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関西の専門医が語る ドクター's コラム

更年期症状と更年期障害

岡本 薫 かおるレディースクリニック 院長

執筆:

医学博士、日本産婦人科学会認定・産婦人科専門医、母体保護法指定、日本医師会認定産業医
関西医科大学付属 滝井病院、洛西ニュータウン病院、医療法人西川医院 副院長を経て、平成21年5月にかおるレディースクリニックを開業。

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岡本 薫 かおるレディースクリニック 院長

更年期とは

更年期とは閉経をはさんだ前後約10年間のことをさします。
日本人女性の場合、40代に入ると約5%の女性に生理不順がみられるようになり、45歳くらいから閉経する人が出始めます。日本人の平均閉経年齢は50歳ですから、45歳~55歳あたりが更年期にあたるといえるでしょう。
閉経が近づくと卵巣のはたらきが低下し、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの量が急激に減少します。それにともなって身体に出てくるさまざまな症状を総称して、更年期症状とよびます。

更年期のカギを握るエストロゲン

ここで更年期を語る上では欠かすことのできない、エストロゲンについて説明しましょう。
エストロゲンは、卵巣で作られ、子宮の発育や子宮内膜の増殖などにかかわりがある女性ホルモンです。
年齢によってそのレベルは変動し、思春期にはエストロゲンのレベルが上昇し、女性としての機能が発育・発達して月経が始まります。性成熟期には規則的な周期で月経があり、エストロゲンの変動は安定したパターンで繰り返されますが、更年期に入るとエストロゲンのレベルは次第に減少、月経が停止する閉経の前後には急激に低下していきます。

更年期のカギを握るエストロゲン

では更年期症状とエストロゲンにはどんな関係があるのでしょうか?
卵巣が十分にはたらいている状態では、卵巣から脳へエストロゲンの信号が送られ、その信号を受けた脳は、卵の発育を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)や排卵を促す黄体刺激ホルモン(LH)の信号を卵巣へ送るという、卵巣と脳の間でホルモンのキャッチボールがおこなわれています。
しかし卵巣の機能が低下してくると、エストロゲンの量が減少するため、その信号を受け取った脳はより大量のFSHやLHをだそうとするようになり、ホルモンのキャッチボールはうまくいかなくなります。
このホルモンバランスの崩れが、更年期症状の原因と考えられているのです。

ドクターズメモ

男性ホルモンと女性ホルモンのはたらきの違い

男性ホルモンは身体の第二次性徴を進めるはたらきが中心で、一生の間の分泌量はあまり変化がなく、高齢期に徐々に減少します。
一方、女性ホルモンは月経・妊娠のコントロール以外に、骨量の維持、自律神経の安定、記憶力の維持など重要なはたらきをし、閉経前後は急激に減っていきます。

ドクター's コラム「更年期症状と更年期障害」

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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