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ドクター's コラム

    江口隆彦

    トップページへ戻る江口隆彦 医療法人ラザロ会 江口クリニック 院長
    1984年(昭和59年)奈良県立大学医科大学卒業。奈良県立医科大学病院第二外科、大阪警察病院脳神経外科・麻酔科、町立大淀病院外科、国立泉北病院脳神経外科、静岡神経医療センター(日本てんかんセンター)、国立大阪南医療センター脳神経外科を経て、1999年(平成11年)、江口クリニックを開業。
    医療法人ラザロ会 江口クリニック 公式サイト:http://eguchi-clinic.jp/

    日本における認知症

    グラフ:認知症の割合日本での信頼のできる複数の調査によれば、65歳以上の認知症の有病率は10%以上と報告され、10人に1人以上は認知症だといわれています。現在、国内に約250万人程度と推計されている認知症患者数は、今後の20年間でさらに増加し400万人以上になると予想され、社会的関心を集めるとともに、最もなりたくない病気の一つになっています。しかし、現時点で確固たる科学的根拠に基づいた有効な治療法はありません。
    認知症にはいくつかの種類があり、約半数50%がアルツハイマー病という型、残りの半数(全体の25%)が血管性認知症という型、そして、残りがレヴィ小体病やピック病などその他の認知症です。ここでは主に全体の3/4を占めるアルツハイマー病と血管性認知症についてご紹介します。

    認知症の代表的な種類

    図:正常な脳とアルツハイマー病の脳 《アルツハイマー型》

    記憶障害や問題解決能力の低下などを引き起こす認知障害。脳内で起きる特殊なたんぱく質異常が原因で神経細胞が壊れて次第に脳が萎縮していき、知能・身体全体の機能も衰えていきます。徐々に進行していくのが特徴で、重度になると摂食や意思疎通もできず最終的には寝たきり、そして二次性の呼吸器合併症などによって死に至る場合もあります。

    《血管性認知症》

    脳梗塞や、くも膜下出血などの脳血管障害によって起こる認知症。日常生活に支障を来たすような記憶障害や認知機能障害を引き起こします。アルツハイマー型とは異なり、突然症状が出たり、階段状に悪化・変動していきます。また、ダメージを受けた脳の部位によって、めまいや痺れ、言語障害などの症状にムラがあるのも特徴です。

    《レヴィ小体病》

    アルツハイマー型、血管性認知症と並び、三大認知症と呼ばれています。レヴィ小体病特有の症状として、記憶障害のほかに実際には存在していないものが生々しく見える「幻視」や「錯視」、そしてパーキンソン病に似た運動障害が現れます。また、日によって症状に変動があり、穏やかな状態から無気力、興奮・錯乱状態を起こすこともしばしばあります。

    《FTD(ピック病)》

    40〜60歳代が発症する初老期認知症のことで、原因不明の大脳萎縮性疾患です。初期の症状として、人格が急変する「人格障害」、「情緒障害」などが挙げられます。進行していくと、自制力低下や感情鈍麻、異常行動(浪費、過食、窃盗など)の症状が目立ってきます。また、対人的態度の特異さや、常に同じ行動を繰り返す「常同行動」も見られます。

    認知症の動向

    アルツハイマー病の増加

    認知症のなかでも急増しているのはアルツハイマー病です。
    日本のある町の65歳以上の住民調査によると、血管性認知症の粗有病率は、1985年に2.4%であったものが2005年には3.3%に増加している一方で、アルツハイマー病は、同じ期間に1.4%から6.1%に急増しています。

    アルツハイマー病の増加は、超高齢者の割合の増加だけではない

    アルツハイマー病の増加は「現在では超高齢者の割合が増加しているから当然である」という指摘があります。そこで、この調査に併記された年齢・性別構成などの差を補正したデータを見てみると、脳血管性が2.3%から2.5%の微増であるのに対し、アルツハイマー病では、1.1%から3.8%と、やはりその増加率は脳血管性を大きく上回っています。つまり、単に超高齢者の割合が増加しているためではないということがいえるのです。

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