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関西の専門医が語るドクター's コラム

緑内障の検査・治療法

緑内障の検査

1.視力検査

眼鏡やコンタクトレンズでしっかり矯正して、どの程度視力が出ているかを調べます。緑内障だけで早期に視力が落ちることはありません。大部分の人は正常です。

2.眼圧検査

眼圧が高ければ緑内障を疑うことができるのですが、残念ながら、正常眼圧緑内障の人が最も多いので、「眼圧が正常だから大丈夫」ということはありません。

3.スリットランプ検査

前房の状態を観察します。隅角の狭そうな人の場合、ある程度ここで見つかります。しかしながら、前房が少し浅いというだけでは緑内障とは言えません。また前房の深さが十分ある開放のタイプの緑内障の人が多いので、前房を見ただけでは緑内障でないと区別することはできません。

4.眼底検査、視野検査、写真撮影、隅角検査

眼底を見た時、視神経乳頭は必ず観察するのですが、このときの視神経乳頭の微妙な緑内障性変化、視神経の陥凹(かんおう)や変形、ふちの変化(リムの状態)を見つけることが大切です。少しでも異常と感じたら視野検査をします。最後に、黒目を大きくする「散瞳(さんどう)」の状態にして眼底を検査し、さらに写真撮影をしますが、前房の狭い人の場合、その前に隅角検査をします。また、散瞳前後の眼圧のチェックをしたりもします。写真撮影をすると、視神経乳頭の陥凹性変化や、網膜の状態(網膜線維層欠損など)、緑内障性乳頭出血などもよく分かります。視神経乳頭の小さい人(小乳頭)の場合、視神経の陥凹が目立たなくても、緑内障である人が数多くいますので注意が必要です。

ドクターズメモ

視野検査とは

基本的に人間の視野は鼻側80-90゜、耳側100-110゜程度見えていますが、全体像として見ているうえ、両眼が重なっている部分が多いので、片眼の視野の一部が欠損しても気づかないことが普通です。このことが緑内障の発見を遅くしてしまう理由です。視野検査では動的視野検査(検査員がする)と静的視野検査(器械で自動的に測る)の2種類がありますが、最近では自動視野計が発達したことや、そのプログラム精度が上がったこと、また、緑内障の視野変化の特性を捉えやすいことから「静的視野検査」をすることが一般的です。
緑内障の視野変化は、視線の中心近くや、その少し外側部分の暗点、または眼の鼻側の視野がかけていくなどの特徴があります。


緑内障の治療

まずは本当に緑内障であるかを、慎重に検査し、他に脳の病気や耳鼻科的な病気がないかを見極めます。また、隅角の状態なども調べて、治療を開始すると決まったら、最初は眼圧を下げる点眼薬を1種類から始めるのが一般的です。その場合、点眼薬の効果をよく見極めてから、治療法を変更したり、追加したりします。緑内障が進行するスピードが速いようでしたら、レーザー治療や手術で眼圧を下げることもあります。また、まれに内服薬を使用する例もあります。いずれにせよ、緑内障の治療は長期にわたるので、ゆっくり、じっくり、手を抜かずに継続することが大切です。

≪点眼治療≫

点眼薬には多数の種類がありますが、方法としては房水の産生を抑えるタイプと、房水の流出を促進するタイプがあります。
点眼治療で最も大切なことは、医師に処方された点眼薬を、決められた回数、抜けがないように毎日続けることです。

≪内服薬、注射、レーザー治療≫

一時的に眼圧をどうしても下げなければならない場合、内服薬や点滴を使用したり、注射薬を使用することもあります。また、眼圧コントロールが悪く、雪だるま式に点眼薬の追加を要するような症例では、手術の前に、レーザー治療を選択することもあります。レーザー治療では、閉塞隅角緑内障や、緑内障発作の際に行う「レーザー虹彩切開術(虹彩に穴を開けて、前房と後房の流通をよくして、瞳孔ブロックを解除する)」と、開放隅角緑内障に対して行う「レーザー線維柱帯形成術(線維柱帯の組織の目詰まりを解消する)」の2種類が多くなります。ただし、レーザー治療は手術に取って代わるものではありません。あくまでも点眼の補助という位置づけになります。もう一つ、閉塞隅角のタイプの場合、ある程度白内障が進んでいる場合や、水晶体が虹彩を前方へ押しているように考えられる場合、白内障の手術を行うと一度に両方が良くなることがありますので、白内障手術を第一選択にすべき場合もあります。

ドクターズメモ

緑内障の手術について

緑内障の手術の第一の目的は「眼圧を下げること」であり、手術したからといって、視力が著しく回復したり、視野が改善、回復したりするわけではありません。また、進行を抑えるためには、どうしても手術を選択しなければならない場合もあることを覚えておいてください。緑内障の手術には、房水の新しい流れ道を作る手術と、もともとの房水流出路の抵抗を解除する手術などがありますが、どの方法を選ぶかは、それぞれの眼の状態によって異なります。

ドクター's コラム「緑内障」

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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