Vol.11:日本人の知らないライダーカップの世界

  • 2018年9月28日から9月30日までの3日間に渡り、フランス・パリ郊外、サン=カンタン=アン=イヴリーヌ(Saint-Quentin-en-Yvelines)にある名門ゴルフ場、ル・ゴルフ・ナショナル(Le Golf National)にて、第42回ライダーカップが開催されました。

    ライダーカップは、ヨーロッパ出身の選手とアメリカ出身の選手による対抗戦として、2年に1度行われている団体戦の大会。ライダーカップには賞金はありません。互いに国の名誉と己のプライドをかけて戦います。
    来場者数も、毎回約30万人に上り、通常のトーナメントとは桁違いのスケールで、大変な盛り上がりをみせます。

    このヨーロッパvsアメリカの図式が、なぜこれほど盛り上がるのか?
    そこには、単なるゴルフトーナメントを超えた、民族意識が深く入り混じった戦いとなるため、我々日本人にとってはあまり馴染みのあるものではないと思います。
    ちなみに、1番ホールのギャラリースタンドだけで6,900人分もの席があるそうです。

    このライダーカップは、欧米の選手にとって特別な大会です。
    シーズンの初めに「今年の目標は?」と尋ねると、欧米のほぼ全ての選手が「ライダーカップのメンバーに選ばれること!」と答えるほど、この大会に出場できることは彼らにとって大きな名誉であり、とても重要なことなのです。

    自分の職業を通じて、国の代表になり、お国の役に立ちたいと思う想いは、現代の我々日本人には、あまりピンとこないかもしれませんが、欧米ではその意識が大きく異なります。
    例えば、現在私が拠点を置くアメリカには、身近にたくさんの軍関係者がいて、彼らが国のために活動している姿というのは、アメリカ市民から尊敬の眼差しで見られます。ちなみにアメリカでは、飛行機に搭乗する際、まずは小さな子供、そして軍関係者が優先搭乗してから、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミーの順番となります。

    これはヨーロッパ選手にとっても同じことが言えます。昨今、英国のEU離脱などで分裂の危機に瀕しているヨーロッパですが、ことライダーカップに関して言えば、各々が母国を代表してチームのメンバーになり、ヨーロッパチームとして一致団結してアメリカを倒すということが、彼らにとって特別なことなのです。

    このような、国と国の名誉をかけた戦いとなるライダーカップは、観る側の意識も選手と同様です。アメリカの歴史を考えると、ヨーロッパから移民した人たちと、そのまま母国に残った人たちのプライドを賭けた戦いという図式と言えるでしょう。

    同胞と言えば同胞ですし、敵と言えば敵……。何とも表現しがたい不思議な感情が入り混じっているからこそ、余計に盛り上がるのです。

    言うならば、同じ家族だった兄弟が離れ離れになったが、大きくなって2年に1度再開し、競い合う感覚のようなものでしょうか?
    まあ、日本人vs日系人みたいなものと言えば、少しはイメージできるかもしれませんね。

  • 1番ホールのギャラリースタンド