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がんは身近な病気です 受けよう!がん健診

あなたと家族のために

中之島クリニック:田邉卓爾医師

ライフスタイルや食生活の変化に伴って、健康への関心が年々高まっている一方、糖尿病、心疾患、脳卒中などの生活習慣病、そして「がん」という恐ろしい病気にかかる人も増えています。健康な毎日を安心して送るためには、定期的に健康診断を受け、自分自身の体について知っておくことが何よりも大切。数ある検査のなかでも、とくに「がん健診」の積極的な受診をおすすめします。今回は、日本におけるがんの現状と、がんの早期発見に高い効果が期待できる「PET検査」について、中之島クリニックの田邉 卓爾先生にお話を伺いました。

がん患者の状況

日本人の死因で最も多いのは、がん。がんが日本人の死因の1位になったのは、1981年のことでした。厚生労働省の人口動態統計(2006年)によると、がんで亡くなった日本人は約33万人で、そのうちの約20万人が男性、約13万人が女性となっています。部位別で見ると(右表参照)、最も多いのは肺、続いて、胃、肝臓、結腸、すい臓という順になっています(結腸と直腸を合わせた大腸として見ると3位)。

また、これまで、がんは高齢者の病気という見方がされてきましたが、実際には30代~40代にも多く見られるようになっています。つまり、がんという病気は、“身近な病気”のひとつと捉えるほうが正しいのです。

【部位別:がん死亡数の順位】

  男性 女性 男女計
1位
2位
3位 肝臓 結腸 肝臓
4位 結腸 乳房 結腸
5位 すい臓 肝臓 すい臓

結腸と直腸を合わせた大腸の場合
男性:4位、女性:1位、男女計:3位
(厚生労働省:2006年人口動態統計)

がんの原因は?なりやすいのはどんな人?

がんは、遺伝子の突然変異によって発生する病気であることから、遺伝も大いに影響しているものと考えられています。親族でがんになった方がいる場合は、人間ドックの受診をおすすめします。乳がんやすい臓がんなどの一部のがんは、遺伝が大きく影響しているとされ、実際に、母子ともに乳がんを発症したというケースも多くあります。
もちろん、がんの原因は遺伝だけではありません。がんの発症は、普段の生活習慣に起因する場合が非常に多く、よく挙げられるのが、タバコや過度の飲酒、肥満といったものですが、下の表にあるように、高身長やサプリメントなどの意外なもの・ことが、がんのリスクを上げる要因になっているという発表もあります。

食物関連要因とがんとの関連
要因 関連するがんの種類
関連性の強さ「確実」 関連性の強さ「可能性大」
肥満 食道がん、大腸がん、乳がん<閉経後>、子宮体部がん、腎臓がん、すい臓がん 胆嚢がん
内臓脂肪 大腸がん すい臓がん、乳がん<閉経後>、子宮体部がん
高身長 大腸がん、乳がん<閉経後> すい臓がん、乳がん<閉経前>、卵巣がん
アルコール 口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん 肝臓がん、大腸がん(女性)
アフラトキシン 肝臓がん  
飲料水中の砒素 肺がん
β-カロテンのサプリメント 肺がん
成人期の体重増加   乳がん<閉経後>
出生時過体重 乳がん<閉経前>
塩蔵食品・塩分 胃がん
中国式塩蔵魚 鼻咽頭がん
飲料水中の砒素 皮膚がん
マテ茶 食堂がん
食事からのカルシウム 前立腺がん

World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research. Food, Nutrition, Physical Activity,
and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. AICR, Washington DC (2007)
出典:国立がんセンターがん対策情報センター

早期発見・早期治療が一番

がんという病気は、進行しない限りは自覚症状が現れません。そこが、がんが恐ろしい病気と言われる理由のひとつです。がんの治療に最も効果的なのが、早期発見・早期治療。進行や転移の防止に役立つことはもちろん、治療に対する体への負担も少ないですし、高額な治療費も低減できます。がんへの対処は、早ければ早いほど良いのです。
そこで利用して欲しいのがPET検査です。会社や地域で胃がん検査や乳がん検査などが行われていますが、それらの検査では特定部位のがんを見つけることしかできません。会社などでのがん検査と併用して、PET検査で全身を徹底的に調べることが、早期発見・早期治療への近道です。
PET検査でがんの早期発見につながると聞けば、逆に受診するのが不安になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、がんは誰にでも発生するものなのです。早期に発見し、早期に治療できれば、これほど良いことはありません。

※がんの「早期」とは一般的な言葉で、医学的に厳密な定義はありません。強いていうならば、「腫瘍が小さい」「手術の必要がない」「転移していない」といったものになります。また、がんの種類によっても定義は異なります。

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