の仕事は患者と同じ視線でアドバイスをし、患者自身で病気を克服するための筋道をサポートすることです。

自律神経失調症は、身体の疲れや心の疲れが原因となります。ドキドキしたり異常に汗をかいたり、口が渇く、不眠やめまい、冷えのぼせ、立ちくらみ、下痢が続く等、身体のサインを感じたら、精神科・心療内科で診察してもらいましょう。

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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