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関西の専門医が語る ドクター's コラム

巻き爪の症状

巻き爪の治療法には、「手術療法」と「保存療法」の2種類があります。

≪手術療法≫

手術療法は、「巻き爪の変形の原因は爪母(そうぼ=爪の根元の近く)にあり、変形した爪が生えてくる爪母をなくしてしまえば、変形した爪は生えてこない」という考え方に基づいて行われる治療の方法です。
日本では、内側に捲くれ込んだ爪と爪床と爪母の部分をメスで切り取る「鬼塚法」や、巻き込んだ爪のみを切除し、爪床と爪母に約90%のフェノールを染み込ませた綿棒で爪母を焼き殺してしまうフェノール法が行われることが多いようです。

鬼塚法は術後の痛みが強いのが欠点で、フェノール法は鬼塚法に比較して痛みが軽くなります。いずれの方法も、巻き爪のクセを治す「矯正療法」と比較すれば、短期間で治療が終わるというメリットがあります。しかし、爪の幅の狭小化、術後の痛みや、しばらく入浴を控える必要があるなど、日常生活に一定の制限が加えられます。また、時には再発したり、爪変形が見られたりする可能性があります。

鬼塚法
フェノール法

≪保存療法≫

保存療法には昔ながらの「コットンパッキング」と、手術に変わる方法として注目されている「矯正療法」があります。

コットンパッキング
コットンパッキング

軽度の巻き爪であれば、コットンパッキングを行います。巻き爪を起こした爪の両側の端と、その下の皮膚の間に、コットン(綿)を小さく丸めて挿入します。その際、先の細いピンセットを使用すると大変便利です。これだけでも、ある程度の痛みは緩和されますが、効果があるのは軽度の巻き爪の場合に限られます。


超弾性ワイヤーとプレート矯正
マルチワイヤー

この矯正方法は、プラスティック性のプレートや金属製のバネを使用するものや、形状記憶合金のワイヤー、プレートを使用するものまで、さまざまな種類があります。日本では形状記憶合金のワイヤーを使用することが多いようです。このワイヤーの装着は、爪の先の両端の白い部分に穴を開けた後、形状記憶合金のワイヤー(超弾性ワイヤー)を通すだけという簡単なもので、ワイヤーの装着自体は数分で完了します。
ワイヤーを装着した時点からほぼ無痛で、装着した当日から入浴も可能となります。その他の日常生活での制限もほとんどありません。ただし、少しずつ矯正していく治療法ですので、4~6週ごとにワイヤーの入れ替えが必要になります。また、爪の変形の度合いによっては、完治するまでに3~8カ月程度の時間が必要になることがあります。
この矯正方法なら、ほとんどの巻き爪に対応可能ですが、深爪をした直後はワイヤーを挿入するスペースがなくなってしまうため、一旦コットンパックで時間稼ぎをするか、形状記憶プレートを使用します。プレートの装着は、爪に医療用接着剤を塗布し、爪に直接貼り付けるという方法をとります。あとは、熱を持つことで真っすぐになるプレートの性質を利用して、ドライヤーで1日に3~4回暖めるだけという簡単なものです。
しかし、矯正力はワイヤーの方が強いので、プレートを使った矯正は、基本的にワイヤーが使用できないときに限ります。プレートを使った矯正治療は非常に効果的で、ほとんどの巻き爪に対応可能です。万が一、巻き爪になってしまった場合、まずはこの矯正治療を受けることをお勧めします。ただし、症例によっては手術を必要とする場合がありますので、専門医にご相談ください。

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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