Vol.16:2019年ゴルフルール改正 メリット?デメリット?

  • 皆さんのご存知の通り、2019年1月にゴルフルールの改正が行われ、それらルールの多くは、プロのトーナメントでも既に適用されはじめています。
    このルール改正により、プロゴルファーのみならず競技委員でさえも、誤った情報を選手に伝えてしまったり、選手自身もルール誤認により、試合中に色々な失敗をしているというニュースをたくさん耳にします。
    このようなルール改正による混乱は、日本だけではなく、アメリカ、ヨーロッパツアーでも色々と起きているのですが、このルール改正について、一言でいうと“よくこんな大それた改正を実行できた!“これに尽きると思います。

    一時期、野球においても、「時間短縮のためにホームランを打ったらベースを一周しなくて良い」というルールが話題に上ったことがありますが、今回のゴルフルールの改正は、単に何かの時間を短縮するとかのレベルの問題ではなく、そもそものルール自体を大幅に変更しているのです。これは混乱が起きて当たり前ですね。

    改正により、発生したいくつかのケースをここでご紹介しましょう。

    1)PGAツアーWGC-メキシコ選手権2日目。リッキー・ファウラー選手(アメリカ)がドロップの方法を誤り、ペナルティーを取られる。
    今回のルール改正により、ドロップは“膝の高さ”から行うことにルールが変更されているのですが、ファウラー選手が、これまでのルールであった“肩からのドロップ”をしてしまった結果、1打のペナルティーを取られてしまいました。
    ファウラー選手も、もちろんルールは知っていたはずです。しかし、長年にわたって染みついてしまった癖で、無意識のままに肩の高さからドロップをしてしまったのです。ミスショットOBの後のドロップということで、選手が熱くなっているのは分かりますが、近くにいたキャディーでさえそのことに気が付かないのですから、いかに我々が習慣で生きているかが分かるケースです。

    2)米国男子ツアー「ザ・ホンダ・クラシック」の初日。米ツアー1勝、欧州ツアーなどで11勝を挙げるアレックス・チェイカ選手(ドイツ)が、規定よりも大きなグリーンブック(グリーンの傾斜方向などを細かく記載したマップ)を使っていたとして失格となる。
    ツアーキャディーや、選手の多くは、毎年開催されるコースでは、たいてい前から使っているグリーンブック、ヤーテージブックを使います。過去のデータがそこに蓄積されているので、当然の流れなのですが、新ルールではグリーンを読む際に使用するすべての道具に関して大きさや縮尺が制限されており、チェイカ選手は規定を超えたサイズの古いグリーンブックを使用していたことが判明したため失格となったのです。
    ペナルティーでなく失格です!!!
    グリーンブックの大きさを規定した理由としては、「グリーン上の細かい情報をたくさん書き込むことにより、自然とのゲームというよりは、メモを見るゲームになってしまっているから」とのことのようです。これも、結局はプレー進行のスピードを上げるためのものです。選手のなかでも、プレーが早いフィーリングプレイヤーはこのルールを歓迎したと思いますし、毎回グリーン上で、メモを見てブレイクポイントなどを確認してきた選手からすると、これはやはりマイナス面が強いと思います。
    このケースは、アマチュアゴルファーにはほとんど当てはまらない事例ですが、プロのトーナメントで失格となってしまうのですから、驚きです。

    3)日本女子LPGAツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」2日目。濱田茉優選手が球の捜索時間の短縮から発生するルール誤認で、誤球に抵触する違反で失格となる。
    国内女子ツアーでも開幕戦でさっそくありました。
    ダイキンオーキッドレディスの2日目。濱田選手が、11番ホールのセカンドショットで球を右に曲げてしまいラフのなかへ。懸命な捜索の結果、幸い球が見つかったため、その球を打ってプレーを続けたところ、捜索に3分以上経過していたことが判明。その日のラウンド後に、誤球により失格となってしまったのです。これなどは、本当にかわいそうなケースで、ほとんどの選手は、試合中に時計など身に付けていません。ですから、当然ながら、3分という厳密な時間も知りようもないのです。球が見つかった時点で、競技員に確認を取ればよかったのですが、これまたいちいち確認するのも……となると、かなり感覚に頼るしかないのです。
    今までが5分だったのを3分に短縮されたことで、気を付けなければならないのは当然なのですが、それにより失格となってしまうのはあまりにも大きな代償です。

    また、こちらは混乱しているわけではありませんが、旗竿をさしたままでのパッティングが認められたことについては、心理面含めて有利なのか不利なのか、選手たちはまだ試行錯誤で様子を見ている段階のようです。

    本来、ルール改正の意図はスピードアップがあったはずです。
    特に日本においては、ゴルフをプレーすると言えば、1日仕事のイメージが定着していて、忙しい現代人にとって、手軽にプレーできる環境にありませんでした。
    そこにきて、ゴルフ人口の減少、また現代人のライフスタイルの多様化。
    ひと昔前のサラリーマンにとって、ゴルフは、仕事にも繋がる役立つスポーツという印象もありましたが、今ではその文化もかなり無くなってきているようです。

    ちなみに、アメリカでは今もゴルフはビジネス、人間関係を築くうえでとても良いスポーツだと思われています。コーポレートアウティングという言葉があるのですが、企業が主催するゴルフイベント、講習会などが頻繁に開催されています。
    そこでは、当然ながらゴルフが習えるのですが、それ以外にもゴルフからの人間性の構築、人とのコミュニケーションスキルなどについても学べる機会になるのです。