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ドクター's コラム

    瀬尾 達

    トップページへ戻る執筆:瀬尾 達 医療法人瀬尾記念会 瀬尾クリニック 理事長院長
    日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
    大正時代からの耳鼻科の家系で、祖父、父、兄弟、叔父、従兄弟すべて耳鼻科医。
    昭和37年生。大阪星光学院高校、兵庫医科大学卒業後、兵庫医科大学医員、助手、医長、講師を経て、瀬尾クリニック開業。現在も、診療のほかに、大学講師、看護学校講師を兼任。
    医療法人瀬尾記念会 瀬尾クリニック 公式サイト:http://www.seo-clinic.com/

    花粉症とは

    今や、国民病となった花粉症は日本人口の16%を超えると言われ、その数はますます増加傾向にあります。花粉症とは、I型アレルギーに分類される疾患のひとつで、植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされるアレルギー反応です。
    くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなどの症状が現れますが、これらが原因となって起こる副作用、二次的影響も花粉症の方にとっては大きな苦痛です。鼻づまりで口呼吸を続けた結果、喉を痛めてしまったり、薬の副作用で仕事に集中できなくなったりするなど精神的にも大きなダメージを与えます。

    花粉症の原因

    花粉症の原因となる植物は現在60種以上が報告されています。なかでも、春のスギ、ヒノキ、初夏のヒノキ、秋のブタクサは4大花粉症と呼ばれています。スギ花粉症患者の7割程度はヒノキ花粉にも反応することが知られており、最近ではスギ・ヒノキ花粉症と呼ばれる場合もあります。これらは花粉に含まれているアレルゲンがよく似ているため、交差反応を起こしているからと考えられています。
    また、スギの少ない北海道ではスギ花粉症は少なく、イネ科やシラカバ(シラカンバ)による花粉症が多い、などの地域差があります。関西では、六甲山麓の開発で大量に植樹されたオオバヤシャブシによる花粉症が地域の社会問題になったこともありました。

    花粉症のメカニズム

    顕微鏡で確認されたスギ花粉。 直径は、約 0.03mm。花粉症の患者さんは、症状が現れる以前にそのアレルギー抗原(アレルゲン)になる花粉に接触しています。そして、鼻などの粘膜に花粉が付着すると、花粉内から特異的に反応する抗体(IgE抗体)を作り出し、粘膜にある肥満細胞や好塩基球と結合します。その後、抗体が蓄積され、さらにそこに過剰の花粉が侵入することで、肥満細胞から、さまざまな化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が遊離して症状を引き起こすことになります。遊離したケミカルメディエーターのうちもっとも重要なのは、ヒスタミンとロイコトリエンです。ヒスタミンという物質は、知覚神経をつかさどる三叉神経を刺激します。この三叉神経は鼻の近隣を通るために、鼻水やくしゃみといった症状を引き起こします。
    また、ロイコトリエンという物質は、血管を拡張したり、水分がにじみ出る「浮腫(ふしゅ)」を促す働きがあるために、鼻の中の粘膜が腫れ、鼻づまり(鼻づまり)といった症状を引き起こします。

    1.花粉(抗原=アレルゲン)に接触すると、花粉に対抗しようと、抗体(lgE抗体)が増え、鼻や目の粘膜にある肥満細胞や好塩基球と結合する。2.抗体と結合した肥満細胞や好塩基球が蓄積され、さらにそこに花粉が入ってくると肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの科学物質が放出される。

    花粉症のアレルギー性鼻炎とは

    春先には、鼻がグズグズして調子の悪い方を多く見かけますが、その方々がすべて花粉症というわけではありません。一般に風邪といわれる急性鼻炎とは別に、慢性の鼻炎は、大きくふたつに分けられます。ひとつは、かつては蓄膿症といわれていた慢性副鼻腔炎、もうひとつがアレルギー性鼻炎です。このふたつは症状も異なり、慢性副鼻腔炎の3大症状は、『粘濃性鼻水』『鼻づまり』『咳』で、アレルギー性鼻炎の3大症状は、『水様性鼻水』『鼻づまり』『くしゃみ』です。花粉症は、このアレルギー性鼻炎のなかの一種です。
    くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が出るアレルギー性鼻炎は、主に「通年性アレルギー性鼻炎」と「季節性アレルギー性鼻炎」のふたつのタイプがあります。年間を通して起こる通年性アレルギー性鼻炎は、アレルギーの抗原(アレルゲン)となる物質が主にダニ、ハウスダストなどで、年間を通して症状があり、お子さんに多いとされています。
    ある一定の季節に限って起こる季節性アレルギー性鼻炎のほとんどは、スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなどの花粉が原因で、この花粉が抗原となる季節性のアレルギー性鼻炎が花粉症です。これまで若い人に多いのが特徴とされてきましたが、最近は低年齢化が進んできています。

    ドクターズメモ

    鼻内副鼻腔炎や急性鼻炎では鼻の中の粘膜が赤く腫れ、花粉症などのアレルギー性鼻炎では鼻の粘膜が白く腫れるのが特徴的な症状です。

    花粉症を悪化させる黄砂

    黄砂とは、東アジアや中央アジア内陸部の砂漠または乾燥地域の砂塵が、強風を伴う砂嵐などによって上空に巻き上げられ、主に春を中心に東アジアなどの広範囲に飛来し、(日本ではおおよそ3月から5月)地上に降り注ぐ気象現象のこと。あるいはこの気象現象により降り注ぐ砂自体のことです。以前より、黄砂が肺に入ると花粉症や気管支ぜんそくなどのアレルギー症状が悪化するという動物実験結果がありましたが、最近では、国立環境研究所などが、黄砂とアレルギーの関連を実験で確認しました。特に、日本に飛来する黄砂の粒子は非常に細かく、肺に入りやすいため、適切なマスクで防ぐことが必要です。

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