一昔前までは「サラリーマンの娯楽」といったイメージが定着していたゴルフですが、現在では老若男女を問わず多くの人々の注目を集め、ブームになるほどの人気を博しています。その一方、ここ数年で、ゴルフは本格的な「スポーツ競技」へと進化し、プロゴルファーの“アスリート化”が加速。トップクラスのゴルファーたちは練習メニューの一つに、筋力トレーニングを積極的に取り入れ、パワーアップやコンディションの調整に役立てる時代になっています。そんな背景もあってか、趣味でゴルフを楽しむアマチュアゴルファーの間にも、筋力トレーニングが徐々に浸透しているようです。
筋肉をつけても、ボールは飛んでいかない
ゴルフをきっかけに、筋力トレーニングに励む方々が増えているのはトレーナーとしては嬉しいことなのですが、諸手を挙げて喜んでばかりもいられません。なぜならば「筋力をアップすれば、もっと遠くにボールを飛ばせるようになる!」といった単純な考え方が先行してしまっているためか、とにかく重たいウエイトを必死に上げ下げするといった、偏ったトレーニングを行っているケースが多く見受けられるからです。もちろん、飛距離を伸ばすための一つの手段として、筋力トレーニングを始めることを「間違い」と言い切ることはできません。しかし、筋力トレーニングを始める前に、知っておいていただきたいことがあるのです。
それではここで、少し考えてみてください。男性のアマチュアゴルファーと、女性のプロゴルファーが同じ条件でゴルフボールを打ったとき、どちらがより遠くにボールを飛ばすことができるでしょうか?ほとんどの場合、女性のプロゴルファーのほうが、より遠くにボールを飛ばすことができるはずです。ところが、両者の筋肉量を比較してみると、一般的には男性のアマチュアゴルファーのほうが遙かに多くの筋肉がついているのです。このことから、ボールを遠くに飛ばすために必要なのは、筋肉だけではないことがお分かりいただけるかと思います。
それでは何故、筋肉量の多い男性のアマチュアゴルファーに比べて、筋肉量の少ない女性のプロゴルファーのほうがボールを遠くに飛ばせるのでしょうか?その理由はズバリ、「身体の使い方が上手い」からです。
男女を問わず、プロゴルファーが見せる「キレイなスイング」は、身体に必要以上の力は加わっていません。テレビなどでプロゴルファーのスイングを見たとき、「力任せ」にボールを打っているようには見えませんね。アドレスで構えた位置から、スムーズにクラブがトップの位置へ、そこからダウンスイングに切り替わり、インパクトを迎え、フィニッシュまで一気にクラブが走っていく。この一連の流れの中で発生する「余計な動作」や「余計な力み」こそが、飛距離を抑えてしまう大きな原因になっているのです。ですから、アマチュアの方でも「キレイなスイング」をするために必要な身体の動きと、それを邪魔する身体の動きの両方を理解し、身体を正しいスイングの動作に導くことができれば飛距離は伸びていきます。飛距離が伸びれば、スコアアップに繋がるのも間違いありません。
まずは「身体の動き」「筋肉の使い方」を覚えよう
では、プロゴルファーのような「キレイなスイング」を身に付けるにはどうすれば良いのでしょうか?
最初に意識すべき重要なポイントは、「肩甲骨の動き」「股関節の動き」「身体の力み感」の3つです。とくに、肩甲骨と股関節の連動性を高めることは、ゴルフのスイングにおいて最も大切なポイントになります。ここで忘れないでいただきたいのは、人間が何らかの動作をする場合「一つひとつの筋肉が、別々に動いている」のではなく、「あらゆる筋肉が、協力・連動しあって動いている」ということです。とくに、ゴルフのように身体を「ひねる」動作がある場合には、各筋肉の連動性がより複雑で重要なものになってきます。
ゴルフでよく使われる言葉に「腰をひねる」というものがありますね。実は、この言葉そのものが大きな間違いなのです。そもそも、腰には「ひねる」という動作ができません。「腰をひねる」というのは、左右の肩甲骨の動きに連動して股関節が動くことにより「腰がひねられているようなカタチ」ができあがっているだけに過ぎません。これこそが、先ほど申し上げた「あらゆる筋肉が、協力・連動し合って動いている」結果なのです。身体の一箇所の動きやカタチだけに気を取られることなく、一つひとつの動作に必要な筋肉の動き、連動性を意識するようにしてみましょう。しかし、私たちの身体や筋肉は常にイメージ通りに、都合良く動いてくれる訳ではありません。余計な力を加えず、イメージ通りに身体を動かすためには「練習」が必要です。
まずは、ゴルフにおける正しい身体の動き、筋肉の使い方を知ること。そして、思ったように動かすことのできない自分の身体や筋肉を、思い通りに動かせるように練習する。こちらのほうが、無闇な筋力トレーニングに汗を流すことよりも大切です。それほど深く考える必要はありません。毎日コツコツと柔軟体操をしたり、身体や動作のちょっとしたチェックや修正をしたりすることから始めてみましょう。日頃の小さな積み重ねが実を結び、飛距離がグンとアップする日が来るはずです。そうなると、ますますゴルフが楽しくなって、今よりもっと気持ち良くコースを回れるようになるでしょう。筋力トレーニングはそれから始めても決して遅くはありません。

関西電力グループが運営するメディカルフィットネスクラブ「Kフィット中之島 ウェスト」は、文字通り「医療とフィットネスの融合」をめざしたフィットネスクラブ。たとえば気になる「メタボ」にも、米国アスレティックトレーナー協会公認のトレーナー(ATC)と、関西電力病院、エル・スエヒロが連携し、科学的な根拠に基づきながら改善をはかります。とくにATCパーソナルトレーニングは 「姿勢改善や障害予防に最適」とご好評をいただいています。
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