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特集:噛む効用 2009年6月4日

「噛む」ことってこんなに大切でした。

  • 噛まない、噛めない現代人
  • 噛む効用って?

    健康な体を維持し、健やかな毎日を過ごすために、バランスの取れた食事や適度な運動を生活の中に取り入れるようになった方も多いのではないでしょうか。過去の生活習慣を見つめ直し、問題がありそうな点を少しずつ改善していくことは、私たちの体にとって大切なことです。ところが、普段から無意識に行っている習慣はどうしても見落としがち。そのひとつが「噛む」という行為です。「噛む」という何気ない、当たり前の行為を見直すことで、よりいっそう健康な体を作っていきましょう。

    しっかり噛んで、身近な悩みを解消!

    「噛む」回数の変化
    弥生人:4000回
    現代人:600回

    現代の日本人が1度の食事で「噛む」回数は、約600回と言われています。“600回”と聞くと、さぞかし多いように感じられるかもしれませんが、昔に比べると激減しているのです。戦前は1度の食事で約1,400回、さらに昔の弥生時代にまで遡ると、なんと約4,000回も噛んでいたと言われています。食べ物そのものや、食文化の変化の影響があるとはいえ、これほどまでに噛む回数が減ってくると、私たちの体に何らかの問題が生じても不思議ではありません。実際に、噛む回数が減ることによって、現代人の体にさまざまな悪影響が出ていると言われています。その代表的なものが肥満と歯周病です。

    「早食いをすると太る」というのは、言い換えれば「しっかり噛まないと太る」ということ。では、なぜ噛む回数が少なければ肥満につながるのでしょうか。噛むという行為は、脳の中にある満腹中枢を刺激します。満腹中枢が刺激されることで、人間は食事での満足感が得られるようになります。しかし、噛む回数が少なければ、いくら食べても満腹中枢への刺激が足りず、満足感が得られません。したがって、必要以上に食べる量が増えてしまい、肥満につながるというわけです。「ついつい食べ過ぎてしまう…」という方は、さっそく今日から噛む回数を増やしてみましょう。

    噛む回数が減ることで起こる、もうひとつ悪影響は歯周病です。歯周病とは、大切な歯を支える歯茎と骨が、口の中の細菌の繁殖などによって炎症を起こしたり、腫れたりする病気です。驚くべきことに、日本人の成人の約80%が歯周病にかかっているというデータもあります。歯周病のリスクを少しでも減らすためには、よく噛むことが大切です。噛むことで、口の中で増えた唾液は消化を助けるだけでなく、口の中の細菌を洗い流す役割も果たしています。噛む回数が減った現代人に、歯周病が増えているという理由がこれでお分かりいただけると思います。歯と歯茎の健康を保つためにも、しっかり噛むように心がけましょう。

    噛もうと思っても、噛めない!

    噛むことの大切さを知り、しっかり噛もうと思っても、残念ながら「上手く噛めない」という方が増えているのも実情です。その原因の一つが、歯列不正(しれつふせい)です。歯列不正とは、「歯並びが悪い」状態のことを言います。歯の並びが均一でなかったり、前歯が噛み合わなかったり、上下どちらかの歯が出っ張っているなど、歯列不正にはさまざまな症状があります。その原因は諸説ありますが、しっかり、正しく噛むためにも、歯科医に相談すると良いでしょう。歯列不正で日常生活に影響が出るようであれば、歯列矯正などの治療も検討してみましょう。

    また、最近になって急増している顎関節症(がくかんせつしょう)も、噛むことの障害になります。顎関節症では、「アゴの骨が鳴る」「口を大きく開けられない」「アゴが痛む」といった症状が見られます。原因は、力仕事やスポーツをして歯を食いしばったり、ストレスが原因で寝ている間に歯ぎしりをしたり、うつ伏せ寝などの悪い姿勢でアゴに負担をかけたりと、実にさまざまです。また、左右どちらかの歯だけを使って噛んだりすることも原因になるので、そのようなクセのある方は、両方の歯をバランス良く使って、正しく噛むように心がけてください。症状が軽い場合は自然に治ることもありますが、放っておくと食事や会話はおろか、じっとしているだけでも苦痛になるほど悪化することもあるので、アゴに違和感のある方は医師の診察を受けてみましょう。

    噛むことによる「恵み」を逃していませんか?

    監修・指導:永井 美也子(ながい みやこ)医師
    監修・指導:永井 美也子(ながい みやこ)医師
    上本町ヒルズ歯科クリニック院長、(医)ヨリタ歯科クリニック副院長、ゆめはんな歯科クリニック副院長、日本フィンランドむし歯予防研究会会員
    1998年岡山大学歯学部卒業後、勤務医を経て、ヘルスプロモーション、子育て歯科、予防歯科を学び、2003年以降は「子育て歯科、予防歯科」を広めるため、地域の子育てサークル、幼稚園、総合病院の産婦人科、マタニティセミナーなどで精力的に講演活動を行っている。

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