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関西の専門医が語る ドクター's コラム

十二指腸潰瘍とピロリ菌 診断と治療法

十二指腸潰瘍の診断

十二指腸潰瘍の症状がみられた場合、内視鏡検査(胃カメラ)、バリウム造影検査などを行い、ピロリ菌の存在が疑われる場合は、ピロリ菌検査が行なわれます。ピロリ菌検査は、内視鏡によって組織を一部採取する方法と内視鏡を使わない方法があります。
かつての内視鏡検査(胃カメラ)は口から内視鏡を入れるため、検査時につらい思いをする方も多かったのですが、現在は鼻から入れることができるため、かなり楽に検査を受けることができます。

内視鏡を使うピロリ菌検査
  1. 迅速ウレアーゼ試験
    ピロリ菌の持つ酵素ウレアーゼによって作られるアンモニアの量を調べて、ピロリ菌の有無を判定する方法。すぐに判定することができるため、この方法がもっとも一般的です。
  2. 鏡検法
    採取した組織を染色し、顕微鏡で観察して調べる方法。詳細に調べることができますが、判定までには数日~数週間かかります。
  3. 培養法
    採取した組織を培養して調べる方法。結果がでるまで1週間ほどかかるため、使用されることは少ないです。


内視鏡を使わないピロリ菌検査
  1. 抗体測定
    血液や尿を使って調べる方法。内視鏡が苦手な人にはおすすめの検査法ですが、ピロリ菌を除菌してもすぐには陰性と判定されないことが多いため、除菌後の効果判定には適していません。
  2. 尿素呼気試験
    検査用の薬をのみ、一定時間後に吐き出した息で調べる方法です。精度がよく施設によっては検査当日に結果が判明するため、除菌1~2カ月後の効果判定に多く使われています。
  3. 便中抗原測定
    便によって測定する方法です。除菌後の効果判定にも使うことができます。


十二指腸潰瘍の治療法

ひと昔前は十二指腸潰瘍によって手術が行われることもありましたが、現在では薬剤による治療が可能で、手術を行うことはまれです。ピロリ菌がいる場合といない場合では治療法が異なり、ピロリ菌が確認できた場合は、まず除菌療法が行われます。除菌療法によってピロリ菌がいなくなれば、十二指腸潰瘍はほぼ改善し、がんのリスクも減らせます。
また、原因が薬剤によるものの場合は、その薬剤の服用をやめる、または胃酸の分泌をおさえる薬剤を服用します。

ピロリ菌がいる場合
診断・治療の流れ(図)

ピロリ菌がいる場合は、除菌療法を行います。これは2種類の「抗菌薬」と「胃酸の分泌を抑える薬」合計3剤を7日間にわたって服用(一次除菌)するもので、除菌の成功率は60~80%といわれています。その後、ピロリ菌検査を行い、除菌ができていない場合は再度7日間にわたって薬を服用(二次除菌)します。二次除菌の成功率は95%と言われており、ここまでは健康保険適用の治療となります。

除菌療法の副作用としては、下痢、軟便、腹痛、水様性下痢、じんましん、発疹などがあります。
除菌治療を受けると、除菌に失敗しても十二指腸潰瘍の痛みがなくなるため、薬の服用を止めたり、ピロリ菌が除菌できたかどうかの検査を受けなかったりする場合がありますが、不確実な除菌には再発のリスクがあります。医師の指示通りに薬を服用し、通院を続けるようにしましょう。
また除菌後、逆流性食道炎の症状が出現する、またはひどくなる可能性があるとの報告がありますが、因果関係ははっきりしていません。


ドクター's コラム「十二指腸潰瘍とピロリ菌」

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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