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ドクター's コラム

    田中完児

    トップページへ戻る田中完児 リボン・ロゼ田中完児乳腺クリニック 院長
    日本乳癌学会評議員、日本乳癌学会近畿地方会世話人、近畿外科学会評議員、阪神乳腺疾患談話会世話人、関西Breast Care Nurse研究会代表世話人、With you(あなたとブレストケアーを考える会)世話人、NPO法人 J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)理事長
    年間200例近くの乳がん手術を行う乳腺専門医。医師として忙しい勤務のかたわら、乳がんの早期発見の大切さを広めるNPO法人「J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)」を設立、理事長として活動。また、乳がん患者のこころのケアや患者家族の心のケアにも積極的に取り組んでいる。
    リボン・ロゼ田中完児乳腺クリニック 公式サイト:http://ribbon-rose.jp/

    乳がんとは

    乳房は主に乳腺組織と脂肪組織で形成され、乳腺は乳頭を中心に放射状に15〜20個並んでいます。その乳腺にできる悪性の腫瘍が乳がん。日本人の15〜16人に1人がかかる※といわれ、患者数は30代から増加し、40代〜50代で乳がん罹患のピークに。女性なら誰もがかかる可能性が高いがんが、乳がんなのです。
    ※2011年5月現在

    乳がんになる危険因子としては

    ・食生活の欧米化 ・40歳以上 ・初産年齢:30歳以上 ・子どもの少ない人
    ・肥満(標準体重+20%以上) ・独身の女性 ・閉経年齢:55歳以上 ・親戚に乳がんになった人がいる

    ということが挙げられますが、上記に該当しないからといって「私は大丈夫」と思うのは間違いです。たとえば“現在、乳がん患者の75〜80%は家族に乳がんになった人がいない”というデータもあり、どんな人でもけっして安心はできない病気だといえます。

    乳房の断面図

    乳がんは「浸潤がん(しんじゅんがん)」と「非浸潤がん(ひしんじゅんがん)」に分けられます。
    乳房に張り巡らされている乳腺は、乳汁を作る小葉と、それを乳頭まで運ぶ乳管で成り立っていますが、小葉と乳管のなかでとどまっているがんが「非浸潤がん」。非常に早期のがんに分類され、他の臓器に悪さをしていないため、その部分のみを切除すれば95%以上の治癒が見込めます。この段階では、乳房を触ってもしこりを感じることはなく、自覚症状もありません。

    一方「浸潤がん」は、小葉や乳管からはみ出して周囲の組織に広がっている状態のがん。がん細胞がリンパや血液の流れにのって、体のさまざまな場所に転移している可能性があります。しこりを形成し、進行が進むと乳房にへこみやただれ、分泌物がでる、などの変化がみられます。つまり自分で触ってしこりを自覚したときには、もうかなり進行している場合が少なくありません。
    ≫乳がんの病期(ステージ)

    早期発見が重要な理由

    非浸潤がんの段階で発見・手術できれば、命の危険を心配することはほとんどなく、浸潤がんであっても2cm以下で転移がなければ、命を守れる可能性は約9割になります。しかし浸潤がんの場合、段階によっては長期にわたる治療、最悪の場合は命を落とす危険性もあります。「手術でしこりを除去すれば大丈夫なのでは?」と思うかもしれませんが、浸潤がんの場合、乳房以外の場所にもがんが転移している可能性があり、手術ではそのがん細胞すべてを取ることはできません。したがって術後には抗がん剤(化学療法剤)、ホルモン療法薬、その他の薬剤を使って、全身に対する治療を行う必要があるのです。
    この抗がん剤治療(化学療法剤)は、さまざまなダメージを伴います。吐き気や爪の色が変化するといった肉体的なダメージもあるほか、髪の毛が抜けることは女性にとって精神的な苦痛となるでしょう。
    また、乳がんは女性ホルモンの影響を受けるため、ホルモンを抑える“ホルモン療法”を受ける場合があります。この副作用としては発汗やほてり、のぼせ、頭痛や気分の落ち込みなどの更年期の不調に似た症状があげられます。
    また再発の不安もあるでしょう。一般のがんでは5年間再発がなければ安心だといわれますが、乳がんは5年以上たってからの再発も多く、その目安は10年。まだまだ人生を謳歌すべき年代に、長期間にわたって病の不安と向き合わなければならないのです。

    乳がん早期発見のメリット

    【1】乳房も命も守られる可能性が高まる 【2】治療にかかるお金や時間、肉体的な負担も減らせる 【3】再発の不安といった心の負担も少なくてすむ

    精密検査が必要と言われたら

    乳がん検診(一次検診)では「異常なし」「経過観察」「要精密検査」のいずれかの結果がでます。「経過観察」であれば原則約半年ごとに検査し、「要精密検査」のときはできるだけ早めに乳腺専門医を受診しましょう。
    「要精密検査」と診断されたからといって、必要以上に不安になることはありません。一次検診では少しでも疑われる所見があれば要精密検査の対象になります。マンモグラフィ検査では約10%の方が要精密検査となりますが、実際に乳がんと診断されるのはそのうちの約2.5%です。まずは乳がんの診断に精通した医師がいる医療機関で、早めに精密検査を受けましょう。
    精密検査を受ける施設を選ぶ際には、その施設に、日本乳癌学会が認める専門医や認定医がいることが目安となります。設備としてはマンモグラフィと超音波での検査ができ、かつ実際に針で細胞や組織の一部を取り出し顕微鏡で確認する細胞診や組織診ができれば安心です。

    ≫乳がんと診断されたら

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